『ソウX』は“舐めてた相手が殺人マシン映画”に シリーズ初見でいきなり第10作を観てみた
リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、『ソウ』シリーズを1本も観たことがない花沢が『ソウX』をプッシュします。
参考:『ソウX』ポスター&予告編公開 狂気の殺人マシーンに泣き叫ぶ“ゲーム”参加者たちの姿が
『ソウX』
『ソウ』シリーズ、有名ですよね。学生時代、熱心なTSUTAYAユーザーだった筆者にとって、『ソウ』はいつもホラーコーナーの一番目立つ位置に並んでいるDVD、というイメージでした。最新作の『ソウX』は、なんと10作目。こんなに長く続いたホラーシリーズって他にあるんでしょうか。『死霊館』はシリーズというよりユニバースという感じだし、『チャイルド・プレイ』は全8作を一気見したことがありますが、3作目以降の記憶がありません。
筆者は『ソウ』を全く観たことがないのですが、あまりにも有名なシリーズなのでいくつかのことは知っています。①ジグソウというやつが黒幕なこと、②1作目で2人の男が鎖で繋がれていたこと、③1作目ラストのネタバレ。今回はこれ以上の予備知識を入れずに、いきなり10作目にあたる『ソウX』を鑑賞してみました。
まず初めにビックリしたのは、「ジグソウってこんなおじいさんだったの!?」ということ。本作は『ソウ』と『ソウ2』の間を描くと聞いていたので、てっきり別の俳優がジグソウ役になったのだと思っていたのですが、どうやら『ソウ』第1作と同じ俳優さんが演じているようです。
本作の冒頭、“ジグソウ”ことジョン・クレイマーは、末期がんで余命数カ月を宣告されます。病院では打つ手がないと言われ、がん患者のグループセッションに参加したジョンは、そこで知り合った患者に後日再会。元気そうな様子に何があったのか尋ねると、「実は国に認可されていない、特別な手術を受けることができたんだ」と、ある医師を紹介されます。藁にもすがる思いのジョンは、その医師にコンタクトを取り、なんとかメキシコで手術を受けることになるのですが……。
もう隅から隅まで怪しい匂いがプンプンしますが、詐欺です。グループセッションで会った患者も、メキシコの医師も、その周囲の人々も、全員詐欺師です。ジョンは手術を受けるはずが何もしてもらえず、高額な謝礼だけをぶんどられ、彼らへの復讐を決意します。
初めは、この詐欺グループが“ジグソウ”という化け物を誕生させた元凶なのかと思って観ていましたが、ジョン・クレイマーも相当やばいやつです。時系列としては『ソウ』第1作の後、つまり一度“やっちゃってる”状態なわけで、詐欺に気づいてから“ゲーム”をはじめるまでのスピード感もいやにスムーズです。
面白かった部分としては、本作が『ジョン・ウィック』や『ドント・ブリーズ』的な、“舐めてた相手が実は殺人マシンでした”映画になっていること。前半、見るからに怪しい医師にジョンが騙されている間も、「おいおい、いいのか、お前ら顔覚えられてるぞ」という気持ちで楽しむことができました。
それから、“ゲーム”が始まってからのゴア描写も痛々しくはあるのですが、「そうはならんやろ」というぶっ飛んだ展開が多く、どこかファニーです。何も考えずにごはんを食べながら観てしまったのは失敗でしたが、気分が悪くなるほどしんどい描写は(個人的には)ほぼありませんでした。
ただ、1つだけ不満をあげるとするなら、“ゲーム”の順番です。筆者の印象ですが、1人目の扱いが最もグロくて面白く、後のほうになるにつれて、段々インパクトが薄くなっているように感じました。特に最後まで取っておいたあの人は、あの程度でよかったのか? もしかしてあの程度だったのにも意味があるのか? と、良くも悪くも「もっと観たい」と思わせる構成になっていました。
そして、過去作を観ておけばもっと楽しめたと思うのは、仲間とのシーン。ジョン・クレイマーと協力者との絆が割としっかりめに描かれているのですが、こちらは初見だと「おじいちゃん、友達いたんだ」くらいの感覚なので、やはりある程度予習してから観たほうが、100%楽しめそうです。
しかし、これで筆者も立派な『ソウ』ウォッチャー(“見る”が重複していますが)。あえて『ソウX』の後に『ソウ』を観ることで、すでに誰がこのゲームを仕組んだか知っている“後方腕組み彼氏面”で楽しむことができそうです。(文=花沢香里奈)

