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最終世代の内燃スーパーカー 33台限定

アルファ・ロメオが満を持して発表した新型33ストラダーレが、同社最後の純内燃エンジン搭載スーパーカーとなることが明らかになった。

【画像】高貴なるイタリアン・スーパーカー【アルファ・ロメオ33ストラダーレを写真で見る】 全15枚

新型33ストラダーレは2021年から開発が進められてきた限定生産車であり、1960年代の同名のレーシングカーにインスピレーションを得たデザインとなっている。パワートレインは3.0L V6ガソリンエンジンまたはバッテリーEVから選択できる。


ステージで披露されるアルファ・ロメオ33ストラダーレ    AUTOCAR

49人のエンジニアチームによって開発され、アルファ・ロメオの特注車シリーズ「フォリセリエ」の第1弾とされる。このフォリセリエ・シリーズは、同社の伝統に敬意を表しながらブランドの魅力を最大限に表現するべくデザインされる。例えば、33ストラダーレはオリジナル車の特徴に忠実であると言われている。

その車名にちなみ、わずか33台しか生産されない。いずれも「クルマの歴史と象徴性」を尊重する特別な顧客に割り当てられ、2022年のF1モンツァGPで顧客候補に初めてデザインスケッチが公開されてから数週間で完売したという。2024年12月17日から納車を開始し、2026年までにすべての顧客のもとへ届けられる予定だ。

価格は300万ユーロ(約4億7500万円)からとされ、アルファ・ロメオで最も高価なモデルとなった。購入希望者は、最高出力750psのバッテリーEVモデルか、最高出力620psの3.0L V6ツインターボをミドマウントした内燃エンジンモデルから選ぶことができる。現時点では、10台のV6モデルと2台のEVモデルの注文が確定しており、残りは未定だという。

V6モデルは約1500kg 軽量化に尽力

バッテリーEVパワートレインはアルファ・ロメオの市販モデルとして初めて採用されるもので、欧州WLTPサイクルで450kmの航続距離を達成するという。バッテリー容量についてはまだ確認されていない。室内では独自の合成サウンドを奏でるとのこと。

兄弟ブランドであるマセラティの新型グラントゥーリズモ・フォルゴーレと同じ、3モーター四輪駆動システムを採用している。V6が用意される点もグラントゥーリズモと同じである。


ステージで披露されるアルファ・ロメオ33ストラダーレ    AUTOCAR

V6は、ジュリアおよびステルヴィオのクアドリフォリオ仕様に搭載される2.9L V6の改良型だが、ボアアップされて3.0Lとなり、出力も約100psアップした。駆動方式は後輪駆動で、ZF製8速DCTを採用。MTの設定はない。車重は約1500kg。

V6モデルの33ストラダーレは、0-100km/h加速3秒以下、最高速度333km/hを謳う。アルファ・ロメオのプロダクトマネージャー、ダニエル・グッツァファメ副社長によれば、EVモデルの0-100km/h加速は「2.5秒以下」だという。

走行モードは「ストラーダ」と「ピスタ」の2種類が設定される。ストラーダを選ぶとスロットルレスポンスが鈍くなり、サスペンション(前後ダブルウィッシュボーン)が柔らかくなり、V6モデルでは5000rpmまで排気バルブが開かないなど、快適性重視のモードとなる。一方、ピスタの場合はスロットルレスポンスが鋭くなり、サスペンションが硬くなり、排気バルブが常に開いた状態となるなど、スポーツ走行向けのモードである。

公道でもサーキットでも、アルファ・ロメオが自社開発した「セミバーチャル」と表現される四輪ステアリングシステムが操縦性を助ける。同社によれば、精度を高め、荒れた路面をフィルタリングして乗員に快適な乗り心地を提供するという。

ブレーキとしては、フロントに6ピストン、リアに4ポットのブレンボのカーボンセラミック製ベンチレーテッドを装備する。

重量を抑えるため、33ストラダーレのモノコックシャシーはカーボンファイバー製、ボディフレームはアルミニウム製となっている。ウィンドウフレームもカーボンファイバー製で、バタフライドアには軽量ドアヒンジが使われている。

エアロダイナミクスと美の追求

アルファ・ロメオのジャン・フィリップ・インパラートCEOは次のように語っている。

「新型33ストラダーレでは、過去に恥じないものを作り、ブランドに貢献し、アルファ・ロメオのファンが誇りに思うものにしたかった。このような結果が得られたのは、開発チームの専門知識、努力、情熱の賜物です。このクルマは、1969年以来初めての “フォリセリエ(fuoriserie)” であり、これが最後になることはないとお約束します」


ステージで披露されるアルファ・ロメオ33ストラダーレ    AUTOCAR

デザインにおいて、アルファ・ロメオは1967年から1969年にかけて生産されたオリジナルの33ストラダーレのプロポーションを可能な限り忠実に再現しようと試みた。フロントには「スクデット」と呼ばれるおなじみのV字型グリルを採用し、全体的なプロファイルはエアロダイナミクスと「必要な美しさ」のために最適化されているという。

ヘッドライトと一体化したエアインテークや、サイドインテークに空気を導くリアスポイラーなど、随所に空気の流れを意識したデザインが見て取れる。

グッツァファメ副社長は、新しいV字型グリル、楕円形のボンネット、ヘッドライトのLEDラインなどは今後の市販車にも引き継がれると述べた。

航空機をイメージしたインテリア

インテリアにもアルミニウムやカーボンファイバーなどの軽量素材が採用され、アルカンターラの多用によりスーパーカーとしての性格を強調している。

インパラートCEOは以前AUTOCARの取材に対し、アルファ・ロメオのインテリアは「ドライバー中心」であると語っていた。それを実証するかのように、33ストラダーレではセンターコンソールにボタン類をほとんど配置せず、3Dヘッドアップディスプレイ(業界初と言われる)がメインのデジタルインターフェイスとして機能することで、ドライバーの集中力をできるだけそらすことのないように配慮している。


ステージで披露されるアルファ・ロメオ33ストラダーレ    AUTOCAR

ステアリングホイールにもボタン類が一切なく、一部の物理コントロールはドライバー頭上の天井に取り付けられている。アルファ・ロメオによると、これは航空機のコックピットのように感じさせるための配置だという。

一方、シートはオリジナルの33ストラダーレのものをイメージしている。

仕様は「トリブート」と「アルファ・コルセ」の2種類で、ボディカラーはブルー、レッド、そしてオリジナル車のデザインをオマージュしたホワイト&レッドの計3色が用意される。

アルファ・ロメオは、「1967年の33ストラダーレの美的・技術的伝統を維持しつつ、特別で魅力的な環境を創り出すために、あらゆるディテールがデザインされています」と述べている。

購入者によるカスタマイズの幅は広く、車両識別番号(VIN)の下8桁を選択することもできる。さらに、グリル、リアのバッジ、エアインテークも変更可能だ。

生産は、フェラーリ166 MMバルケッタ、アストン マーティンDB5、マセラティ3500 GTを手がけたイタリアのコーチビルダー、カロッツェリア・トゥーリング・スーペルレッジェーラが担当する。