ミナミよいとこオフィスもおいで…働く場所の「印象薄い」心斎橋も「想定以上の引き合い」
強みは交通利便性や多様な商業施設
大阪・ミナミにオフィスを誘致する動きが広がっている。
梅田地区を中心としたキタと比べ、オフィスビルが少ないミナミのにぎわいは、繁華街などが目当ての観光客の動向に左右されやすい。交通の利便性が高く商業施設が集積する立地を「働く場」としてアピールし、安定した人の流れを呼び込む狙いがある。(佐藤一輝)
大阪メトロ心斎橋駅直結の地上28階、地下2階建て複合ビル「クオーツ心斎橋」は、下層階の商業施設と上層階のホテルに挟まれた8〜14階がオフィスフロアだ。賃料は1坪(3・3平方メートル)あたり4万円と、周辺の相場の2倍以上に設定された。だが、今月25日の開業を前に11社の入居が決まり、供給面積(約5500平方メートル)の9割以上が埋まった。
開発を手がけた不動産大手ヒューリックは22日、報道陣向け内覧会を開いた。砂押圭輔・ビル事業企画部次長は、当初は商業施設とホテルだけにする計画もあったと明かし、「心斎橋はオフィスの印象が薄く、不安もあったが、想定以上の引き合い」と語る。入居企業からは「心斎橋の一等地のビルに入居し、従業員の満足度向上や採用競争力強化につなげたい」との声が出ているという。
働く環境を改善する動きもある。南海難波駅直結の高層ビル「パークスタワー」7階に今月1日、入居企業の従業員専用のラウンジと会議室が新設された。大小四つの会議室や仮眠スペースを備え、打ち合わせや休憩に活用できる。
運営するNANKAI(旧・南海電気鉄道)は、同ビルなどで働く人向けに周辺の飲食店や美容施設など約200店で使えるクーポンを提供している。多様な店舗が集まった難波で働く楽しさをアピールし、一帯の活性化を図る。
大阪を代表する商業地のミナミには、高級ブランドの路面店や若者向け衣料品店、飲食店が集積する。コロナ禍で人流が途絶えて地価が大きく下落したが、現在は訪日客の人気観光スポットとしてにぎわう。
オフィス仲介の三鬼商事によると、大阪市中心部の空室率は需給が釣り合った状態の目安とされる5%を下回り続けている。ここ数年、大型のオフィス供給が相次いだキタ(梅田)よりも、ミナミ(心斎橋・難波)の賃料は3割ほど低い。
今後は働く場としての魅力を認識してもらい、オフィスビルの開発につなげられるかが課題となる。同社の担当者は「オフィス需要を高めるには、供給数をさらに増やす必要がある」と話している。
