相場展望3月23日号 米国株: トランプ氏の下、「関税・イラン戦争->金利上昇->株式悪化」 日本株: 日経平均は大幅下落で正念場、イラン攻撃で「調整局面入り」
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)3/19、NYダウ▲203ドル安、46,021ドル 2)3/20、NYダウ▲443ドル安、45,577ドル【前回は】相場展望3月19日号 米国株: 米国のイラン攻撃は、トランプ氏の失敗->米国は撤退を予想 日本株: 「遠い戦争は株買い」だが、「ホルムズ海峡封鎖は株売り」
●2.米国株:トランプ氏の下で、「関税・イラン戦争->金利上昇->株式市場は悪化」
1)トランプ氏が抱える悪材料 (1)最高裁からの相互関税の違憲判決 (2)政府効率化省(DOGE)は鳴り物入りでスタート、小さすぎる成果で撤退 (3)イラン戦争は短期終結ならず、4週間目に突入しさらに長期化懸念 (4)原油価格の上昇(ガソリン価格の急騰) (5)雇用情勢の悪化(失業率上昇) (6)インフレ懸念の加速(生産者物価指数(PPI)の予想外の上昇) ・2月生産者物価指数(PPI)の予想外の上昇 -> 企業の値上げ -> インフレ懸念の高まり -> 金利上昇 -> 株価マイナス ・イラン紛争勃発 -> 原油価格100ドル超 -> インフレ -> 金利高 -> 株売り (7)エプスタイン関連の波紋 (8)中間選挙を控えた共和党内の動揺拡大 (9)大規模な不法移民追放政策への逆風 (10)親トランプ派(MEGA)内の亀裂の兆し (11)連邦財政の改善どころか、むしろ悪化が進行 ・相互関税の返済(約26兆円)、イラン軍費増(約34兆円)、歳出増2)トランプ氏の下で、「関税・イラン戦争->金利上昇->株式市場は悪化」 (1)米国ではガソリン価格の騰落が「家計を直撃」する構造になっている。 ・ガソリン価格の推移 米国、1ガロン当たりのガソリン価格(ドル) (円ドル159円換算) 2025年3/25 2.2102(351円) 2026年1/06 1.7216(273円) 2/27イラン攻撃前日 2.2500(357円) 3/20 3.2898 (523円)
・イラン攻撃前日->3/20の上昇率は+46.21%。 今年1/06->3/20は、+91.08%上昇している。
・ガソリン価格が1ドル上昇で、家計の食料品購入が約▲4.4%減少すると言われている。
・香港では、ガソリン価格が1リットル=620円(31香港ドル)に急伸。なお、深圳でのガソリンの値段は、香港の約3分の1と言われる。
(2)トランプ政権はインフレ政策を推進 ・トランプ関税で、負担した輸入業者は値上げし、消費者に転嫁。
・イラン攻撃はインフレ加速に直結。 ・膨大な戦費は、膨大な購買で需要を刺激->値上げをリード。 ・急速な原油高。 (3)イラン戦費は、最初1週間で1.75兆円費消、追加申請32兆円(総額約34兆円) ・イラン戦費は、最初1週間で110億ドル、追加申請2,000億ドル。 ・追加の2,000億ドルは、2020年新型コロナ救済法案以来となる。因みに、ウクライナの2022年からの安全保障支援額の650億ドルを遥かに超える。
(4)トランプ氏が始めたイラン攻撃を起因として、原油価格が急騰した。このため、インフレ懸念が増したため、今後の利下げ期待が悲劇的な見方に傾いたようだ。
3)米国株、下落続く (1)下落理由 (1)イラン攻撃拡大を懸念 ・イラン戦費の拡大は、「連邦財政の悪化」につながる。さらに、エネルギー資源や肥料・基礎資材などの「価格上昇」も加わると「金利上昇圧力」がかかる。 (2)利下げ観測後退と金利上昇 ・金利水準の推移 2年債 10年債 3/17 3.674% 4.199% 3/20 3.909 4.384 上昇率+6.39%上昇 +4.40%上昇 ・利下げ後退どころではなくなった。
・イラン戦争->原油価格急騰->主要中央銀行がインフ懸念強める->債券売り->金利上昇(FRBが10月までに利上げを行う確率50%)という悪いサイクルに入る可能性が高くなっている。
・金利上昇は、 (1)株価の下落 (2)住宅・カード・自動車ローン・学生ローンの焦げ付きの増加 につながる。 さらに、米国経済の下振れリスクも高めてしまう。
(2)米国・イスラエルのイラン攻撃が2/28に始まって以来の推移(終値ベース) WTI原油 10年物金利 NYダウ 日経平均 2/27 67.02ドル 3.938% 48,977ドル 58,850円 3/20 94.74 4.384 45,577 53,372(3/19) 増減幅+27.72ドル増 +0.446%増 ▲3,400ドル減 ▲5,478円減 増減率+41.36%高 +11.32%高 ▲6.94%安 ▲9.30%安 ・悪いスパイラルに落ち込んでしまった。 ・イラン攻撃で、WTI原油の高騰->金利上昇->株価大幅安の構図にはまり込んでしまった。
●3.イラン、米国のカーグ島占領検討に対抗し「紅海封鎖」も選択肢(毎日新聞)
●4.イラン、カタールのガス施設を攻撃、世界のヘリウム供給量の3割が生産停止(AP)
1)ヘリウムは、半導体製造・宇宙ロケット・医療用画像診断においても重要な原料となっている。●5.クウェート製油所に無人機が攻撃、火災で稼働停止、イランの報復か(共同通信)
1)クウェートの製油所は日量73万バレルを精製。 2)3/18以降、カタールやUAE、サウジアラビアでLNG関連施設や製油所が攻撃を受けている。●6.ロバーツ米国連邦最高裁長官、トランプ氏に異例の警告「判事への人格攻撃をやめろ!」(kangnamtimes)
●7.サウジアラビア石油当局者、「イラン情勢で供給不安が4月下旬まで続くと原油価格は180ドルの可能性」と3/19予想(ウォル・ストリート・ジャーナル)
●8.米国が10月までに利上げを行う確率、50%に上昇=短期金融市場(ブルームバーグ)
1)米国債相場は3/20に大きく下落(利回りは上昇)し、短期金融市場では10月までに利上げが行われる可能性が50%に上昇した。 2)中東での紛争が長引けば世界的なインフレを招くとこ懸念が背景にある。●9.米国1月新築住宅販売件数は前月比▲17.6%減の58.7万戸、予想外に12月から減少
1)寒波で需要後退。(zai)●10.国防総省、イラン戦費2,000億ドル超(約31.9兆円)追加要求、中東への追加派遣
1)米国は最初の1週間で約110億ドル(約1兆7,500億円)超を費やした。(朝日新聞) 2)議会の反発は必至とみられている。■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)3/19、上海総合▲56安、4,006 2)3/20、上海総合▲49安、3,957■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)3/19、日経平均▲1,866円安、53,372円 2)3/20、祝日「春分の日」で休場●2.日本株:日経平均は大幅下落で正念場、イラン攻撃で「調整局面入り」
1)日経平均は大幅下落で正念場、イラン攻撃で「調整局面入り」の▲10%超安 (1)日経平均のイラン攻撃(2/28)以来の推移 2/27 58,850円 3/19 53,372 差引 ▲5,478円下落 下落率 ▲9.30%下落(2)3/23先物日経平均は調整局面入りとされる▲10%を超えると示唆 3/20先物(CFD)▲2,052円安(予想) 2/27比 ▲7,530円下落 下落率 ▲12.79%下落
(3)留意する問題点は、3/23には日経平均がイラン攻撃前比で▲12.79%安となっていることである。「株価調整」局面入りと判断される▲10%を上回る下げとなる。
(4)調整局面入り基準の▲10%に達した場合、 (1)反発 (2)更なる下落への号砲 の2つのケースが考えられる。 ・過去の事例では「(1)反発」の例が多い。しかし、今回は「ホルムズ海峡封鎖」の解決への進展次第になるだろう。もし、トランプ政権が「イランへの地上軍の侵攻」に踏み切った場合、米国はベトナム戦争、アフガニスタン戦争の撤退に次ぐ3回目の敗戦につながる可能性が濃厚だ。
(5)原油高は (1)原材料価格の上昇に加えて、燃料費や運送費などのコスト増につながり、2027年3月期の企業業績にも悪影響を及ぼす。肥料や農機の運営で農業や、燃費高で船が出せないなど漁業への影響も想定できる。 (2)国民生活にも、値上げによる物価上昇でインフレが襲う。そして、エンゲル係数はさらに上昇し、国民の生活苦が増す。政府備蓄がないナフサ在庫は少なく、注射器や輸液バック・医療手袋が市場から消える恐れがある。医療危機が迫る。ナフサを原料とした農薬も作れなくなる。 (3)インフレ抑制のため、長期金利の上昇も見込む。
2)株価反発への期待要因 (1)今週後半からは、3/27の配当権利付きの最終配当日や、配当再投資の買いが期待される。 (2)3月期末決算向けのお化粧買いもあろう。 (3)3月期決算発表で好業績銘柄が買われやすい。 (4)海外投資家の買い期待。
3)日経平均寄与度上位5銘柄の推移 (1)3/19 、日経平均▲1,866円安、寄与上位5銘柄で▲810円安・占有率43.40% ・寄与上位5銘柄 寄与下げ額 株価下げ額 アドバンテスト ▲308円安 ▲1,150円安 ファーストリテイ ▲194 ▲2,420 ソフトバンクG ▲154 ▲192 東京エレクトロン ▲96 ▲960 信越化学 ▲58 ▲347 合計 ▲810 ・下落寄与5銘柄の下寄与度は43.4%と今までと比べ小さい。全面安の展開となった。
(2)3/20、祝日「春分の日」で休場
●3.日本船のホルムズ海峡の通過「認める用意」、イラン外相(共同通信)
1)イランのアラグチ外相が3/20、共同通信の電話インタビューに応じ、封鎖状態のエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡について、日本側との協議を経て日本関連船舶の通過を認める用意があると明らかにした。●4.対米国投資第2弾は11.5兆円、小型原発・天然ガス発電施設を建設へ(朝日新聞)
1)次世代原発の小型モジュール炉 6.3兆円 テネシー州・アラバマ州 日立 天然ガス発電施設 5.1兆円 ペンシルバニア州・テキサス州2)海洋鉱物資源開発(南鳥島・レアアース)で日本・米国協力 (共同通信)
●5.産経省、メガソーラー導入支援は2027年以降、補助対象外に(時事通信)
1)環境破壊につながるソーラー開発が相次いだため。 2)住宅用や事業用の屋根設置型の太陽光発電の支援は続ける。■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・7974 任天堂 「ぽこ あ ポケモン」発売執筆者プロフィール
中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou
