ペ・ドゥナ×前田亜季×香椎由宇×関根史織、『リンダ リンダ リンダ』驚きの秘話と4人の絆
高校生活最後の文化祭前日に突如バンドを組んだ女子高生たちが、文化祭でブルーハーツの「リンダリンダ」をカバーし、披露するまでを描いた山下敦弘監督の2005年の映画『リンダ リンダ リンダ』。時代を超えて多くの人に愛される“青春映画の金字塔”が、20年の時を経て4Kリマスター版として帰ってきた。
参考:ペ・ドゥナは永遠に瑞々しさを失わない 『リンダ リンダ リンダ』が伝説的作品となった理由
今や韓国のみならず世界で活躍する俳優となったソン役のペ・ドゥナをはじめ、山田響子役の前田亜季、立花恵役の香椎由宇、白河望役の関根史織(Base Ball Bear)のメインキャスト4人が再集結。それぞれの『リンダ リンダ リンダ』への思いや、今だからこそ話せる撮影秘話を明かしてくれた。
ーー『リンダ リンダ リンダ』が4Kリマスター版として20年ぶりに劇場公開される率直な思いを聞かせてください。
ペ・ドゥナ:今とってもいい気分です。舞台挨拶でもお話ししたのですが、最近聞いた話の中で一番嬉しいお知らせでした。『リンダ リンダ リンダ』は、20年経っても時代をこえて、老若男女をこえて、いつ観ても感性を刺激してくれる映画だと思います。この映画に参加することができて、とても誇らしいです。
関根史織(以下、関根):20年前は、この映画が20年後もこんなふうに愛される映画になるとは想像していませんでした。予想していた以上のことが起きていて、本当に幸せです。
香椎由宇(以下、香椎):最近は4Kリマスターで上映される作品が多い中、これだけ大きなイベントとして上映してくださる作品だということに、すごく誇りを持っています。それを支えてくださっている皆さんがいることも知れて、本当に嬉しい気持ちです。
前田亜季(以下、前田):こんなふうに4人で再会できるとは思っていなかったので、本当に嬉しいです。『リンダ リンダ リンダ』に今も色褪せない魅力があって、もう一度映画館でかかる作品になっていることがすごく誇らしいです。
ーーこの20年の間、みなさんそれぞれ交流はあったんですか?
香椎:日本組は……(笑)。
前田:ちょこちょこ。
香椎:ペ・ドゥナさんは世界に行かれちゃったので、なかなか時間が合わなくて。
ペ・ドゥナ:(笑)
香椎:これをきっかけに、ここからまたね。
ペ・ドゥナ:私は『リンダ リンダ リンダ』を撮った後の10年くらいは結構頻繁に日本に来ていたんです。是枝裕和監督の『空気人形』を撮ったときには、少しお会いしたりもしたんですけど……。そのあとはいろんな国をあちこち行っていたので、日本は隣の国なんですけども、なかなか来る機会がありませんでした。
ーーそれぞれの出演作などは観ていましたか?
前田:ドゥナちゃんの作品はいつも観ていて。『家族計画』観ました? めっちゃおもしろいんですよ。
一同:(笑)
ペ・ドゥナ:ありがとう!(笑)
前田:日本にいても配信で気軽に観れるようになったので。それぞれの作品も観ていました。友達が出てるから応援するような気持ちですよね。「なんだろうこの感覚」っていう感じ。
香椎:本当にそういう感じで。テレビでも映画でも雑誌とかでも見ますし。最近また韓国ブームで、韓国の作品がすごく近いじゃないですか。なので情報もすぐ入ってくるようになりましたし。関根さんもBase Ball Bearのフェス情報とかを見て、「めっちゃ出てるな~」と思って。
一同:(笑)
前田:「ライブしてるなー」って。
香椎:「いつ休みかな? 年末かな?」とか。ちょこちょこチェックはしていました。
ーー今だから話せる撮影時のエピソードがあればぜひ教えていただきたいんですけども。
香椎:なんかありましたか? 実はすごいストレスを抱えていたとか。
ペ・ドゥナ:今だから言えるんですけど、撮影が終わる頃に緑茶をストローで飲んでいたのですが、あまりにも強く吸いすぎて、前歯がちょっと欠けてしまったんです。
香椎・前田:うそー!?
ペ・ドゥナ:私にとって『リンダ リンダ リンダ』は、初めて出演した外国映画だったんです。韓国以外で撮った初めての映画で。なので、もし韓国で撮っていたら「歯医者に行かなきゃ」となったと思うのですが、初めて海外で撮っていたこともあって、なぜか急に涙が溢れてしまって、実は現場で泣いていたんです。今考えると、どうして泣いたのか、なんで涙が出たのか、なんで悲しかったのかわからないのですが……。欠けたのは本当に少しだけだったのですが、もしかしたらそれくらい大変だったのかもしれません(笑)。
香椎:そんなことになってるとは知らなかった。
前田:監督が言ってたんだよね。ドゥナちゃんがポロポロ泣いてるところを見たって。「きっとストレスが溜まってたんだな」っていう話をしていたんですが、まさか前歯が欠けていたとは知らなかった(笑)。
香椎:たぶん未だに知らないと思う。
一同:(笑)。
前田:ちょっと教えてあげようと思います
香椎:本当にちょっと前、Podcastの収録のときにその話をしてたんだよね
前田:「泣いてたよ」っていうのを言ってたから。そうだったんだ!
ーー関根さんは何かありますか?
関根:撮影現場に差し入れとお菓子が山のようにあるんですよ。ものすごい大きいボックスにチョコレートとか飴とかがパンパンに入っていて。そんな状況初めてで、めちゃくちゃチョコレートを食べてたんです。
前田:かわいいエピソード(笑)。
関根:そしたら、私が食べすぎてるのを見て、亜季ちゃんが「ストーップ!ストーップ!」って。
一同:(笑)
前田:さすがに止めた?
関根:止められたなっていう思い出がある。
前田:「ストーップ!」って止めたのは覚えてない。
香椎:「ヤバい!」と思ったんだろうね。
前田:あまりにも食べてたんだね。
関根:ずっとたぶん無心で。
前田:怖いよ(笑)。
香椎:無心で食べてたんだ黙々と。
前田:面白すぎるけどね。
香椎:みんな覚えてるね。
前田:あと、お昼とかにお弁当をそれぞれ食べるじゃないですか。韓国だとみんなで食べるスタイルだっていうのをドゥナちゃんが最初に言っていて。私たちがそれぞれ本当に好きなところで個別に食べてるから、ドゥナちゃんが最初は不思議がっていたんですよね。私は逆にそれしか知らなかったから、韓国ではご飯休憩のときみんなで集まって食べるという違いも知れて、「へー!」と思っていたんです。
ペ・ドゥナ:私も日本に来て知りました。今は私も自分だけの休み時間だと思って、1人でご飯を食べることを楽しんでいます。韓国の場合、ご飯を一緒に食べることでみんなと仲良くなるという意味もあるので、相手を待って一緒に食べたりするんです。
ーー最後に、みなさんにとって『リンダ リンダ リンダ』はどんな作品かを教えてください。
香椎:私は『リンダ リンダ リンダ』が3作目の撮影だったんです。なので、本当にまだよくわかってない状態で、しかもギターをやらないといけない作品だったので、チャレンジすることが多すぎて。大丈夫なのかなって思いながらも、やり始めたらもう楽しすぎちゃって。「現場って楽しいんだ」と思えた作品でした。と同時に、結構早くに役が決まっていたので、いろんな方のオーディションに立ち会って、相手役をさせていただいたりもしたんです。なので、映画ってこういうふうに作られていくんだということを勉強させてもらった作品でもあるんです。映画ができるってこういうことだよ、というのを全て教えてもらったので、大事というよりも、基礎になっています。
前田:本当に作品づくりの楽しさが詰まっている一作というか。各部署すべてがベストで、本当にいい現場でした。現場がいつもこうとは限らないじゃないですか。だから今振り返っても本当に貴重な現場だったんだなと思いますし、参加できてよかったなって思っています。
関根:当時からBase Ball Bearはやっていたんですけど、まだデビューする前でした。自分はまだミュージシャンとしてのキャリアもなかったし、演技の経験もなかったので、この映画がどういう映画になるかも想像できなくて。自分のせいでみんなが恥をかいてしまうようなことがあるかもしれないっていう不安があったんですけど、みんなのおかげで本当にいろんなことがうまくいった映画になったと思います。それがこうして20年経っても愛される映画になったんだなって。本当に誇らしいキャリアのひとつになりました。
ペ・ドゥナ:作品に出るたびに「この作品はあなたにとってどんな意味がありますか?」とよく聞かれるんですけども、そういうときにそれなりの答えをすることもあるんです(笑)。だけどこの作品に関しては、本当にたくさんの影響を受けた作品です。『リンダ リンダ リンダ』がきっかけとなって、そのあとの私のキャリアが拡大していった気がします。この作品のあと、アメリカやフランスの作品にも出演しましたし、『リンダ リンダ リンダ』がきっかけとなって、そのあとも勇気をたくさん持って前に進めた気がします。それもやはりこの『リンダ リンダ リンダ』のいい経験があったからだと思っています。本当に私に勇気をくれた作品です。劇中のソンは、歌が下手で自信がなく、日本語がうまくできないにもかかわらず、「はい」と返事してしまったことでバンドに入りましたよね。俳優であるペ・ドゥナも、歌が下手で、まだ外国で映画を撮ったことがなくても、この作品に参加することによって、いい経験を得ました。本当にいいチャンスをいただけたと思っています。その後、ほかの作品を選ぶときにも「無理でもやってみよう」という気になったんです。「きっとこの作品もいい経験になるんじゃないかな」と。『リンダ リンダ リンダ』から20年、本当にたくさんの力をいただいていて、前向きな気持ち、前向きなマインドで作品を選ぶようになりました。私にとって、本当に大切な作品になっています。
(取材・文=宮川翔)

