覚醒剤2億6800万円相当を密輸…逃亡中の幸平一家の構成員を逮捕! トクリュウとダブルで壊滅へ
2年間の逃亡の末に
警視庁湾岸署から出てきた護送車。本来ならば、後部座席の真ん中に容疑者が座っているはずだが、その姿を見ることはできなかった。待ち構えた報道陣に自分の姿を撮影させまいと、終始、身体を前に倒していたからだった──。
4月13日、覚醒剤を輸入したとして覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)容疑で逮捕されたのは、住吉会幸平一家の樋田涼容疑者(30)。同15日、検察庁に送検された。
「樋田容疑者は’24年に密売目的で覚醒剤5kg、末端価格にして2億6800万円相当をアメリカから国際宅急便を使って密輸した疑いが持たれています。もともとは機械や装置の一部として使われる金属製の筒状部品の内部をくり抜いて、その中に覚醒剤を隠し、金属部品として輸入していました。
国際郵便はその後、都内へ配達されましたが、受け取り役の人物が逮捕されたことで指示役の樋田容疑者が浮上。それから2年間、逃亡していましたが、ようやく逮捕となりました」(全国紙社会部記者)
幸平一家は特殊詐欺や闇バイト強盗などを行うトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)と深い関係があるとみられており、警視庁は今年1月、刑事部長指揮のもと、特別対策本部を立ち上げた。その後、4月1日付で副総監が同捜査本部の指揮を執ることになっている。警視庁がこの事案を重視していることの表れで、事実、この前後から幸平一家が関わったと思しき事件報道が急増した。
3月31日に幸平一家傘下組織の組長ら5人が監禁、強盗傷害の疑いで逮捕され、4月2日には、恐喝容疑で幸平一家の組員1人が逮捕された。そして、今回の覚醒剤輸入容疑である。
警視庁は幸平一家が覚醒剤密輸を組織的に行い、国内の供給源の源になっているとみているが、その実態は──。
裏社会ジャーナリストの石原行雄氏に話を聞いた。
“素人同然”の売人
「ここ10年くらい、売人と薬物乱用者の取引は主にSNSで行われています。まず、売人がXでPR。薬物乱用者が見つけて接触してくると、闇バイトなどで悪名高きテレグラムやシグナルに誘導して、細かい商談をします。その後、手渡し、もしくは、一般郵便で売買を成立させるのです。そのやり取りを直接行っているのがトクリュウです。
例えば、沖縄で火がついたゾンビタバコは若者が乱用しているケースが多い。若者はおカネがありません。トクリュウは、そんな彼らをアルバイトと称して、末端の売人として取り込んでいます。
つまり、トクリュウ密売人には素人同然の若者が相当数いて、いざ、逮捕されても、そこで尻尾切りできるわけです。覚醒剤を資金源にしている暴力団組織はたくさんいますが、なかでも幸平一家はトクリュウの扱いに長(た)けているので、闇バイト犯罪や悪質スカウト・悪質ホスト問題などと同様に、違法薬物の密売現場でも幸平一家がトクリュウを使っている可能性があるのではないかと思います」(石原氏)
警察は幸平一家の薬物事案の何に注目しているのか。石原氏が続ける。
「覚醒剤の一大卸の拠点が群馬県の高崎市や前橋市の暴力団組織であるというのは、広く知られています。なぜかというと、日本で流通する覚醒剤は北朝鮮から貨客船『万景峰(マンギョンボン)号』経由で新潟港に大量に入っていたからです。
それを群馬県の暴力団が一手に引き受けて、東京や地方の組織に仲卸する。そしてその組織がさらに下部の組織や他の組織へ卸すという流れがありました。その分、利益は削られていきます。
それに対し、幸平一家は自ら薬物の密輸を行い、トクリュウに売らせる形をとっていることも考えられます。密輸から末端の小売りまでのすべてを自分たちで行えば、利益率は他の組織とは比べ物にならないほど高くなる。自ら密輸するので危ない橋を渡ることになりますが、莫大な利益が得られるので、組織はどんどん大きくなっていく。
ただ、密売のピラミッドが幸平一家と傘下のトクリュウだけで形成されるのであれば、警察もターゲットを絞りやすく、確実に捜査を進められるという利点もある。
今回の逮捕がまさにそうで、覚醒剤事案でも『トクリュウと密接な関係がある幸平一家を許さない』という警視庁の強いメッセージを読み取ることができるのではないでしょうか。トクリュウと幸平一家、ダブルで壊滅を目指す警察の捜査が一歩進んだと言えるでしょう」
取り調べに対し、樋田容疑者は、「黙秘します。黙秘の理由も黙秘します」と供述しているという。
