沖縄・東京の二拠点居住者が指摘する 東京人が沖縄ではまる失敗の落とし穴
東京の交流会ならではのスピード感
東京と沖縄の二拠点居住している私は、東京、沖縄のどちらでもビジネス交流会によく参加しています。その度に気づかされるのが、両者でのコミュニティの「育て方」が、まるで異なるということです。
東京の交流会では、初対面の人であってもお互いの仕事内容がある程度わかり、親和性があると感じた段階で「一緒に何かやりましょう」「ちょうど良い人を紹介しますよ」という展開になることが珍しくありません。
そして、初対面から数時間で、具体的なビジネスの話へとどんどん進んでいく。このスピード感は、東京ならではのダイナミズムだと感じています。
こうした短時間で相手を見極め、時間の密度を圧縮することに慣れた東京の経営者にとって、これはごく当たり前の感覚なのだと思います。
沖縄では「時間」が信頼をつくる
一方、沖縄では、こうした東京と同じやり方がなかなか通じないことのほうが多いのです。
沖縄の経営者、あるいは沖縄に根を下ろして仕事を展開されている方は、ビジネスにおいてとても慎重です。特に県外からやってくる相手に対しては、なおさらそうした傾向が強いのです。
これを「閉鎖的」と感じる人もいらっしゃいます。でも、私はそう思っていません。沖縄の経営者は、ただ少し怖いのだと思います。よく知らない県外の経営者に騙されやしないか、とうことです。
何か問題が起こったら、海の向こうに逃げられたら追いかけられない、という実感がそこにはあります。
沖縄の人口はおおよそ156万人で、47都道府県の真ん中あたりの25番目です。とはいえ、那覇市、沖縄市、うるま市に人口が集中しており、四方を海に囲まれた島の県です。
それだけに、悪評はすぐに広まります。しかも、繋がっている人たちの絆は強く、顔の見える関係の中でしか、本当の信頼は生まれにくい土地柄なのです。
いっしょに飲んで、歌って、踊って、笑いあって――そうした時間を何度も重ねて、はじめて「この人なら大丈夫」という仲間意識が生まれる。とても人間味溢れるコミュニティのつくり方をします。
東京の経営者が陥りがちな「すれ違い」
そんな沖縄のペースをよく知らないまま来沖した経営者に、よくある笑い話があります。
飲みの席でビジネストークが大いに盛り上がり、翌日「ではさっそく打ち合わせを」と連絡してみると、沖縄の人は何も覚えていない――というものです。
こうなると沖縄外から来た人は「沖縄の人はほんといい加減だ」となってしまう人が多いのですが、お酒の席での話はあくまで「その場の空気」であって、具体的な約束として感じて受けていないことが多いのが沖縄人なのです。
このすれ違いをも笑い飛ばせるくらい、おおらかさと余裕が、沖縄のビジネスにはお互いに必要なのだと思います。
東京流のスピードやシャープさに慣れた経営者の中には、この空気感に耐えられず「自分には合わない」と感じて離れていく方も私は多く見てきました。
そうした方は、沖縄でビジネスをしようとするよりも、観光でリフレッシュするためだけに来沖するほうが、双方にとって有意義な場合もあるのではないかと、率直にそう思います。
二拠点生活だからこそ気づけた「いいとこどり」
では、自分はどちらが合っているかと聞かれると、「どちらも」と答えています。
ただ沖縄だけにいると、楽しさに引っ張られて仕事のペースが落ちてしまいそうです。しかし、東京だけにいると、今度はピリピリとした緊張感に窮屈になってくる。
この東京と沖縄の2箇所を行き来して、その違いで気持ちや生活スタイルのバランスをとることも、二拠点居住の良さではないかと思います。東京と沖縄――今の自分にはちょうどよく心地よいのです。
最近は沖縄移住ブームで、多くの方が来沖しています。ただ、旅行で感じた沖縄と、ビジネスで関わる沖縄はまったく別物です。
沖縄の人との関わり方の「違い」を受け止めて楽しみ、ビジネスができるか。
移住やビジネスを考えている方には、ぜひ一度じっくりと吟味していただきたいと思います。
