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「毎月節約しようと思っても続かない…」「貯金しようと決意しても、気づけば残高がゼロ…」こうした悩みを持つ人は多いのではないでしょうか。明治大学教授の堀田秀吾先生は、「お金が貯まらないのは、私たちの脳や心には、知らないうちに貯蓄を妨げる『クセ』が仕込まれているから」と語ります。そこで今回は、堀田先生の著書『科学的に正しい[お金が貯まる]習慣』から抜粋し、世界の名門大学の研究で証明された「科学的にお金が貯まる習慣」をご紹介します。

【書影】貯蓄は習慣が10割。堀田秀吾『科学的に正しい[お金が貯まる]習慣』

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無意識のうちに貯める必殺技! 「天引き」

私たちの脳には知らないうちに貯蓄を妨げる「クセ」がありますが、そのクセを逆手に取れば「最強の貯蓄の必殺技」にもなり得ます。それが、いわゆる、給料の「天引き」です。

お給料が入った瞬間、まるで魔法のように一定額が貯蓄口座へ移動するシステム。そう、まさに「最初からなかったこと」にしてしまうのが、この「天引き」システムです。

たとえば、給与口座から貯蓄口座へ毎月自動振替を設定し、残ったお金だけで生活すれば、使いすぎへのブレーキが自然にかかります。

金額は最初は少なくてかまいません。まずは月3000円でも「ゼロではない貯蓄」を固定化することが大切です。

行動経済学の「ナッジ」理論に基づいている

ライス大学のドーラキアらの研究でも、新しい仕事に就いた際に、給与から自動で貯蓄される仕組みを選んだ人は、そのまま貯蓄を続けやすいことが示されています。

手元にお金がないと思えば、人はそれを使おうとしないので、気づけばどんどん貯まっている、というわけです。

この「天引き」の考え方は、行動経済学の「ナッジ」理論に基づいています。

「ナッジ」というのは、人が無意識のうちに正しい選択をするよう、そっと後押しする「優しい仕掛け」のことです。

意思の力に頼らず、迷う回数そのものを減らすのがコツです。

「根性」ではなく「仕組み」で増やす時代

たとえば、全米経済研究所のパターソンとスキミーホーンが行った米国陸軍での大規模な実証実験では、いろいろな方法を比較した結果、もっとも効果的で、かつ費用対効果が高かったのは、「自動加入」(自動積み立てまたは財形貯蓄)でした。

自動的に貯蓄されるように設定されている人が圧倒的に貯まった、ということです。


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このように、貯蓄は「根性」ではなく「仕組み」で増やす時代です。

あなたの金融リテラシーが「貯蓄額」に直結するためには、この「天引き」のような行動を後押しする仕組みが非常に重要です。

まずは「給料日翌日に自動で移す」を一つ決めて、生活をそれに合わせる。これだけで、貯蓄はぐっと現実的になります。

ひとことアドバイス

今日から、お給料が入ったらまず貯蓄する仕組みをつくってみませんか?
ちりも積もれば山となる、未来のあなたがきっと感謝しますよ!

出典: Dholakia, U., Tam, L., Yoon, S., & Wong, N.(2016). The Ant and the Grasshopper: Understanding Personal Saving Orientation of Consumers. Journal of Consumer Research, 43(1), 134-155.
Patterson, R. W., & Skimmyhorn, W. L. (2022). How do behavioral approaches to increase savings compare? Evidence from multiple interventions in the U.S. Army (NBER Working Paper No. 30697). National Bureau of Economic Research.

※本稿は、『科学的に正しい[お金が貯まる]習慣』(扶桑社)の一部を再編集したものです。