ドルトムント最悪の連敗。香川真司が語るドロ沼の要因
ドルトムントが苦しんでいる。最下位ハンブルガーSV(HSV)にホームで負けるという、起きてはならないことが起きた(結果は0−1)。ブンデスリーガではこの試合を含め4戦勝ちがない。まだたったの7試合しか行なっていないのに、すでに4敗目を喫して13位に沈む。「これ以上落ちてはならない。どんな批判も受け入れなくては......」と、さすがのクロップ監督も落胆を隠せない。
悲痛さをひしひしと感じさせたのは試合後の選手たちの様子だった。
ホイッスルが鳴ると、敵地での、しかもドルトムント相手の勝利にガッツポーズのまま倒れ込むHSVの選手たち。一方でドルトムントの選手には、腰に手をやり下を向く者も、そのまましゃがみ込んで立ち上がれない者もいる。GKワイデンフェラーがそんなチームメイトを起こしながら、ピッチ中央へと歩く。そして、クロップと共に選手達はゴール裏へ挨拶に向かった。
いつもの敗戦時などは、応援に拍手で応えるとそそくさとベンチに戻るものだが、この日はゴール裏で応援の声に数分間、耳を傾けた。鼓舞するような叱咤するような歌声の前に、ドルトムントの選手たちは動けないでいた。エールを全身で受け入れざるを得ない程の苦境。対照的にアウェーサポーター席付近ではHSVの選手が応援の音楽に合わせてたがが外れたかのように踊っている。コントラストは鮮やかだった。
試合後、香川真司が語った。
「ホームでの敗戦......ましてや最下位のチームが相手ですから、すごく重い敗戦にはなりました」
フル出場し、多くの起点を作ったものの、得点はならず。自身の復調は感じさせただけに、勝てないもどかしさがにじむ。
チャンピオンズリーグでは連勝したのに、ブンデスでは浮上のきっかけすらつかめないように見える。その要因を香川はこう見ている。
「相手がよりラインをコンパクトにするなど、こちらを研究して守ってきてるなというのはすごく感じます。より警戒されているのかなというのは、ブンデスリーガを通して感じるし、以前に比べて難しくなったんじゃないかなと思います」
研究されていることで、好機が作り出せない。香川にもぴったりマークがつき、なかなか高い位置でプレイをさせてもらえない。ドルトムントは現在ミキタリアン、ロイス、ギュンドアン、シャヒン(いずれもMF)らを負傷で欠き、中盤で時間を作ることができず、またゴールゲッターとして機能する選手がいないという大きな問題を抱えてはいる。彼ら故障者のうち、誰かひとりでもピッチに立てるなら、サッカーそのものもまた変わるはずだ。
しかも攻守でいうと、おそらく守備のほうが問題は大きいはずだ。7試合で9得点は確かにドルトムントにしては多くないが、それでも12失点もしているというインパクトには及ばない。ハイプレッシャーとそれを支える堅守こそがベースのドルトムントにとって、あってはならない数字だ。
この日のHSV戦では、FWラモスのパスミスから一気に攻め込まれて失点した。ただこれまでであれば、たとえ中盤でのパスミスがあっても、カウンターを許さない距離感の良い守備があったのだが、今季はそれが崩れている。第5節シュツットガルト戦に途中出場し、第6節シャルケ戦では逆に途中で退き、今節ようやくフル出場を果たしたCBフンメルスが不在なのは大きな痛手だった。そのフンメルスにしても本調子とはほど遠く、簡単にかわされたり、後手を踏んで相手を追いかけるシーンが見られる。長期離脱していたスボティッチやベンダーも同様に本来の出来とはほど遠い。
不幸中の幸いで、ブンデスリーガは代表戦のため約2週間の中断期間に入る。この期間に、何とか故障中の選手たちの復帰のめどが立ちそうだ。
「ケガ人もほとんどみんな帰ってきて、代表戦明けにスタートできるのを楽しみにしてる。そういう意味では良い時間になると思います」(香川真司)
ドロ沼からの脱出はなるだろうか。
了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko

