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スタッツ・ブラックホーク

スタッツ・ブラックホーク(1971年登場)は、ネオクラシックデザインの中でも最も豪華で過激な例の1つだった。デザインへの賛否はさておき、ブラックホークは贅を極めた仕様で、車内には24金メッキのトリム、ミンクのカーペット、酒類収納庫が備わっている。

【画像】法規制で生まれたコンパクトなラグジュアリーセダン【マーキュリー・モナークを詳しく見る】 全24枚

著名な所有者は数多く、エルヴィス・プレスリー、ルシル・ボール、エルトン・ジョンらが名を連ねる。しかし、ニッチな市場を狙ったこと、そして世界的にもスタッツの知名度が高くなかったことから、徐々に人々の記憶から薄れていった。


スタッツ・ブラックホーク

シボレー・シェベル・ラグナ

ラグナは3代目シェベルの中でもごく少数しか生産されず、今日では非常に希少な存在である。大きな特徴の1つはウレタン製フロントエンドで、これにより見た目を損ねる70年代の角張ったバンパーを装着せずに、安全基準を満たすことができた。

ラグナは1973年の発売当初、高級感と優れた性能により好評を得た。245psを発生する7.4L V8エンジンの力を借りて、NASCARで勝利を収めたドライバーも数名いる。


シボレー・シェベル・ラグナ

オールズモビル・オメガ

シボレー・ノヴァを覚えている人は多いが、その高級版であるオールズモビル・オメガを覚えている人は少ないだろう。1973年から1984年まで生産されたオメガには、クーペ、セダン、ハッチバックのボディタイプが用意されていた。

初代と2代目のオメガは、ノヴァの優れた要素をすべて継承し、標準装備のラジアルタイヤやフロントディスクブレーキに加え、オールズモビル独自の改良が施されていた。例えば、トレードマークであるオールズモビルのウォーターフォールグリルや、内装の木目調トリムが高級感を演出している。しかし、3代目オメガは不評で、度重なるリコールの後、人々の記憶から消えていった。


オールズモビル・オメガ

写真:1975年式オメガ・サロン

フォード・エリート

エリートは元々グラン・トリノの最上級グレードだったが、単一のモデルとして独立後、わずか2年間のみ生産された。1974年から1976年にかけて、フォードは急成長中のパーソナルラグジュアリーカー市場にエリートを投入し、シェア獲得を試みた。

充実した標準装備に加え、個性的なスタイリングやオペラウィンドウといった独自のデザイン要素を備えている。しかし残念ながら、70年代半ばにはパーソナルラグジュアリーカー市場は飽和状態に達しており、エリートはビュイック・エレクトラやオールズモビル98といったライバル車ほどの人気を得られなかった。短い生産期間も相まって、いつの間にか忘れ去られてしまった。


フォード・エリート

マーキュリー・グランドモナーク・ギア

高級セダンのマーキュリー・モナークの最上級グレードであるギアは、コンパクトな車体に快適装備を満載し、大型車とラグジュアリーを結びつける長年の米国車のイメージを覆した。フォード幹部の60%が自家用車として選び、ヘンリー・フォード2世もその1人であった。

グランドモナーク・ギアはわずか2年間しか生産されず、その後はバッジエンジニアリングによりリンカーン・ヴェルサイユとして販売された。マーキュリー版とは異なり、ヴェルサイユは大きな論争を呼び、評価も低く、グランドモナーク・ギアの記憶を曇らせてしまった。


マーキュリー・グランドモナーク・ギア

クライスラー・コルドバ

クライスラー・コルドバは、メキシコ出身の俳優リカルド・モンタルバンが「柔らかなコリントレザー」と謳ったテレビCMで有名になった。このモンタルバンの魅惑的な英語発音はその後数年間、多くの人々に真似されたが、クルマ自体は当時成功したにもかかわらず、今ではあまり記憶されていない。

コルドバはパーソナルラグジュアリーカーとして1975年から1983年まで生産され、贅沢なコリントレザーに加え、オペラウィンドウや長くスタイリッシュなボンネットを特徴としていた。ボンネットの下にはV8エンジンと滑らかな変速のオートマティック・トランスミッションが搭載されている。コルドバは70年代中盤から80年代にかけての他の米国車と同様、見過ごされがちな存在だ。当時の米国車は大きすぎて燃費が悪く、作りもあまり良くないという評判だったからだ。それでもコルドバはもっと評価されるべきだった。


クライスラー・コルドバ

ポンティアック・フェニックス

1977年に登場したフェニックスは、スタイル、信頼性、快適性をうまく融合させたモデルだった。少なくとも初代フェニックス(ポンティアック・ベンチュラをベース)はそうだった。140psのLG3 V8エンジンをはじめとする強力なエンジンラインナップも用意された。

しかし、2代目モデルは度重なるリコールに見舞われ、残念ながらフェニックスの評価を傷つけることになった。発売から5年後にグランダムに取って代わられた。


ポンティアック・フェニックス

クライスラーによるインペリアル

長い休止期間を経て、1980年に最上級ブランド『インペリアル』が復活した。今回はクライスラーの名を冠さず、新たな10年に向けたコンパクトなパーソナルラグジュアリーカーとして登場。豪華な装備と、クラシックなロールス・ロイスを思わせる特徴的なバスルバックスタイルを備えている。

インペリアルはフランク・シナトラをイメージキャラクターに起用し、彼のイニシャルを冠した特別仕様『fs』も用意された。優れたクルマだったが、経済不況とガソリン価格高騰の真っ只中という最悪のタイミングで発売された。インペリアルの生産は1980年から1983年までしか続かなかった。


クライスラーによるインペリアル

フォードEXPターボクーペ

EXPは現在まで、フォードが米国で生産した最後の2人乗りコンパクトカーである。エスコートをベースにした独特なスタイルのスポーツクーペで、1982年から1988年モデルまで販売された。ヘッドライトデザインは初代サンダーバードに着想を得ている。

ベースモデルはやや非力だったが、ターボバージョンは出力を120ps、トルクを16.6kg-mまで引き上げた。これにより楽しい小型車となったものの、ホンダCR-Xのような輸入車や、ポンティアック・フィエロといった国内競合車ほど人気を得ることはできなかった。今ではほとんど忘れ去られ、過小評価されているのも無理はない。


フォードEXPターボクーペ

ダッジ・ランサー・シェルビー

三菱のランサーと混同しないように。こちらは1985年から1989年まで生産されたダッジのコンパクトカーで、本質的にはクライスラー・ルバロンGTSのバッジエンジニアリング版だった。しかし、独自のパフォーマンスモデルが数種類存在する。中でも最も注目すべきはシェルビーのパフォーマンスパッケージである。

シェルビー工場で800台が生産され、1988年にクライスラーが生産を引き継いだ後さらに487台が出荷された。ランサー・シェルビーは、短いスプリング、クイックなステアリング、強化されたスタビライザーに加え、レザーシートやCDプレーヤーといった快適装備を備えている。改良型ターボIIエンジンは175psを発揮。キャロル・シェルビー自身がこのモデルを宣伝している映像があるが、今日、再評価に値する1台だ。


ダッジ・ランサー・シェルビー

シボレー・ベレッタ

カマロやコルベットと同じデザインスタジオで、2ドアの低価格クーペが設計されるとは誰も思わないだろう。だが、シボレー・ベレッタはまさにそれだ。ベレッタのGTU、GTZ、Z26モデルはそれなりの性能を持ち、1990年のインディ500では公式ペースカーも務めた。

販売台数も悪くはなく、特に1988年が好調だった。しかし、ベレッタは同時代の他車ほど収集価値はなく、存在感も薄い。


シボレー・ベレッタ

イーグル・プレミア

プレミアはAMCとルノーの協業で生まれた最後のモデルである。1988年にクライスラーがAMCを買収した後、新たなイーグルブランドから販売された。イーグル自体が短命に終わったため、プレミアも今日ではあまり記憶に残っていない。しかし、AMCの血筋を引く最後のモデルとして、歴史的に重要な1台である。

抑えの利いた優雅なクルマで、驚くほど広い車内空間と、雨量を感知する自動可変速ワイパーなど数々の先進機能を備えていた。


イーグル・プレミア

ビュイック・リアッタ

ゼネラルモーターズ(GM)は80年代後半から90年代初頭にかけて、ポンティアック・フィエロやキャデラック・アランテといったスポーティな2シーター車を次々と投入した。このときビュイックから販売されたのがリアッタだ。1988年から1991年まで生産された軽快なGTである。リトラクタブルヘッドライトやデジタルダッシュボードはもちろん、ボーズ製サラウンドサウンドなど、1980年代の特徴的な装備を揃えていた。

しかし、顧客の多くは姉妹ブランドの競合車やレクサスSCのような輸入車に流れていった。ビュイックは当初、年間2万台の販売目標を掲げていたが、4年間の生産期間全体でわずかにそれを上回る台数しか売れなかった。


ビュイック・リアッタ

ダッジ・スピリットR/T

1991年のR/Tは「米国製最速セダン」と謳われたが、それには十分な根拠があった。ロータス設計のターボチャージャー付き2.2Lエンジンにより、最高出力224psと最大トルク30kg-mを発生する。

ダッジ・スピリットのR/T仕様が販売されたのはわずか2年間で、名を残すには短すぎた。また、BMW M5のような競合車に比べてはるかに地味なデザインだった。


ダッジ・スピリットR/T

ベクターW8

ベクター・エアロモーティブは1978年に衝撃的なW2コンセプトを発表したが、量産モデルがようやく登場するまで10年以上を要した。W8は1989年から1993年にかけて22台のみ生産された。

W8は未来的な夢のクルマだった。航空機風の操縦装置、ふんだんに使われたカーボンファイバーとケブラー素材、そして最大の目玉である600ps超のツインターボV8を搭載。ボンネビルで最高速度390km/hを記録したとも伝えられている。しかし、生産台数の少なさや信頼性の低さから、残念ながら歴史に埋もれてしまった。


ベクターW8

GMCタイフーン

最近、高性能SUVが流行っている。だからこそGMCタイフーンは復活に値する。つまるところ、このモデルはレンジローバーと同じ要素を備えている。豪華な内装、4輪駆動の性能、優れたハンドリング、そして0-97km加速5.3秒という驚異的な加速性能だ。

タイフーンは本質的に、ピックアップトラックのGMCサイクロンにSUVボディとターボチャージャーを装着しただけのモデルだ。生産期間はわずか2年で、総生産台数は4697台に過ぎない。そのため現在では希少かつ知られざる存在となっている。


GMCタイフーン

イーグル・ビジョン

クライスラーがランボルギーニを買収した後、同社はランボルギーニ・ポルトフィーノ・コンセプトの革新的な「キャブフォワード」デザインに着想を得て、先進的な高級セダンの開発を決めた。こうして誕生したのが、1992年から1997年まで販売されたフルサイズラグジュアリーカー、イーグル・ビジョンである。

イーグル・ビジョンは、そのデザインを活かして広い車内空間を確保しつつ、欧州車風のサスペンションと強力な3.5L V6エンジンを搭載している。イーグルブランドは短命に終わり、ビジョンのことを覚えている人はもうほとんどない。


イーグル・ビジョン

オールズモビル・アチーバSCX

オールズモビルは常に、実用的なファミリーカーとハイオクタンの高性能車というイメージバランスを取ることに苦心していた。アチーバSCXは、そのバランスをうまく実現した数少ない例だ。1992年から1998年までの生産期間中、アチーバSCXはオールズモビルのラインナップにおいて最もパワフルでハンドリングに優れたコンパクトカーであった。ワイドタイヤ、アルミホイール、強化サスペンション、そして190psを発揮する自然吸気直列4気筒エンジンといったさまざまな性能向上措置が施されていた。

そのため、SCCAグランダム・ワールドチャレンジやIMSAファイヤーホークでも高い競争力を発揮した。しかし現在では、他の90年代のオールズモビル車と同様、アチーバは多くの人の記憶の中で「おばあちゃんの車」として扱われている。


オールズモビル・アチーバSCX

フォード・コントゥアSVT

1998年から2000年にかけて生産されたこの高性能セダンは、フォードのスペシャル・ビークル・チーム(SVT)が開発したコントゥアの派生モデルだ。特別仕様の2.5L V6エンジンとスポーツサスペンションを搭載し、195psを発生。0-97km/h加速は7.5秒を記録した。さらに特筆すべきは、5速マニュアル・トランスミッションのみの設定だった点だ。

コントゥアは決して大ヒットしたモデルではない。結果として、コントゥアそのものを知る人すら少なく、ましてやSVTバージョンに至っては聞いたことがある人はほとんどいないだろう。


フォード・コントゥアSVT

サリーンS7

このS7は、2000年にサリーン・オートモーティブ社が発表したハンドメイドのスーパーカーだ。アルミニウムとカーボンファイバーの軽量シャシーを採用し、最高出力550psの7.0L V8エンジンを搭載している。後期モデルでは最大750psを発生し、最高速度は400km/hに達した。

サリーンS7は米国のスーパーカー技術が成し得た傑作であり、世界トップクラスの性能と衝撃的なデザインは人々の記憶に残って然るべきだ。しかし、サリーンは他の有名なスーパーカーブランドに影を潜めてしまっている。


サリーンS7

コミューターカーズ・タンゴ T600

このマシンは最高出力800ps、0-97km/h加速3.2秒、最高速度240km/hという信じられない性能を誇る。この超ナローな電動マイクロカーからそんな性能が発揮されるとは、誰も予想しなかっただろう。タンゴT600はわずか12台のみ生産され、2005年にジョージ・クルーニーが1人目のオーナーとなった。著名人の顧客を抱えていたにもかかわらず、タンゴは高価格と実用性の低さから普及には至らなかった。近いうちに道路でこのクルマに追い抜かれることはまずないだろう。

それでも、都市部の渋滞解消への試みはもちろん、その狂気じみた性能数値だけでも記憶に値するクルマだ。


コミューターカーズ・タンゴ T600