1日24時間では足りなかった…「出世こそが正義」と信じた20年。米メガバンク元管理職が“3児の育児と激務”の果てに辿り着いた、副業年商2500万円でも「たっぷり眠れる」生活
終身雇用の崩壊、出社回帰の加速、そしてAI技術の台頭……。現代のビジネスパーソンは、かつてないスピードと成果を求められる過酷な環境に置かれています。スピードを上げれば上げるほど、さらに多くの仕事が舞い込む「時間貧乏」のループから抜け出すには、どうすればいいのでしょうか。本記事は、吉川ゆり氏の著書『なぜ、あなたは時間に追われているのか』(日経BP)より、精神論ではない「人生を豊かにするための集中戦略」について解説します。
あなたがいつも「時間に追われている」理由
「いつも時間に追われている感覚がある」
「やってもやっても仕事が終わらず、残業続きでいつも疲れている」
「やらなきゃいけないことや大事なことを、つい後回しにしてしまう」
こんなお悩みを抱えていませんか。あるいは、
「1日中忙しいのに、終わった後に達成感がなく、『今日もまたできなかった』という気持ちのほうが強い」
「家族と一緒の時間をもっとつくりたいのに、つい仕事のことを考えてしまう」
こうした思いを抱えているかもしれません。あなたが時間に追われているとしても、仕事の進め方が悪かったり、時間管理の方法に問題があったりするからではありません。
時計メーカーの調査によると、70%以上の人が「時間に追われている」と回答し、60%以上の人が「一日24時間では足りない」と答えています。時間に追われることは、多くの人に共通する悩みなのです。
なぜ、こんなに多くの人が時間に追われていると感じるのでしょうか。
まず、私たちは、いまだかつてないほど、注意力散漫になり生産性が下がる環境にいます。仕事ではスピードを求められ、ひっきりなしにメールやチャットが飛んでくるなかで、常に何かにキャッチアップしていなければならないという感覚にさらされています。終身雇用は崩壊し、昔のように同じ会社で定年まで過ごすわけにはいかず、半年や1年単位でキャリアを考え成果を上げなくてはふるい落とされる時代になりました。
新型コロナウイルスの収束後は世界中でオフィスへの出社回帰が強まり、経済成長のためにはもっと働くべきだという主張も聞こえてきます。スマホを開けばソーシャルメディアが常に魅力的な情報を流してきます。仕事だけでなく子育てなどプライベートでも、こうしたほうがいい、ああしたほうがいいという情報があふれかえっていて、皆が「正解」を探し続ける結果、昔に比べてやらなければならないことが格段に増えています。
さらに、そんな状態でAI(人工知能)技術が発展し、ますますスピードと量が求められ、こういう時代に人間として仕事をするとはどういうことなのか、生きていくとはどういうことなのか?という本質的な疑問を突きつけられています。
そんな毎日を送っていると、根底に不安感を抱える人も多いのではないでしょうか。
貴重で有限な「時間」を自分にとって大切なことに使いたい
でも、改めて質問させてください。そもそもなぜ、あなたは時間に追われる人生を変えたいのですか。
「生産性を上げて会社の業績を伸ばさなければならないから」「効率的に成果を出して昇進したいから」……さまざまな理由があるでしょう。しかし、突き詰めれば、こう言い換えられるのではないでしょうか。
「あふれる仕事を早く終わらせて、『本当に大切なこと』のために時間を使いたいから」
仕事で生産性を上げる目的を、業績向上や自身のキャリアアップに見いだす人もいるでしょう。一方で、パートナー、子ども、友人など、あなたにとって大切な人たちともっと時間を過ごしたい。自分の趣味やサードプレイスの活動にもっと時間を使いたい。そう思っている人も多いのではないでしょうか。
私たちに与えられた最も貴重で有限なリソースである「時間」。それを、自分にとって最も大切なことに使うことができたら、あなたの人生はより豊かなものになるはずです。自分の時間の使い道を、自分で決める。それはつまり「人生の主導権を取り戻す」ことに、ほかなりません。
「出世することが正しい」と信じて疑わなかったサラリーマン時代
実は私自身、以前はずっと時間に追われて、一体なんのために生きているのか分からない時期を過ごしていました。
私は現在サンフランシスコ郊外在住で、エグゼクティブコーチとして、コーチングスクール運営などの事業を手がけています。学生時代は大阪大学の人間科学部で心理学や行動学を学び、米国の大学院への留学を経て金融業界へ。気がつけば20年以上、米国の金融コンサルティング会社やメガバンクで管理職としてキャリアを積んでいました。
米国の金融機関で働いていた頃は、「出世街道を進むことが正しい」と信じて疑わず、ひたすら目の前の仕事に打ち込んでいました。米国人のエリート層が同じ時間で格段に質の高い成果を出すことに愕然とし、本を読んだり講座を受けたりと、生産性を上げる方法を模索した結果、競争の激しい米金融業界で、外国人で英語がネイティブではない私でも、ヴァイスプレジデント(幹部職)という責任のあるポジションにつくことができました。
しかし、子どもが生まれたことをきっかけに、「本当にこのままでいいのだろうか」と自問自答するようになったのです。仕事に費やす時間、仕事に対する価値観、意識の向け方……。それらが、本当に自分が望む人生と少しずつズレ始めていることに気づきました。
同じように悩む人に向けたコーチングを副業として始めたのは、その頃です。さらに追い打ちをかけたのがコロナ禍でした。ちょうど私は、米国で金融系テクノロジー(フィンテック)のスタートアップ企業に転職したばかりで、2週間に1回のペースで新しいソフトウェアをリリースするという激務の生活でした。そこへコロナ禍が訪れ、金融業界全体が混乱するなか、私は3人の子どもたちのオンライン授業をサポートしながら副業も行うという、まさに時間との戦いを強いられたのです。
根性の働き方は限界に…「時間の使い方を変えること」にシフト
それまでは、「とにかく力ずくで乗り越えればなんとかなる」「睡眠時間を削れば大丈夫」と信じて疑いませんでした。しかし、そんな働き方は限界を迎え、私は時間の使い方について徹底的に学ぶことを決意したのです。
同じ24時間を、もっと有効に活用するにはどうすればいいのか? 1時間で大きな成果を上げることができれば、長時間労働をしなくても、十分に成果を出せるのではないか? そんな思いからたどり着いたのが、「集中力」についての徹底的な研究でした。
まず、大学時代に学んだ心理学や行動科学の知識を総動員し、国内外の脳科学や認知心理学に関する学術論文を読みあさりました。また、世界トップクラスのビジネスコーチや生産性向上の専門家が提供する講座やセミナーに積極的に参加し、2025年にはハーバード大学のエクステンション・スクールで認知神経科学の単位を取得。最新の知識と実践的なノウハウを学び、そのなかから本当に効果が期待できるメソッドを見極め、自身の仕事や生活で試行錯誤を重ねてきました。
集中力は、2つの側面から時間に追われる感覚を減らします。
(1)不要な作業時間を減らし、自由な時間を物理的に増やす
(2)「過ごし方の質」を上げ、達成感と満足感を増やす
集中力について1つひとつ学び、実践していくことで、私は少しずつ変わることができました。何に集中すべきかが明確になった結果、本格的に副業を始めて2期目で、年商2500万円を達成。会社を設立してコーチとして独立し、金融機関の管理職時代と同じだけの収入を手にしながら、睡眠もたっぷり取り、何よりも家族と過ごす時間を大切に、充実した日々を送ることができています。
多くの方は、責任ある立場で忙しく働いていたり、上と下からのプレッシャーに板挟みになったり、子育てとの両立に苦労したりと、限られた時間をどう有効活用して結果を出そうかと、日々試行錯誤されていると思います。なかなかうまくいかないと悩んでいる人もいるでしょう。
でも、大丈夫です。繰り返しますが、あなたが悪いわけではないのです。必要なのは集中力の仕組みを知ることと、自然に高まっていくような環境づくりです。特別な準備は何も必要ありません。
時間の使い方が変われば、人生が変わります。あなたの人生の主導権を、あなた自身の手に取り戻せます。
吉川 ゆり
Mental Breakthrough Coaching™スクール 代表
