生活費は光熱費別月20万円、学生時代性暴力に苦しんだ35歳専業主婦が「誠実で優しい37歳夫」の行動を怪しむ理由
内閣府の性暴力被害予防漫画が批判を集めた理由
2026年4月21日に内閣府がXに投稿した、若年層の性暴力被害予防月間の漫画の内容が批判を集めている。漫画では性暴力だとされる4つのシーンが紹介されているが、うち2件は女性が加害者という設定になっている。
性暴力の被害者には男性もいるが、は圧倒的に女性が多い。2026年4月20日に警察庁が公表した「犯罪統計資料」(2026年1〜3月分)によると、不同意性交等の「被害者」の男女比は、男性3%、女性97%だ。不同意わいせつ等を見ると、男性6%、女性94%と被害者の9割以上が女性なのだ。
内閣府の投稿には、「男だらけの性犯罪になぜ女を犯罪者として入れる?」「こんなのないとはいわねーけど 圧倒的に女性側の被害が多いだろ。」などのコメントが寄せられていた。
キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは、メンタル心理アドバイザー、夫婦カウンセラーの資格を持つ。「性暴力の被害による心の傷が、結婚生活に影を落とし、それが浮気につながる可能性もあります。これまで、多くの相談を受けましたが、被害者が男性というケースは少ないです。ただ、男性の場合、女性から受けた行為を性暴力と認識していない場合もあるので、過去の体験が苦しさの原因になっていないかどうか、考える必要があると思います」という。
学生時代は警察官を希望していたが、当時は身長制限があり、受験資格はなかった。一般企業に勤務するが、目の前の人を助けたいという思いは強く、探偵の修業に入る。探偵は調査に入る前に、依頼者が抱えている困難やその背景を詳しく聞く。山村さんは相談から調査後に至るまで、依頼人が安心して生活し、救われるようにサポートをしている。
「探偵が見た家族の肖像」に続く連載「探偵はカウンセラー」は、山村さんが心のケアをどのようにして行ったのかも含め、様々な事例から、多くの人が抱える困難や悩みをあぶりだしていく。個人が特定されないように配慮しながら、家族、そして個人の心のあり方が、多くの人のヒントとなる事例を紹介していく。
今回山村さんのところに相談に来たのは、35歳の専業主婦・香織さん(仮名)だ。「夫の行動がおかしい」と連絡をしてきた。実は香織さん自身、若いころになんども性暴力の被害に遭っていた。
山村佳子(やまむら・よしこ)私立探偵、夫婦カウンセラー。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリング経験を持つ探偵として注目を集める。テレビやWeb連載など様々なメディアで活躍している。
誠実で優しい夫
香織さんから連絡があったのは、昼12時でした。「浮気の確証はないですが、話だけでも聞いてほしい」と言うので、2時間後にカウンセリングルームで会うことに。香織さんは、ハイブランドのピアスとブレスレットをさりげなく身につけた上品なファッションをしていました。生活に余裕があることがわかります。
「3歳の娘を預けてから来たので、遅くなりました。相談は夫のことです。結婚前は誠実で優しい人でした。たまたま夫の勤務先に私の友人がいるのですが、夫はとてもモテていたそうです。あまりの紳士っぷりに多くの女性が迫っていましたが、夫は断っていたみたい。地味な私と結婚したと聞くと、驚いていました」
夫は37歳、東京の裕福な家庭で育ち、小学校から大学までの一貫校で学び、日本を代表する巨大企業のひとつに入社します。
「頭もよくて、コミュ力も高い。5年前にプロポーズされたとき、『どうしてこんなに素敵な人が、私と結婚したんだろう』と思いました」
夫との出会いは、友人夫婦主催のワイン会。幹事の60代の女性は、自宅にシェフを呼んで、一つの銘柄のワインを年代別に飲むという会を開催し、選りすぐりのメンバーを集めた中に夫がいたそうです。
「私はこの女性にめっちゃ可愛がられているんです。なぜかワインが好きで大学時代にイタリアやフランスのワイナリーを巡ったり、ボランティアで働いたこともあるほどだから割とガチ勢だと思います。夫は代々ワインが好きな家系なので、やはり詳しい。そこで意気投合して交際することになりました。当時『この人は親の決めた結婚相手がいるだろうから、私は遊びだ』と思っていたのですが、まさかの真剣交際でびっくり。1年後に結婚し、2年目には娘が授かりました」
妻が「性行為が苦手」な理由
夫は優しく、香織さんと娘は現在、何の不自由もないそうです。
「夫の実家が持っているマンションに住み、光熱費も通信費も夫もち。生活費として月20万円もらっていますが、ネットスーパーで購入したものの支払いは夫なので、実際にお金を使うことはないんです。欲しいものは何でも買ってくれるので、結婚5年間で物欲が全くなくなりました。今日、つけているこのジュエリーも、結婚当初に夫がプレゼントしてくれたものです」
香織さんは満たされた結婚生活を送っています。目下のきがかりは、娘の小学校受験。今は、そのための予備校に通わせることが主な仕事だそうです。
「翻訳の仕事を趣味程度にやっていて、まさに“奥様”生活を満喫していると思います。ただ、ここ半年くらい、夫の様子がおかしい。考え込んで部屋にこもることが増えましたし、外出も多い。あとおかしいと言えば、夫のマスターベーションの回数が以上に増えたこと。ティッシュの買い置きがあっという間になくなるのです」
香織さんとの夫婦生活は、月に1回程度。これは、香織さんは性交渉が苦手で、「毎日でもしたい」という夫に対して決めた回数です。
「今は話せるようになったのですが、中学生の時から痴漢被害を何回も受けており、24歳の時に友人から強姦されました。拒否したのに力では勝てず、終わった後に『警察に行く』と言うと相手は慌てて、『お前みたいなブスとヤリたい奴なんていない。警察に行っても信じてもらえないはずだ』と言ったのです。若かったから、この言葉に怯んで被害届を出せなかった。これは今でも後悔しています」
その後、信頼できる心理カウンセラーに出会い、心の傷を回復した29歳の時に夫と出会ったそうです。
「夫は私のことをとても大切に扱ってくれて、自分を認めることができました。でも、やはりするのは怖い。体が反応しない時もあります。そういう私を夫は受け入れてくれていたのに、最近はちょっとおかしいのです」
夫がどこかに車ででかけていく…
最近は外出の回数も増え、嫌いな車移動もしているそうです。
「夫は運転が苦手で、いつも私がハンドルを握っているのです。この前、家族で出かけた時に、ガソリンが減っていました。『どこか行ったの?』と聞くと、夫にしては歯切れの悪い説明が返ってくる。詳しく聞くのも野暮なので、流してしまいましたが、これが違和感となって引っかかっています」
香織さんは親から「誰にでも隠したいことはある。そこを追求してもお互いに幸せにならない」と言われて育ったそうです。
「違和感を受け入れてしまうというか、『まあいいか』と流しちゃうんです。まあ、こういう性格だから、男にナメられて性加害されてしまうのかもしれませんが」
香織さんのこの発言に対して「悪いのは加害者で、あなたに一切の非はありません」と強く言いました。性被害を受けた人が「私も悪いところがあった」と思うことは、明らかな間違いです。
「ありがとうございます。そうなんですよね。つい自分の悪いところを探してしまう。こうして話してみると、やはり改めて夫以外の男性が大嫌いだと言うことがわかりました。結婚してからは、女性の友人たちや仕事仲間に囲まれて、幸せなことは間違いありません。夫のことも愛しているし、信頼している。性的な求めに応えられないので、浮気をされても仕方ないと思っています」
香織さんが心配なのは、夫が浮気をしていて、その相手に子供ができた場合の娘の将来について。
「夫には十分なお金がありますが、2つの家族を持つほどはありません。それに相手が生んだ子供が男だったら、娘の立場はない。夫の両親は古い考え方なので、娘に『あなたが男の子なら跡取りになったのにね』と言うのです。いずれにせよ、私は離婚をしたくない。とりあえず、証拠を押さえて、お守り代わりにしたいのです」
◇香織さんは、夫が裕福でも同じアクセサリーをしつづけるなど、地に足がついている。だからこそ夫は香織さんを選んだのだろう。お互い大切な存在なのに、性欲の違いですれ違ってしまうのだろうか。性暴力がいかに人の心に大きな影響を与えるかも感じさせられる。
しかし夫が浮気をしているとは限らない。調査の結果は後編「「誠実で優しい37歳夫」が浮気しているかも… 35歳妻が衝撃を受けた、夫が変装して毎週通う場所と「悲しい告白」」にて詳しくお伝えする。
