Image: Crusoe

ちょっとした“街サイズ”だもの、そりゃ住民も困惑するはず。

アメリカ・ワイオミング州に全米最大級のデータセンター・キャンパスが建設されることが正式に決まりました。

この決定に、地元住民の間では困惑と不安の声が広がっています。

理由は、建設予定地が地方都市のすぐ近くなうえに、10ギガワットという途方もない規模だから。

経済効果が見込める一方で、生活に影響が出る可能性もあり、賛否両論、物議を醸しているんです。

アメリカ最大級の巨大プロジェクト

ワイオミング州ララミー郡シャイアン南部に、発電所とデータセンター・キャンパスに関する2つの施設が建設されます。

発電所のプロジェクトは、「BFC Power」および「Cheyenne Power Hub」と呼ばれ、TallGrass Energyが開発を担当。ここで発電された電力は、AIインフラ企業のCrusoeが建設する「Project Jade」データセンター・キャンパスに供給される予定です。

TallgrassとCrusoeは7月に提携を発表しており、データセンター・キャンパスは初期段階では1.6ギガワット規模で稼働予定。将来的には、最大10ギガワットまで拡張可能であることが明らかになっています。

Wyoming Tribune Eagle紙によると、CrusoeとTallgrassは今年第1四半期にも建設を開始する見込みで、最初のデータセンター施設は2027年末までに稼働を開始する予定です。

完成すれば、単一のAIデータセンターとしてはアメリカ最大級になります。

街をひとつ作るレベルの大きさ

ところで、アメリカ最大級と言われてもピンとこないと思いませんか?

Inside Climate Newsが入手した資料によると、このプロジェクトは、シャイアン市の南約8マイル(約13km)に位置するスイッチグラス・インダストリアルパークに建設されるそう。

約600エーカー(約243ヘクタール)の敷地に、5棟のデータセンターと2棟の付属建屋、関連するインフラ設備が作られます。また、隣接する約659エーカー(約267ヘクタール)の敷地に、発電プロジェクトが建設される予定です。

ふたつの敷地を合わせると東京ドーム約110個分。もはや「施設」というより、ひとつの街と言ったほうが近い規模です。

ちなみに、将来的には最大10ギガワットまで拡張できる設計だと書きましたが、この10ギガワットは、数百万世帯分の電力消費量に匹敵するレベルです。それが、AIの学習や推論を行なう巨大なコンピューター群に使われるんですね。

期待される経済効果と住民のリアルな不安

この計画を承認した郡の委員会は、雇用を生み、税収を増やし、長期的な経済成長を期待しています。

しかし、建設予定地の近くに住む人たちは困惑しています。

シャイアン市はワイオミング州の首都ですが、人口は6万5000人前後です。周辺は静かな農村や住宅地。そこに東京ドーム110個分の施設がドーンとできるのですから、戸惑うのは当然でしょう。町の様相が変化するだけでなく、環境などへの懸念もあります。

たとえば、地下水の大量使用、ガスタービンによる大気汚染、排水池の設置など。実際、これまでの研究でも、データセンターは大量の水を使い、微粒子汚染を引き起こし、地域の電気代を押し上げる可能性があると指摘されています。

「AIのために生活環境が犠牲になるかもしれない」と、住民は手放しで喜べない状態にあるのです。

持続可能は本当に実現可能?

とはいえ、開発側も対策を考えていないわけではありません。

Crusoeは、水を循環再利用するクローズドループ冷却を導入すると説明していますし、発電を担うTallgrass Energyは、CO₂を地下に閉じ込める回収・貯留技術(CCS)を活用できると言っています。将来的にはこの地域で開発される再生可能エネルギーも組み合わせる構想がある、とも。

ただし、これらはまだ計画段階です。本当に環境負荷を抑えられるのか、地域にとってプラスになるのかは、実際に稼働してみないとわかりません。

AI時代を支えるのはどこの誰なのか

AIの発展は止められず、それに伴って、支えるインフラも巨大化の一途をたどっています。でも、その裏側で誰かに、どこかに皺寄せがいくのかも。誰もがwin-winになればいいのですが、そうじゃなかったとしたら?

ワイオミングは、AI時代のエネルギーと環境の問題の落とし所や最適案を知るうえで注目すべき場所になりましたね。

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