「あれ?前に進めない!?」 青・黄が無く全部「赤」の信号機なぜ? 設置の意図は?

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3色すべてが赤になっているのはなぜ?

 信号機は「青・黄・赤」の3色というのが一般的です。

 しかし、鹿児島県志布志市には、3色すべて赤色という不思議な信号機が存在しています。

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 この不思議な信号機は、どのような背景で設置されることになったのでしょうか。

え? 赤しかない! 青・黄がない信号機の正体とは(画像提携:カボス@A・ZU・NA Day @1DonkoAoshingo)

「青・黄・赤」に光る信号機は、道路を通行するすべての人の安全と円滑な交通を守る重要な存在です。

 信号機は、道路交通法第4条において「公安委員会は環状交差点以外の交通の頻繁な交差点その他交通の危険を防止するために必要と認められる場所には信号機を設置するように努めなければならない」とされており、街中のいたるところで見られます。

 また、大前提ではありますが、信号機の色には、道路交通法施行令第2条において役割が定められており、青は「進行することができる」、黄と赤は「停車位置を超えて進行してはならない」となっていますが、黄に関しては「安全に停止することができない場合を除く」とされています。

 このように、それぞれの色に重要な役割がある信号機ですが、鹿児島県志布志市には「赤・赤・赤」と、3色すべて赤という不思議な信号機が存在しています。

 この赤3色の信号機は、志布志市夏井に位置しており、国際交流で訪れた人々の記念樹が植栽されている自然施設「国際の森」付近で目にすることができます。

 「赤・赤・赤」のうち、稼働しているのは、左と真ん中のみで、ふたつは常に点滅を繰り返しています。

 この信号機には、なぜ青と黄が存在しないのでしょうか。

 赤のみの信号機となっている理由について、志布志警察署の交通課担当者は以下のように説明します。

「この信号機は踏切での一時停止を促す目的で設置されたものです。そのため普通の信号機とは異なり、青や黄色は、もとから存在していません」

 この信号機の横には「踏切一旦停止」の看板も設置されており、踏切の手前で一時停止を促すための専用の信号機となっています。

 踏切手前での一時停止は第33条において「車両等は、踏切を通過しようとするときは、踏切の直前で停止し、かつ、安全であることを確認した後でなければ進行してはならない」とされており、遮断器が設置されている踏切においては、いかなるときでも踏切手前での一時停止が求められます。

 そのため、この信号機の稼働サイクルは、道路交通法施行令第2条において「停止位置において一時停止しなければならないこと」と定められている「赤の点滅」が繰り返されるかたちになっているといえます。

 一般的な一時停止用の信号機は、赤1色だけのものが多く見られますが、赤3色というのが従来の3色信号機と同様の形のため、不思議な存在となっているようです。

 この信号機については、SNSでも「非常に珍しい」「クセが強い!」といった投稿が見られ、遠方から写真を撮りに訪れる信号機愛好家も多いようです。

珍しい理由は色だけじゃない? 実は信号機自体も超レアだった!?

 このように、「珍しい」とされるこの信号機ですが、信号機愛好家の間でレアであるといわれるのには、もうひとつ理由があります。

 それは、この信号機が、信号機のなかでも非常に数が少ない「偏光灯器」であることです。

 偏光灯器とは、信号機の色が見える角度や距離などを設定し、特定の場所以外からは光っていることが見えないようにすることができる信号機です。

 灯箱には奥行きのあるものが使われており、灯箱内の構造も複雑なうえに、電球も偏光灯器専用のものが使用されています。

 信号機の裏にある蓋を開けたところにはレンズが設置されており、そこにアルミテープを貼ることで光が見える範囲を調整します。

 志布志市の赤3色の信号機は、この偏光灯器であるため、特定の角度以外から見ると信号機が光っていないように見えますが、踏切に差し掛かると赤の点滅を確認することができます。

鹿児島県志布志市にある一時停止を表す珍しい信号機(画像提携:カボス@A・ZU・NA Day @1DonkoAoshingo)

 赤3色であるうえに、種類としてもレアな偏光灯器であることから、この信号機は愛好家から「ゲテモノ」と評されるほどです。

 そんな珍しいこの信号機は、愛好家の間では、一度は目にしたい信号機として広まっているようです。

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 この超レアともいえる信号機は鹿児島県内でも、志布志市の1か所でしか確認することができません。

 前述したように、踏切手前では一時停止する必要がありますが、この信号が設置されていることで、運転者の「停止しなくてはいけないという」意識がさらに高まるといえるでしょう。