【taka :a】“マシマシ”大ブーム「二郎系ラーメン」がコンビニを埋め尽くすワケ コンビニ、メーカーがこぞって参戦

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「黄色いパッケージ」の正体は…

昨今、二郎系ラーメン・インスパイア系ラーメンと呼ばれるジャンルのラーメンが流行っています。それはコンビニのラーメンしかり、カップラーメンしかり、実店舗に限りません。

特に2019年から注目度は軒並み上がっており、市販品の中でも黄色いパッケージに “マシマシ” などと書かれた加工商品を多く見かけるようになりました。

写真はイメージです(Photo by iStock)

「二郎系」「インスパイア系」とは、東京・三田に本店を置く「ラーメン二郎」をリスペクトしたラーメンジャンルの総称です。それを模した加工食品に黄色いパッケージの商品が多いのは「ラーメン二郎」の看板をイメージしてデザインされているのが主な理由とみて間違いないでしょう。

二郎系と称されるラーメンの特徴は、豚骨醤油ベースのスープにオーション(日清製粉の強力粉)で打ったゴワゴワ食感の極太低加水麺を合わせるのが普遍的な共通点。そして、うずだかく盛られた大量の茹で野菜(もやし、きゃべつ)に豚(ぶた)と呼ばれる大きなチャーシュー、刻みニンニク、アブラなどが代表的なトッピングとなっています。

さらに “ニンニクマシマシヤサイマシアブラカラメ(ニンニク特盛・野菜大盛・背脂あり・味濃いめ)” といった「コール」が店内に飛び交い、トッピングや味付けを客の好みに合わせて注文できるのも人気の秘訣。

ヤサイ(もやし)を中心に麺が見えないほど大量に盛られたビジュアルは、一度見たら忘れられないインパクトを放ち、中毒性の高さから通称 “ジロリアン” と称される熱狂的なファンを全国に抱えています。

「ジェネリック二郎」なる言葉も

二郎系・インスパイア系の呼び分けについては諸説ありますが、ラーメン二郎の本店と直接的な関係を持っている店(直系店)および商品は「二郎系」と呼ばれ、直接的な関係はなくともラーメン二郎を模したメニューを提供しているラーメン店及び商品は「インスパイア系」とされる傾向にあります。

転じてコンビニの二郎系ラーメン(レンジ麺)は、一部のファンから通称「ジェネリック二郎」と呼ばれるようになりました。

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ジェネリック二郎という名前の由来は、おそらく “ジェネリック医薬品(後発医薬品)” からの捩りで、本来 “ジェネリック” とは「一般的な」「ブランドに囚われない」といった意味合いの単語になるのですが、響きや雰囲気のマッチングでそう呼ばれるようになったのでしょう。

コンビニの二郎系レンジ麺を全国的に広めたのは、千葉・松戸の名店「中華蕎麦とみ田」代表・富田治店主及びセブン-イレブンの共同開発商品『中華蕎麦とみ田監修豚ラーメン』で、発売当初は千葉県のセブン-イレブン限定商品となっていたのですが、2019年1月29日に全国販売を解禁。

以降、ローソンの『にんにくが決め手! 豚醤油ラーメン』やファミリーマートの『大盛にんにくラーメン』(前身『野菜マシにんにく醤油ラーメン』)などが展開され、いまやジェネリック二郎市場はコンビニ大手3社による三つ巴の戦いが繰り広げられています。

また、ここへきて常温保存可能な即席めんのジャンルにおいても二郎系・インスパイア系の商品は熱狂的に注目される傾向にあります。

メーカーも次々とマシマシ参戦

二郎系・インスパイア系の店舗を経営している店主が監修した商品(「千里眼」や「用心棒」「野郎ラーメン」「らーめんバリ男」など)は現在のブームになる以前から販売されていたのですが、近年の盛り上がりは数年前の比ではありません。

たとえば即席めん業界の最大手・日清食品を例に挙げると、セブンイレブン限定の『どん兵衛 マシマシ篇 ガチ豚ニンニク』(2019年10月8日発売)や日清ラ王史上初の二郎系『豚ラ王 ヤサイ、アブラ、ニンニク』(2020年1月13日発売)、また自宅で二郎系ラーメンが楽しめるキット『豚園(ぶたぞの)背脂醤油豚ニンニク』(2020年3月16日発売)なども展開しています。

日清『豚ラ王 ヤサイ、アブラ、ニンニク』

ここ数年、まだ「ラーメン二郎」の名を冠している正式な監修商品はリリースされていませんが、日清食品だけでなく各社からも “マシマシ” のブームにのった関連商品が定期的に発売されるようになりました。それにしても、なぜ現在ここまでのブームが巻き起こっているのでしょうか--。

二郎系のラーメンが流行っているブームの背景について、登山よろしく巨大なラーメンを平らげた時に得られる達成感に魅力を感じるから、いわゆる化学調味料に中毒性・常習性があるから、大食いによるストレス発散や話題性、身体によくないと思いつつも食べてしまう背徳感など、さまざまな理由があるかと思いますが、いずれも正解です。

さらにInstagramやTwitter、PinterestなどのSNSだけでなく、動画配信サイト・YouTubeなどが多くの方に利用されている現在、いわゆる二郎系のラーメンは写真でも動画でも見応えがあるので、それがブームの追い風になっているのも間違いないでしょう。

どこまで本物に寄せられるのか

もちろん、コンビニの二郎系レンジ麺では具材の盛りに限界がありますし、カップラーメンでの二郎系も具材のインパクトが乏しく、前述した二郎系ラーメンの持つ魅力(特にヤサイの食べ応え等)が大幅に欠落してしまうのは事実です。

とりわけ、写真映えする商品が多いわけでもないのですが、二郎系・インスパイア系を彷彿とさせる単語(“マシマシ”など)そのものがパワーワード・トレンドワードになっている現在--。

中には強引に関連付けているような商品が無きにしも非ずではあるものの、とりあえず “マシマシ” などの単語を商品名に使い、 “それっぽい新商品” を出せば必然的に騒がれるような状況なので、そういった背景もあり、一種の社会現象のようにブームが過熱していったのでしょう。

2020年3月現在、コンビニのジェネリック二郎(レンジ麺)には根本的なクオリティの高さ(再現度の高さ)が求められ、常温保存可能なカップラーメンでも “高くていいから本格的なもの” に高い需要が見出せるのではないかと筆者は感じています。

コンビニ大手3社のジェネリック二郎は、各社リニューアルを繰り返しながら “第三世代” に突入しました。すでにローソンでは、“第四世代”に当たる新商品『背脂にんにくが決め手!豚醤油ラーメン(にんにく増し)』を3月17日に発売することが決まっています。それぞれ具材は値段相応ではあるものの、茹で中華麺を本物に寄せていくのが今後の課題です。

二郎系のカップラーメンにおいてはコストパフォーマンスの高さを重視するのではなく、300円の壁(高級なカップラーメンは300円がボーダーライン)を無視して開発コストを設定し、思い切って500円以上のレンジ麺に負けない製品を展開していくなど、近年の常識や概念に囚われない商品で次のステップに進むべき時かもしれません。