メキシコサッカー、国内リーグの人気は衰え知らず…名門パチューカは大学も保有
米国、カナダ、メキシコで開催されるサッカー・ワールドカップ(W杯)開幕まで、2か月を切った。
3か国共催は史上初で、過去最多の48チームが熱戦を繰り広げる。出場する国のサッカー事情、人々の思いを紹介する。
[サッカーの惑星]開催国編<3>メキシコ
首都メキシコ市から北東に約100キロ、標高約2400メートルに位置するイダルゴ州パチューカ。元日本代表の本田圭佑がプレーしたことでも知られる、メキシコ最古のクラブがそこにある。「パチューカはメキシコにおけるサッカー発祥の地。大きな誇りを持っている」。会長のアルマンド・マルティネスは力を込める。
100年以上前に英国人から伝来
鉱物を採掘するためパチューカを訪れた英国人によって、サッカーは伝わった。100年以上前のことだ。マルティネスは言う。「最初の試合は鉱山労働者と地元住民の間で行われた。そこから、サッカーが国中に広まったんだ」
ホームスタジアム「エスタディオ・イダルゴ」には、ピッチへ続くトンネルがある。壁には、1900年代初頭のモノクロ写真など戦いの軌跡が展示され、これまでに獲得してきたトロフィーもずらりと並ぶ。選手は歴史の息づかいを感じながら、試合に向かう。
メキシコサッカー始まりの地のクラブとして、「社会的責任も伴う」とマルティネスは使命感を口にする。これまで国内外でタイトルを獲得してきたトップチームだけでなく、選手の育成にも力を入れており、大学も設立した。サッカーと学業の両立を掲げ、プロ選手を諦めることになっても社会で活躍できる人材を育てることを目的とする。クラブで広報を担当するダニエル・ガルニカも卒業生だ。
実力拮抗、スポンサーも多数
国内リーグは、強豪クラブに戦力が偏るスペインやドイツと違い、各チームの実力が拮抗(きっこう)していることが、盛り上がりにつながっている。クラブのオーナーの資金力に加え、人気競技だけにスポンサーの数も多く、リーグ戦のハーフタイムには、企業が自社ブランドの名前が入った旗などを持ってピッチ脇を練り歩き、観客にアピールする。スタジアム内はお祭りのような雰囲気だ。近年、代表の主力は「海外組」が増えたものの、平均年俸が高いこともあり、国内のクラブにとどまる有力選手も少なくない。

いずれも準々決勝に進んだ1970年、86年大会に続き、史上最多となる3度目のW杯開催。今回の共催3か国の中で、最もサッカー文化が根付いていると言える。マルティネスはこう話して笑った。「大したことはしなくてもいい。だって、我々はサッカーに熱狂しているのだから」(敬称略)
