鮨屋のデートで女性に幻滅した、カウンターでの“マナー”。いくら可愛くてもこれだけはちょっと…
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?
できなかった答えあわせを、今ここで。
今週のテーマは「ハイスペ男から三度もデートに誘われたのに、進まなかった理由は?」という質問。さて、その答えとは?

「進くん、出張から帰ったら教えてね」
デート相手の果穂からそう言われたものの、僕は曖昧に返信をする。
「うん、わかった。また連絡するね」
本当に好きな相手だったら、こんな言い方しない。次につなげたいから、具体的な日程を言うだろう。
「待ってるね♡」
ニコニコとする果穂に対し、僕はこんなことを思っていた。
― 顔は可愛いんだけどな…。
二度ほどデートをし、果穂からの好意もビシビシと感じる。でもどうしても僕は果穂と付き合おうとは思えなかった。
A1:「すごい」を連発する反応に、薄っぺらさを感じる…。
果穂と出会ったのは、友人宅で開催されたホムパだった。虎ノ門にあるタワマンの一室に住んでいる友人の家は見晴らしがよく、集まる人たちも良い人ばかりだった。男性は経営者仲間で、女性は綺麗な人が多かったと思う。
その中でも、少し遅れてやってきた果穂が目に入った。すらりとした体型で高身長、手足が長くてハッキリとした顔立ち。
― あの子、可愛いかも。
そう思い、僕から声をかけた。
「楽しんでる?お名前は?」
「果穂です」
「僕は進です。果穂ちゃんは何をしている人なの?モデルさん?」
「全然ですよ〜。私はただの受付です。何してるんですか?社長さんですか?」
「社長さんですか」という単語を久しぶりに聞いた気がしたけれど、そのストレートな感じが新鮮で、僕は果穂に興味を持った。
この日連絡先を交換し、早速デートに誘う。けれども、初デートからいくつかの違和感を抱くことになった。
◆
僕が大好きな勝負店『クローニー』に着いた途端、果穂は目を輝かせていた。

「このお店すごーい♡進さんはいつも、こういう豪華なお店に来るんですか?」
「そうだね。食べること好きだから、結構外食が多いかな」
「進さん、カッコいい…」
「全然だよ。それよりシャンパンでいいかな?」
「はい!シャンパン大好きです♡」
最初は、ハキハキしていて元気な子なのかと思っていた。でも会話の中に出てくる単語に、若干の“ペラさ”を感じてしまったのだ。
「私も食べること、大好きなんです」
「そっか!また色んなお店に一緒に行けるといいね」
「え…絶対行きます!私、いつでも行きます」
「果穂ちゃんって面白いね」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
そんな会話をしながら、さっきから夢中でスマホで写真を撮り続けている果穂。美しくてまるで芸術のような料理の数々だし、写真を撮りたくなるのはわかる。

でも今日は初デート。撮影はほどほどにして会話を楽しみたい。それにお店側が最高の状態で出してきてくれた料理を、すぐに食べるのもマナーではないだろうか。
「やばい…美味しい…」
美味しそうに食べている果穂。美味しいに決まっているのでそれは良い。
「美味しいよね。初めて来た?」
「はい、初めて来ました!進さんすごい♡」
でもやっぱり、果穂の口から出てくる単語がどうも気になってしまう。
― なんだろう…。やっぱり感想が薄いんだよな…。
そして、今日の果穂の服装もそうだった。
胸が見えそうで見えない、胸元の開いたトップス。男性が好きな感じの服装であることは確かだし、どきっともする。
気合を入れてくれたのかもしれないが、せっかくの美女が“高嶺の花”ではなく、簡単に手に入れられる“緩い女”に見えてしまう。
「進さんは、どこに住んでいるんですか?」
「僕は今中目黒だよ。果穂ちゃんは?」
「私は学芸大学です。近いし、今度また家の近くで飲みませんか?」
「いいね、そうしよう」
でも果穂の一生懸命な感じは可愛いなと思ったし、一緒にいて悪い子ではない。だから僕たちは次のデートの約束もして、解散した。
A2:お鮨屋さんに、ムンムンの香水。知性が感じられない
そして少し不安を抱えながら迎えた二度目のデート。この日は銀座の鮨屋を予約していたのだが、果穂が登場した瞬間から、僕の嫌な予感は当たってしまった。
この日は銀座の高級店だというのに、果穂はまさかの香水の香りをムンムンにさせてきたのだ。
― いや、鮨屋だし…。マナーとか知らないの?

「今日も最高ですね!」
カウンター席で、キャッキャとはしゃぐ果穂の声は大きい。喜んでくれるのは嬉しいけれど、他のお客さんもいるしもう少し声のボリュームは控えてほしかった。
だが果穂はお構いなしに会話を進めていく。
「銀座って意外にいいところですね」
「意外?そうかな」
「あまり来ないんですけど、たまにはいいなって思いました」
― ここは銀座だから、店主のかたや他のお客さんが気分悪くなるような会話はやめようね。
「名店もたくさんあるし買い物もしやすいし。僕は結構好きなエリアかな」
「進さん、銀座似合いますよね」
「そう?ありがとう。とりあえずお鮨食べよう」
そんな会話をしながらも、相変わらず今日も夢中でスマホで写真や動画を撮っている果穂。
悪い子ではない。何をしても喜んでくれるし、むしろ真っすぐで純粋で良い子だ。でもまったく知性が感じられない。
「その写真、どうするの?SNSに投稿するの?」
「はい!そういえば、進さんインスタやってますか?アカウント交換しましょうよ」
「僕はやっていなくて…。逆に果穂ちゃんは、どんな投稿をしているの?見たい」
「私のアカウントですか?フォロワー数とか少ないですけど…どうぞ」
果穂は投稿を見せてくれたのだが、それを見て驚いてしまった。
先日の虎ノ門の友人宅で開催されたホムパの写真が、載っていたのだ。

「ちょっと、恥ずかしいのでそんなに見ないでください」
「いやいや、ただ見ているだけだから(笑)。これって、この前のホムパの写真?」
「そうです!私たちが出会った時のです。景色が良かったので思わず見惚れちゃって」
― これ、絶対家主に許可取ってないだろうな…。誰かの家を勝手にSNSにあげるって…。
「こんな子たち、いたっけ?」
でも友人宅の写真を撮ったことに対し、僕が怒るのも違うなと思ったので話を変えてみる。
「覚えてないんですか?グラドルの子とかもいたじゃないですか」
「そうだっけ?名前なんて言うの?」
「進さんって、意外にそっち系の女の子たちに興味ないんですね」
「そんなことないよ。僕は結構真面目だから」
可愛い子はもちろん好きだけれど、誰でもOKなわけではない。それに結婚を考える相手となれば、なおさら会話が大事になってくる。
「あの…今日この後、どうしますか?」
「この後?まだ食事の中盤だけど(笑)。終わったらもう一軒行く?」
「はい!」
ただ果穂のグイグイくる感じにNOと言えず、この日は二軒目まで行き、結局三度目のデートの日程まで決められてしまった。
だがやっぱりそれ以上一緒にいてもあまり意味がないなと思い、僕はフェードアウトを決めた。
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