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“ごみ”から大量の金が!? 

世界の埋蔵量の約1割に達するという国内の「都市鉱山」。その採掘現場を取材しました。

【画像を見る】どうやって「金」を採掘する?何百種類の中から価値ある「8つ」の部品をAIで識別

名古屋市名東区にある巨大物流倉庫の5階。入り口には空港のようなセキュリティーゲートが。

(笠置達哉ディレクター)
「空港のようなセキュリティーがあったが、これは何のため?」

(リネットジャパンリサイクル・中根康裕グループリーダー)
「これは金属探知機も兼ねたセキュリティーゲートですが、情報の流出を未然に防ぐために設置しています」

760の自治体と提携 全国各地から届く段ボール箱の中身は?

中に入ると、数えきれないほどたくさんの段ボール箱が並んでいます。

(リネットジャパンリサイクル・中根康裕グループリーダー)
「これは埼玉県、こちらが滋賀県」
Q.どこから?
「日本全国からですね。北海道から沖縄まで全て回収できる」

中身は全国から回収された、大量のパソコンと小型家電。

名古屋のリサイクル会社
リネットジャパンリサイクルは、パソコンが1台でもあれば20キロまで小型家電のごみを送料着払いで無料回収していて、全国760の自治体と提携。年間100万台もの廃棄パソコンを集めています。

「ゴミの山」ではなく「宝の山」

目当ては、電子部品に含まれる金やパラジウムなどの「レアメタル」。このたくさんの箱は出した側にはごみですが、会社にとっては「宝の山」です。

まずはハードディスクなどの記憶媒体を消去するか、破壊してデータが外に漏れないようにします。入り口のセキュリティーゲートもこのため。個人情報の保護には特に力を入れています。

(中根グループリーダー)
「画面にチェックマークがついているので、これで消去完了になります」

そして手作業で分解。ドライバーでネジを外し、基盤やバッテリーなど手際よく解体していきます。ここでは障害者雇用にも力を入れていて、従業員100人のうち25人に何らかの障害があります。

(従業員)  
「同じ作業を繰り返しやっていくことで、仕事のやり方が分かっていくので、それが楽しいです」

(中根グループリーダー)
「われわれであれば、パソコン1台壊して一息ついて次の作業に移る。(彼女の場合は)そのまま一呼吸置かずに作業を続けてくれる集中力の高さですね。作業の台数も伸びてくる」

日本の「都市鉱山」に眠る金は…170兆円分!? 世界の埋蔵量の約1割

こうして取り出されたたくさんの基板。コネクターには金が含まれ、電極やハンダには銀、電源コードには銅など、価値のある金属が眠っています。

こうした「都市鉱山」に眠る金は、国内だけで推計6800トン。世界の埋蔵量の約1割に達し、金額にして170兆円とも言われています。

電子基板からどうやって金を採掘?

取り外した大量の電子基板が向かう先は…北九州市にあるリサイクル会社。

(アステック入江・古西政和グループリーダー)
「これは名古屋から入荷した基板になります。この基板ですと、金色の部分は、金を回収することができます」

電子基盤という「都市鉱山」から、わずかに含まれる金を、どう取り出すのか?まずは、金採掘の第一工程、ヒートセパレーター。基板をこの装置に差し入れると…

(笠置ディレクター)
「部品がきれいに剥がれています」

基板に熱を加えてハンダだけを溶かし、自動で部品を分離していきます。まずは、基板だけ。そして、コネクタやトランジスタなどの部品が出てきます。次は選別工程。

何百種類の中から価値ある「8つ」の部品をAIで識別

部品が流れるベルトコンベアに沿って、8つのノズルが…

(古西グループリーダー)
「AIに色と形を学習させて、そのデータを元に選別を行っている」

AIが何百種類もの部品を形や色で瞬時に識別。圧縮空気で仕分けます。金の入ったコネクタ、アルミが多いアルミコンデンサなど、8種類の価値がある部品を取り出し、いよいよリサイクルへ。

パソコンの基板1トンから取れる金は…天然金鉱山の数十倍

金を取り出す工程を見せてもらうと…

(古西グループリーダー)
「金メッキがついている部品から金の回収を行っていきます」

金以外の不純物を溶かす溶液にひたし、約12時間後。この溶液を抜くと、黄金色の輝きを放つ『金』が現れました。

Q.金の純度は?
(古西グループリーダー)
「90%以上である事を確認している」 

ここには銀やパラジウム、銅なども含まれ、それをさらに精錬して純金を取り出します。パソコンの基板1トンから取れる金は10グラム以上と天然の金鉱山でとれる量の数十倍。ここからもう一度市場に流通していきます。

家電ごみの都市鉱山  資源少ない日本の救世主に?

(古西グループリーダー)
「基板には今回収している金属以外にも、多くの金属が使われていますので、効率よく回収できるように技術開発を進めていきたいと思います」

日本にとって重要な資源と言える家電ごみの都市鉱山。国を挙げた回収とリサイクルの仕組みの更なる確立が期待されます。

CBCテレビ 『newsX』2026年4月22日放送