「夜間に目が覚める」「一度起きたら寝られない」中途覚醒の原因は? 睡眠周期との意外な関係

夜中に何度も目が覚めてしまう中途覚醒は、多くの人が悩む不眠症の一つです。本稿ではその特徴や原因、なぜ起こるのかというメカニズムを詳しく解説します。加齢やストレスとの関係を理解することで、適切な対処や予防につなげるヒントが見えてきます。

監修医師:
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)

鳥取大学医学部卒業。「たがしゅうオンラインクリニック」院長 。脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門としている。また、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。日本神経学会神経内科専門医、日本東洋医学会専門医。

中途覚醒の特徴と発生メカニズム

中途覚醒は不眠症の中でも特に多くの方が経験する症状で、夜間に2回以上目が覚め、その後の再入眠に困難を感じる状態を指します。高齢者に多く見られる傾向がありますが、ストレスや生活習慣の乱れにより、若年層や中年層でも増加しています。

中途覚醒が起こる身体的・心理的背景

中途覚醒には、加齢に伴う睡眠構造の変化が関係しています。年齢とともに深い睡眠(徐波睡眠)の割合が減少し、浅い睡眠の割合が増えるため、些細な刺激でも目が覚めやすくなります。また、睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害などの睡眠関連疾患、頻尿や痛みなどの身体症状も中途覚醒の原因となります。心理的要因としては、不安や抑うつ状態、過度のストレスが挙げられます。特に、夜中に目が覚めることへの不安が強まると、かえって覚醒が習慣化してしまう悪循環に陥ることがあります。ホルモンバランスの変化も影響を及ぼし、女性では更年期のホルモン変動により中途覚醒が増加することが知られています。

中途覚醒と睡眠周期の関係

人間の睡眠は、約90分周期でレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返すサイクルで構成されています。健康な睡眠でも、このサイクルの切り替わり時には短時間の覚醒が生じることがあります。通常はすぐに再入眠するため意識されませんが、何らかの要因で完全に覚醒してしまうと、中途覚醒として認識されます。睡眠の前半はノンレム睡眠の深い段階が多く、後半になるとレム睡眠の割合が増え、覚醒しやすくなります。このため、明け方に近づくほど中途覚醒が起こりやすくなる傾向があります。睡眠周期を理解し、自然な睡眠リズムを尊重することが、中途覚醒への対処において重要となります。

まとめ

良質な睡眠は、心身の健康を維持するために欠かせない要素です。不眠症は適切な対処により改善が期待できる疾患であり、睡眠薬に頼らない方法も数多く存在します。生活習慣の見直しや環境調整、認知行動療法などの非薬物療法を継続的に実践することで、自然な睡眠リズムを取り戻すことができます。中途覚醒に悩む方も、その原因を特定し適切な対処法を取り入れることで、症状の軽減が見込めます。自分に合った方法を見つけるためには、まず自身の睡眠パターンや生活習慣を見直し、できることから少しずつ実践していくことが大切です。症状が改善しない場合や日常生活に支障が出ている場合は、専門医療機関への受診をご検討ください。

参考文献

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」

日本睡眠学会「ガイドライン」

国立精神・神経医療研究センター「不眠症に対する認知行動療法

e-ヘルスネット(厚生労働省)「不眠症」