推定によると、Googleマップのシェア率は2020年に80%に達したとのことで、その後も世界で最も使われている地図サービスの地位を維持しています。ところが、最近のGoogleマップが使いづらくなったせいでAppleマップを使うようになったという作家のマイケル・グロトハウス氏が、その理由を5つにまとめました。

Google Maps is an eyesore. 5 examples of how the app has lost its way

https://www.fastcompany.com/90930810/google-maps-eyesore-5-examples-apple-maps

◆理由1:ホテルやバーのピンが多すぎる

グロトハウス氏が都市圏にいると、Googleマップは常に可能な限り多くのホテルやバー、クラブを地図上に表示しようとします。これは、グロトハウス氏がホテルやバーで検索してもいないのに発生するほか、グロトハウス氏が自宅にいる時も例外ではありません。

これについてグロトハウス氏は「Googleは私の住所を知っていますが、なぜ私が自分の街にいる時にホテルをそんなに多く表示するのでしょう?」と疑問を呈しました。



◆理由2:広告ピンが多すぎる

グロトハウス氏によると、Googleマップ上に表示される四角いピンは広告ピンとのこと。つまり、そのピンが表示されるビジネスの事業者が広告主となり、ユーザーのマップにピンを表示するようにGoogleにお金を払っているということです。

この広告ピンもホテルであることが多いほか、レストランの広告ピンの下にはしばしば「Uber Eatsでデリバリーを注文しよう」と促す小さなテキストまで表示されて地図が見づらくなっており、この点もGoogleマップに不満を持つようになった理由のひとつだとグロトハウス氏は述べています。

◆理由3:わかりづらい写真ピン

Googleマップのピンは、ホテルならベッドで寝ている人のピンクのアイコン、料理店ならフォークとナイフが描かれているオレンジのピンといった具合に、その地点に何があるのかを表すアイコンになっています。以前は、このピンと広告の四角いピンの2種類だけが地図上にありましたが、2022年からは第3の写真ピンが表示されるようになりました。



グロトハウス氏が知る限りでは、この写真ピンはなんらかのビジネスに関するものだとのこと。しかし、ピンの意味を端的に表したアイコンとは異なり、写真ピンはそこにある店が一体何の店なのかわからないことも多く、例えばあるレストランの写真ピンでは裏手にあるゴミ箱の写真が掲載されていました。このことからグロトハウス氏は、写真ピンはビジネスの助けになるわけでもなく、ユーザーを混乱させるだけだと指摘しています。

◆理由4:大量に表示される在宅ビジネス

Googleマップには、パンデミックの名残として、在宅サービスを開始した人の位置が大量に表示されるとのこと。そのため、グロトハウス氏が住宅街をGoogleマップで見ると、よく在宅ワークビジネスのピンが大量に出るそうです。

こうした在宅ワークビジネスの多くは「コンサルタント」で、ウェブデザイナーやアプリのプログラマー、便利屋などもよくあります。これらは、自営業者が自宅で営業している合法的なビジネスかもしれませんが、グロトハウス氏は「客が入るわけでも、私がこれらのサービスの提供者を検索したわけでもないのに、それを地図に表示させるのは一体なぜでしょう?」と述べました。



◆理由5:肝心の通りの名前は教えてくれない

英語で住所のことを「Street Address」と言うように、英語圏では通りの名前が位置を表す重要な要素となっています。ところが、Googleマップではホテルや広告や在宅ビジネスのピンは表示されるのに、現在地がなんという名前の通りなのかが表示されないことがままあるとのこと。

グロトハウス氏は、「隣の通りにあるビジネスピンを選択すると、なぜか現在地の通りの名前が表示されるようになる」という回避策を見つけましたが、5つの中で最大の不満点であるこの理由により、結局グロトハウス氏はAppleマップを使う機会を増やすことになりました。

しかし、Appleマップには欠けている情報が多く、人が多い時間や徒歩での移動データ、口コミ情報などGoogleマップにしかない役立つデータもあるので、グロトハウス氏はGoogleマップを手放すことはできていないといいます。

グロトハウス氏の記事を取り上げたソーシャルニュースサイト・Hacker Newsのスレッドには、Googleマップの作成や収益化に携わったことがあるというHacker Newsユーザーのアルバート・コーリー氏が登場し、「収益化は大失敗でした。今どのくらいうまくいっているかは知りませんが、私がいたころのマップは永遠に大赤字でした。今は損失がなくなったとすれば少し驚きますが、私がいたころ以下かもしれません。ピン広告がいくらするのかは知りませんが、検索広告よりずっと安いのは間違いないでしょう。マップに関する特許訴訟は山ほどあり、裁判で収益に関する文書が開示されるかもしれないので、Googleはあえてマップの収益をまとめるのを避けています」と、Googleマップの内情を暴露する書き込みを投稿していました。