インドネシアでベトナムの「ビングループ」がタクシー事業を拡大中! 高齢タクシードライバーだらけの日本にも「車両+運転手」のセットで進出してきたら脅威になる可能性大

この記事をまとめると
■インドネシアのタクシー事業はこれまでブルーバードグループが市場を独占していた
■ビンファストを擁するビングループがインドネシアのタクシー事業に進出
■車両と運転手をセット展開したら日本のタクシー業界に波紋を投げかけるかもしれない
インドネシアのタクシー事業にベトナム・ビングループが進出
インドネシアの首都ジャカルタの街を歩いていると、通りを走るタクシーはブルーのボディカラーの車両が多く、ジャカルタに限らずインドネシアでは広くこのような光景となっているようである。これは、業界最大手のブルーバードタクシーがほぼ市場を独占しているから。

運転士はお揃いの制服を着用し、古い車両でも車内は清掃が行き届き、インドネシア国内でのライドシェア車両では後席シートベルトがどこかへ潜り込んでしまっていたりして着用不可能な車両も多いのだが、ブルーバードタクシーの車両ではそのようなこともない。日本より早い時期からスマホアプリによる配車サービスをスタートさせており、これにより一気にいまの市場独占のような状況を加速させたと筆者は考えている。
このような「ブルーバード一強」のようなインドネシアの市場に果敢に新規参入してきた事業者がある、それはビンファストを傘下に置くベトナムの巨大コングロマリッド「ビングループ」系のタクシー事業者だ。2025年にベトナムの首都ハノイに行くと、タクシーだけではなく、ビンファスト製のBEV(バッテリー電気自動車)路線バスの運行も含め、ビングループ系旅客運送事業者の車両がかなり幅を利かせていた。

自グループで製造しているタクシー向け車両を使ってこれまた傘下のタクシー事業者ごと海外にて展開するビジネスを「ビンファストタクシー」は展開している。ジャカルタでも新規参入直後から大量にグリーンのボディカラーとなるビンファストタクシーがジャカルタ市内に溢れていた。
タクシー事業に参入しているか否かにかかわらず、自家用車を中心にビンファストは新興国、先進国に関係なく自動車ショーに積極的に出展していた。2026年2月5日から15日の会期でインドネシアの首都ジャカルタ市内で開催された「IIMS(インドネシア国際モーターショー)2026」会場にもビンファストはブースを構えており、IIMS2026で行われたプレスカンファレンスでメインとなったのは、リモグリーンというタクシーを主眼としたフリート販売専用車であった(自家用車ではV3などアルファベットと数字を組み合わせた車名がメインだが、フリート向け車両は「●●グリーン」という車名になる)。

現状、ジャカルタ市内を走っているビンファスト車両は2列シートのクロスオーバーSUVスタイルのBEVタクシーとなるが、リモグリーンは3列シートを備えるMPV(多目的車)スタイルのBEVとなっていた。ブルーバードで主力となるタクシー車両のトヨタ・トランスムーバーはICE(内燃機関)車となるが、3列シートを備えるMPVとなっており(通常時は3列目シートは格納されており、必要に応じてシートとして使っている)、トランスムーバーを仮想ライバルとしながら、BEVであることを強烈にアピール(旅客車両ではBEVであることがアピール材料になる)したいようである。
ビングループのタクシー事業が日本にも上陸する可能性
リモグリーンではないものの、宿泊先からそう遠くない空き地には数百台と思われる、ナンバープレートの新規装着を待つビンファストタクシー車両がストックされていた。巨大コングロマリットがバックにいて資金が豊富なので、やることのスケールが大きすぎると感じる。
筆者はかねがね、このビンファストタクシーの波が日本にも押し寄せる可能性について触れている。日本では大手タクシー事業者が地方の零細事業者を買収やグループ傘下に置く動きが目立ってきている。しかし、事業者を傘下においてもタクシー運転士が十分に確保できない状況が続いている。新型コロナ感染拡大を経て運転士の入れ替えも進み、以前よりは運転士の平均年齢が若返ったとはいえ、それは若干レベルとなっている。

高齢運転士の目立つ日本のタクシー業界に、車両ごと海外の事業者が日本に乗り込むだけではなく、技能実習生として、ベトナム人運転士までセットで参入すれば、そのインパクトは大きいだろう。
一般的な職業では、いまどきは「海外より日本でモノを作ったほうが安くて質の高いものを作ることができる」ともいわれる人件費(世界水準よりも安いということ)などもあり、得られる収入はベトナムのひとから見れば魅力は薄いが、歩合給幅の大きいタクシー運転士は、安定した仕事でもあるし魅力的に映るはずである。スマホアプリ配車専門にすれば、「日本語ができない」といういつもの消極的な意見もそれほど気にしなくていいのではないかと考えている。

もちろん法整備の問題はあるし、インドネシアあたりと比べれば高いイメージの強いタクシー運賃も課題となるだろう(とくに新興国よりは稼働が少ない?)。インドネシア滞在中にブルーバードタクシーに乗った際のクレジット決済が届いたが、空港から市内宿泊先まで1時間弱乗っても2500円程度、市内移動ならば結構な距離を乗っても数百円程度となっていた。
もちろん為替相場や物価の違いなどもあるので単純比較はできないし、現地のひとから見れば高い乗りものなのかもしれないが、インドネシアに限らずさまざまな理由(おもに治安)から公共交通機関の利用を控えざるを得ない新興国で移動する外国人にとっては、多くの新興国でのタクシー料金はお手軽価格に映っているものと見ている。

ビンファストに限らず、車両だけではなくタクシー事業(運転士付き?)として日本に参入してきたら、まず現状ではほぼありえない話ではあるが、スマホアプリ配車以上の革命的なことが日本のタクシー業界に起きるのではないかと考えている。








