直接恩恵を受けることもない国民も一斉負担(C)日刊ゲンダイ

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 5月の給与明細を見て「あれッ」と思うサラリーマンは多いのではないか。課税項目に「子ども・子育て支援金」が新設されたのである。2026年4月から始まった制度で、従業員は標準報酬月額の0.23%相当額を労使折半し、初回の4月分が5月の給与から天引きされることになったのだ。

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「子ども・子育て支援金」制度は、少子化対策の一環として子育て世帯を支援する仕組み。独身、既婚、子どもの有無にかかわらず公的医療保険に加入する全世代の国民から支援金が徴収される。子どものいない世帯や独身者からも支援金を徴収するため「独身税」とも呼ばれているのだ。

 日本の子ども人口(15歳未満)は26年4月1日現在1329万人で総人口の10.8%と過去最低に、出生数は70万5809人と10年連続で過去最少を更新するなど国の将来推計をはるかに上回るスピードで少子化が進行している。少子化対策では23年の岸田政権で「こども未来戦略」を策定し具体化してきた。しかし、想定以上の少子化の進行で新たに施策の財源として導入されたのが「子ども・子育て支援金」制度だ。

 支援金の負担額は加入する公的医療保険により違いがあるが、26年度の加入者1人当たりの負担額は平均250円程度(市町村、世帯状況で変動)で、28年度まで段階的に引き上げられる。支援金の使い道は、児童手当の拡充、保育サービスの拡充、育児休業給付の充実など子育て世帯への手厚い支援が実施される。

 新制度は少子化問題の解決のため子どもや子育て世代を全世代、企業が支える仕組みだが、独身者や子どもがいない世帯にとっては制度の恩恵を直接受けることはできない。ニッセイ基礎研究所・総合政策研究部の永井啓夫研究理事がこう指摘する。

「『独身税』と批判的に言われるのは、『受益と負担の非対称性』が原因です。支援金による受益は子育て層に集中する一方で、独身者や高齢者などの非子育て層には支援金による受益が感じにくく、不公平感が生じやすいという問題を抱えている」

 さらにこう述べる。

「子どもの育成は将来の税負担と労働力供給や社会保障の持続可能性に寄与するという効果が長期的でかつ間接的なため、個々人の負担との対応関係が理解されにくいことが課題です」

 未婚化や、晩婚化の進行で子どもを持つことを躊躇する女性が増えたことも制度の基盤である幅広い世代の分かち合いが揺らいでいる背景といえよう。

 新たな制度の導入で少子化を解消する道筋につながるのか。重要なのは負担と使途、そして少子化への政策効果を可視化し、国民に理解と信頼を高めること。そのための十分な説明が不可欠だ。

(ジャーナリスト・木野活明)