65歳で定年退職した父が「タクシー運転手で年収400万円を稼ぐ」と張り切っています。年金をもらいながら働くと“損”をする場合があると聞きましたが、本当でしょうか? 子どもとしては体力面も心配です…。

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「働くと年金が減ってしまうため、かえって損になる」といった話を耳にしたことがある人もいるでしょう。65歳以降も働き続ける人が増えるなか、定年後に新しい仕事へ挑戦しようと考える人は少なくありません。しかし、年金と給与には一定のルールがあり、知らずに働き始めると想定外の影響を受けることもあります。   本記事では、年金が減額される仕組みや、タクシー運転手として働く際に知っておきたいポイントを解説します。

年金が支給停止になる基準に注意! 「在職老齢年金」の仕組み

65歳以降に厚生年金を受け取りながら働く場合、注意しなければならないのが「在職老齢年金」という制度です。働いて得る給与(総報酬月額相当額)と、老齢厚生年金の月額(基本月額)の合計が一定の基準を超えると、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止をされてしまう恐れがあります。
「働くと損をする」と言われるのはこの制度が理由とされていますが、いくら稼いでも一律にカットされるわけではありません。支給停止が適用される基準額は「月額65万円」となっています。ただし、カットされるのは「老齢厚生年金」の部分だけであり、原則として「老齢基礎年金(国民年金)」は全額支給されます。
いくらまでなら年金を全額もらいながら働けるのか、事前に年金見込み額を確認しておきましょう。

タクシー運転手の平均年収は? 「年収400万円」へのハードル

タクシー運転手で年収400万円を稼ぐという目標が、現実的にどれくらい難しいのでしょうか。参考資料として、厚生労働省が公表している「令和7年賃金構造基本統計調査」を見てみましょう。
タクシー運転者(企業規模10人以上)の平均的な給与データは、決まって支給する現金給与額が月額約36万円、年間賞与その他特別給与額が約20万円となっています。これらを基に計算した平均年収は、約452万円です。
年収400万円を超えていますが、タクシー運転手の給与体系は、歩合制を採用している会社が多く、本人の売上に大きく左右されることが一般的です。地理に不案内な状態からスタートする65歳の未経験者が、いきなり業界平均程度の売上を上げて年収400万円を達成するのは、決して簡単ではないという現実をおさえておく必要があります。

高齢でのタクシー業務は体力的負担に注意! 家族が確認すべき勤務形態とリスク

タクシー業界は深刻な人手不足もあり、シニア層を歓迎する求人は多いですが、業務自体の負担は決して軽くありません。
タクシーの勤務形態には、1日働いて翌日を休みとする「隔日勤務」や、一般的な会社員と同じ「日勤」、夜間を中心に走る「夜勤」などがあります。特に隔日勤務は、1回の乗務で20時間近く拘束されるため、65歳を過ぎてから初めて経験する人にとっては急激な生活リズムの変化となり、肉体的な疲労や精神的なストレスが蓄積しやすい傾向にあります。

65歳からのタクシー運転手は年金カットの基準と健康面を考慮して計画的に

65歳で定年を迎えた後も、収入の確保や生活設計の観点から働き続けることを検討する人は少なくありません。しかし、年金をもらいながら働く場合は、給与と老齢厚生年金の合計額が月額65万円を超えないように調整しなければ、年金の一部が支給停止になってしまうリスクがあります。
まずは年金がカットされない範囲内で、日勤のみや短時間勤務といった体に優しい働き方から始めてみることを提案してみてはいかがでしょうか。
 

出典

日本年金機構 在職老齢年金制度が改正されました
e-Stat 政府統計の総合窓口 厚生労働省 賃金構造基本統計調査/令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー