楽天GがみずほFGと資本業務提携 金融庁のお墨付きで再出発(森岡英樹)
【経済ニュースの核心】
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みずほフィナンシャルグループ(FG)と楽天グループ(G)は20日、みずほ銀行がネット銀行大手の楽天銀行株を10月1日付で取得し、資本業務提携すると発表した。
みずほ銀が、保有する楽天カード株式(14.99%)を交換する形で、楽天銀行株式を議決権ベースで10.52%取得する。出資比率は5.81%となる。なお、みずほ証券による楽天証券への出資(49%)は維持する。
同時に、楽天Gは、上場子会社の楽天銀行に金融事業を集約する。楽天カードと楽天証券ホールディングス(HD)を楽天銀行の完全子会社とする事業再編を行う。顧客の銀行、カード、証券の相互利用を進めるのが狙いだ。
金利のある世界の到来で銀行にとって預金獲得の重要性は増している。大手行やネット銀行が入り乱れて競争が激しくなる中、楽天GとみずほFGは新体制で個人から法人まで幅広い領域で提携効果を加速させたい考えだ。
「再編により1650億円を出資していたみずほ銀による楽天カードの出資はなくなるが、新たな楽天銀行との提携では、みずほ銀の法人向け貸出債権を楽天銀行に販売することなどで連携を図る」(関係者)という。
また、一連の再編により、楽天銀行は完全子会社として楽天カードと楽天証券HGをぶら下げる形になる。これにより、楽天カードなどは資金調達を楽天銀行から短期で賄えるようになり、数百億円分の金利コスト削減が見込まれる。
楽天銀行の口座数は1763万でネット銀行最多。アプリを一本化すれば、顧客の資産把握が容易になり、本人確認の手間を減らせる効果が期待できる。将来的にはカード発行枚数並みの3300万口座を目指すという。楽天銀行は東証プライム市場上場を維持し、28年3月期に約330億円、中長期では年850億円以上の経常利益押し上げを狙う。
だが、楽天Gによる金融部門の再編は、24年4月にいったん表明したものの、同年9月に「携帯通信事業に注力する」として取り下げた経緯がある。当時、楽天Gは、「携帯事業(楽天モバイル)への巨額投資に伴い、その償還資金の捻出に苦慮していた」(メガバンク幹部)とされる。金融事業の再編は、グループの資金捻出を意図したものだったわけだ。さらに、「上場している楽天銀行の傘下にカードや証券を収めるという考えに、金融庁がガバナンスの観点から難色を示した」(同)という事情も重なった。
この窮地を救ったのが、楽天GのメインバンクであるみずほFGだった。みずほFGと楽天カードは24年9月に資本業務提携協議で合意し、みずほFGは楽天カードに15%出資した。これにより金融事業再編はいったん、見送られた。
今回の楽天Gの「金融事業の再編」は、24年春に時計の針を戻すことを意味する。楽天Gは「昨今の金利上昇やAIの普及など金融を取り巻く事業環境の変化が激しいことを背景に協議再開を決めた」と説明。三木谷氏は、「世界最大のフィンテック(金融と技術の融合)カンパニーが登場する。集約する新会社は将来的には海外での上場も視野に入れる」と力説している。
金融庁関係者は「今回の決め手は、上場している楽天銀行の傘下にカードや証券を収めることを認めた金融庁の判断だ。銀行とノンバンクが資本面を含めて融合することにお墨付きを与えた象徴的な案件だ」と話している。
(森岡英樹/経済ジャーナリスト)
