“660cc”のスバル「小さな高級車」に高評価!

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“660cc”のスバル「小さな高級車」に高評価!

 現在の軽自動車市場では、広い室内空間と乗り降りに便利な後席スライドドアを備えた「スーパーハイトワゴン」が絶対的な主流となっています。

 各メーカーがこぞってこのジャンルに力を入れるなか、かつてスバルからは、広い室内を持ちながらも「あえてスライドドアを採用しない」という、独自のコンセプトを持った軽トールワゴンが販売されていました。

【画像】超カッコイイ! これが“660cc”のスバル「小さな高級車」です!(58枚)

 それが、2010年から2015年にかけてラインナップされていた「ルクラ」です。

 ルクラの最大の特徴は、背が高く広大な車内空間を確保していながら、先述のように後席のドアに一般的な「ヒンジ式(前開き)ドア」を採用した点にあります。

 広い軽自動車といえばスライドドアという認識が定着しつつあった時代に、なぜルクラはその利便性を採用しなかったのでしょうか。

 そこには、子育て世代だけにとどまらない、より幅広い層へ向けた新しい軽自動車の価値観が込められていました。

 スライドドアは確かに便利ですが、開閉のための複雑な機構や、ボディの強度を保つためのピラーレス補強材などによって、車重が増えてしまうという構造上の弱点があります。

 しかし、ルクラはあえてヒンジドアを採用することで、同等サイズのスーパーハイトワゴンに対して約60kgもの軽量化を実現。

 この車体の軽さは、加速性能やブレーキの効き、燃費の改善に直結し、結果としてステアリング操作に対して素直に反応する、軽快で自然なドライビングフィールを生み出しました。

 さらに、スライドドア機構を省いたことによるコストや重量の余裕は、車内の快適性へと注ぎ込まれました。

 ルクラのシートは、座面に十分な厚みを持たせたボリュームのある仕立てとなっており、まるで“高級リビングのソファ”のような座り心地が追求されていました。

 後席も大きくリクライニングさせることが可能で、大人4人が無理なく足を組んでくつろげる空間を確保。

 内外装の意匠が異なるスポーティな「ルクラカスタム」も設定され、長距離を走っても疲れにくい上質なモデルとして独自のポジションを築いていました。

 こうしたルクラならではのキャラクターについて、インターネット上やSNSでは今なおスバルファンからの声が散見されます。

「スライドドアの便利さよりもシートの良さに惚れ込んで買いました」「新しい便利な軽自動車に乗り換えたけど、ルクラの質感の高さが時々恋しくなる…」「街中で六連星エンブレムのルクラを見かけると、大切に乗り続けるオーナーのこだわりを感じて嬉しい」「中古で安く手に入れたのに高速走行時の安定感と静かさは年式を感じさせない優秀さだ」といった、同車の実力を評価するコメントが寄せられています。

 また、「当時はスライドドアじゃないのを欠点だと思っていたけど、走る楽しさと快適性を両立させる合理的な選択だったんだな〜」と、時を経てそのパッケージングを再評価する意見も見受けられます。

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 スバルの軽自動車の歴史を振り返ると、「R1」や「R2」、そして「サンバー」など、自社開発による個性豊かな名車が数多く存在しました。

 しかし経営資源の選択と集中するため、後にスバルは自社での軽自動車生産からの撤退を決断。

 今回取り上げたルクラも、軽自動車づくりのスペシャリストであるダイハツから「タントエグゼ」のOEM供給を受けたモデルでした。

 ダイハツが持つ優れたパッケージングのノウハウと、スバルが求めた走りの質感が交差したタイミングだからこそ生まれた、非常に興味深い1台だと言えます。