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世界が注目する中、日本のタンカーが事実上封鎖されているホルムズ海峡を通過しました。イラン側が許可を出した背景には、1953年に起きた事件がありました。ペルシャ湾には日本関係の船舶が多く残っていますが、原油輸入の正常化につながるのでしょうか?

■27日午後6時ごろ、海峡を通過

藤井貴彦キャスター
「日本に向かって航行中の1隻のタンカーがあります。出光グループが管理運航する大型の原油タンカー『IDEMITSU MARU』で、29日午後10時半ごろには、オマーン湾を抜けていました」

「その航路を遡ってみると、日本時間の27日午前1時ごろ、200万バレルの原油を積んだIDEMITSU MARUは、突如ペルシャ湾から動き始めます。そして同日午後6時ごろ、事実上の封鎖が続いているホルムズ海峡をぐるっと通過しようとしていました」

「安全に通れるのか、世界がこの動きに注目しました。イランメディアは28日夜、『日本の大型タンカーがイランの許可を得た上でホルムズ海峡を通過した。戦闘開始以降、珍しい通過である』と伝えました」

■日本政府も注視…首相もSNSで発表

藤井キャスター
「この海峡通過の裏側で何が起きていたのでしょうか?」

小栗泉・日本テレビ報道局特別解説委員
「日本政府もIDEMITSU MARUの動きはずっと注視していて、最終的に安全が確保されたら発表する心づもりでした。そして29日、このタンカーがオマーン湾の出口付近に差し掛かった午後3時すぎに、高市首相が自身のSNSで、海峡を通過したことを発表しました」

■出光のタンカーが通過できたワケ

藤井キャスター
「多くの船がホルムズ海峡を通過できないでいましたが、どうしてこんなことができたのでしょうか?」

小栗委員
「ある政権幹部は、『ずっと行ってきた外交交渉の結果ではあるが、イラン側が選んだ感じもある』と話しているほか、複数の関係者が『イラン側がIDEMITSU MARUを選んだ』という趣旨の話をしています」

■イギリスの封鎖網をかいくぐって輸入

藤井キャスター
「『イラン側が』というのはどういうことなのでしょうか?」

小栗委員
「このIDEMITSUの名前は、日本とイランの友好関係の象徴とも言われています。そのきっかけは、1953年に起きた日章丸事件でした」

「当時、イランが原油を輸出できないようにイギリスが経済封鎖をする中、今回と同じ出光のタンカー『日章丸』が、イギリスの封鎖網をかいくぐってイランから原油を輸入して日本に運びました」

■駐日イラン大使館もSNSに投稿

小栗委員
中東情勢に詳しい慶応義塾大学の田中浩一郎教授は、『この事件はイランからすれば日本に助けてもらった事件』と位置づけています。実際に29日、駐日イラン大使館もSNSで日章丸のことに触れつつ、『両国間の長きにわたる友情の証』などと投稿しています」

「その上で、今回のタンカーの通過について田中教授は『善意は善意をもって報われるということを、イランが日本だけでなく他の国に対してもメッセージとして送ったものだ』と分析しています」

「また、田中教授は今後のホルムズ海峡の通航について、『イランに支配権があるんだということを事実上示していて、新たなイラン主導のルールを作りたいという思惑もある』と指摘しています」

■今後は?…期待も厳しい見方も

藤井キャスター
「ペルシャ湾にはまだ約40隻の日本関係の船舶が残っていますが、同じように通航することはできるのでしょうか?」

小栗委員
「ある日本の政権幹部は『IDEMITSU MARUだけが特別だったわけではない』という認識を示していて、今後も日本関係の船舶がホルムズ海峡を通過できる可能性があるとみています」

「そして、『ホルムズ海峡から原油が再び輸入できる道が開かれれば、国内の雰囲気も変わってくるだろう』と期待感も示しています」

「厳しい見方もあります。田中教授は『今回は出光ブランドがあったということが大きくて、1回通過できたからといって正常化するわけではない。原油価格が落ち着くのは、他の国も通過する事例が出て、今まで通りの自由通航になってからだ』と指摘しています」

(4月29日『news zero』より)