介護する人を助けたい! アース製薬が新ブランド「ヘルパータスケ」で目指した介護との向き合い方

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アース製薬が、新ブランド「ヘルパータスケ」を立ち上げて、介護市場に進出した。

アース製薬といえば、
アースジェットやアースノーマットなどの製品でも知られているメーカーだ。
虫ケア用品の会社といったイメージも強いが、入浴剤、オーラルケア、消臭芳香剤などの日用品を開発、製造、販売するメーカーでもある。


ヘルパータスケの商品ラインナップ

寺田大延氏は、
アース製薬株式会社 マーケティング総合企画本部 副本部長だ。
長年、営業を担当し、3年前にマーケティング総合企画本部のブランドマネージャーに就任した。
今回の新規事業の立ち上げも担当している。

佐藤博之氏は
アース製薬株式会社 マーケティング総合企画本部 ブランドマーケティング部 ブランドマネージャー。
医薬品メーカーでOTCや日用品のブランディングに携わっていたことから、新規事業のブランドマネージャーを務める。

三好里奈氏は、
アース製薬株式会社 マーケティング総合企画本部 ブランドマーケティング部 係長。
4年前までは取引先店頭の販売促進をサポートする部隊に所属していた。
寺田氏・佐藤氏の下で、立ち上げ時から現在に至るまで新規事業に携わる。

アース製薬とは?
1892年(明治25年)、木村秀蔵氏が大阪・難波新川で創業。
1964年に社名をアース製薬株式会社に変更して今日に至る。

主な製品には、
・ごきぶりホイホイ
・アースノーマット
・モンダミン
・バスロマン
など、誰でも一度は聞いたことがあるヒット商品を数多く世に送り出している。


■アース製薬は、介護分野に参入したワケ


寺田大延氏

寺田大延氏
「社長から何か新規事業を考えるように指示を受け、以前から考えていた介護用品の話をしました。
1回目はしっくりいきませんでしたが、2回、3回と何度か足を運び、
最終的に社長からGOサインを出してもらいました。

弊社は基本的には生活に密着した商品を提供できるように心がけています。
たとえばモンダミンの場合、
お子様向けのモンダミンKid‘sと
大人用のモンダミン プレミアムケアでは、
それぞれ使用する方のお口の状況に合わせた処方になっていますので、お客様に安心してお使いいただけます。
しかし、これらの商品が介護される方に使えるかと言えば、必ずしもそうではありません。

今後は、シニアが多くなります。
それと同時に介護を必要とされる方も多くなります。

そこでこれからの時代のことを考え、介護に合った商品をご用意することが、お客様が求める価値の提供と考えました。」

現在のアース製薬の社長である川端克宜氏はモノを作る仕事ではなく、寺田氏と同じくモノを売る側の仕事(営業)をしてきた。川端氏は、営業職という社外の人と接する経歴により、消費者や市場の動きについて敏感なのだという。このことが、高齢者向けの事業が重要になってくると理解してもらえた理由だった。

寺田大延氏
「消費者調査を通してわかるニーズの中から、市場にある商品では何が足りないのかを把握して、商品づくりに役立てています。

介護は実際に自分で経験しないと、本当の大変さや不便さは、分かりません。
生活用品は普段から自分も使っていますが、
それが高齢になったときに、また、介護で使用するとなると、どれだけ使えなくなるのか?
これは想像だけではわかりません。

たとえば、洗口液ひとつとってもみても、
既存の「モンダミン」がそのまま高齢の要介護認定者の方に使いやすいわけではありません。
シニアの方の中には唾液の量が減っている方も多いので、お口の中の環境はまったく違う状況になっています。
また歯周病がすすんでいる場合は、歯ブラシが使いづらいそうです。
このため洗口液も、本来の使い方とは異なった使われ方もするようです。」
寺田大延氏
「これまでモンダミンをお使いになっていた方が
『介護が生活に入ってきてこれまで使っていたモンダミンが使えなくなる』
というのは、いいことではありません。
今まで使っていたモンダミンを使っていただけるように、ご提案させていただいています。」

三好里奈氏
「介護に参入するために商品を作ったわけではありません。
弊社の商品を使ってくださっているお客様が商品とともに年を取られて、介護が必要な世代に移行されていきます。
そんな、長きに渡ってご愛用くださっているお客様の「欲しい」を考え、
必要な要素を揃えたら、自然と介護用品というラインナップが揃ったということもあります。」

介護向け商品は、既存商品の利用者の高齢化にあわせたニーズに応えていくために、ひとつひとつの商品を見直した結果、介護をする人向けの商品が誕生したのだ。


■介護する方を助けるブランド「ヘルパータスケ」と「タスケくん」が誕生


ヘルパータスケのビジュアルコンセプト(資料提供:アース製薬)

新ブランド「ヘルパータスケ」で提供される介護商品は、既存製品と何が違うのだろうか?

寺田大延氏
「基本的な効果・効能は一緒です。
口の中を綺麗にするもの
ニオイをとるもの
除菌するもの

ただプラスアルファの部分が違います。
それをどう入れるかですね。」

三好里奈氏
「高齢になると、お口の中の乾燥にまつわる悩みが少しずつ増えてくるそうです。
介護向けの口腔ケア商品には、「マコンブエキス」中心に保湿成分がプラスアルファになっています。
ドライマウスのような症状が出てくる前に、気軽に保湿ケアをしておくことが予防にもなると思いますし、こういった口腔ケアの対策品があると便利だと考えました。」


寺田大延氏
「小さな違いというのが2年後、3年後、5年後で大きく変わってくる。
そう信じて続けています。

そのコンセプトは2月に開催されたCareTEX(介護用品をはじめ、高齢者施設向け設備・備品・サービスなどを紹介する展示会)でも弊社ブース来場者にご説明させていただいて、多くの方に理解いただいたと感じています。

『アースが介護をやるんだ。面白いね。意外性がある。』という声がありました。
『意外』と思われているのが、良くも悪くも今の弊社のイメージだと思っています。」

寺田大延氏
「介護する方はとても大変なので、
『介護する方を助けたい』
という想いがあります。

おむつや介護食など介護される側のことを考えた商品が既存のマーケットは大きいですが、いろいろ考えていく中で、弊社は介護する方を助けたいという考えに至りました。」

新ブランド「ヘルパータスケ」という名称は、
「ひとを助けるあなたを、助ける。」をコンセプトに決められたそう。キャラクターに関しても同様のコンセプトがベースだ。

寺田大延氏
「忍者は助ける人であるし、従事者でもあるので、イメージが良いと感じています。
あと、可愛く作れば、漠然と介護に抱かれがちなマイナスのイメージも少しはなくなります。

ブランディング戦略を策定していく中で、介護は暗いイメージがあるので、この明るいブランド名とキャラクターイメージを活かしたら介護のイメージを少しでも明るくできるのではないか、
そう考えて生まれました。」

ヘルパータスケのロゴと、キャラクター「タスケくん」は、デザインチーム「プレイセットプロダクツ」の中野シロウ氏がデザインした。
中野シロウ氏は日清食品チキンラーメンのキャラクター「ひよこちゃん」をデザインしたことでも有名だ。

ヘルパータスケには、少しでも明るい気持ちで介護をしてもらいたいという想いが込められている。


■ヘルパータスケは、お菓子のように美味しく、口腔ケアが楽しくなる


モンダミン うるおうドライケアとマウススプレーうるおいジューシー

「ヘルパータスケ」ブランドの口腔ケア商品は、この2商品。
・ヘルパータスケ モンダミン うるおうドライケア
お口の渇きや口臭を予防するための製品。
「マコンブエキス」「ヒアルロン酸」「ベタイン」といった保湿成分が配合されており、すすぐだけでしっかり洗浄・保湿ケアできる洗口液だ。

・ヘルパータスケ モンダミン マウススプレーうるおいジューシー
口内の渇きや口臭を予防するための製品。
「マコンブエキス」「ヒアルロン酸」「ベタイン」「リピジュア」といった保湿成分が配合されており、毎日使いたくなる、うるおいマウススプレーを目指している。


三好里奈氏

三好里奈氏
「若いときに比べると高齢の方は口内の乾燥に関する悩みが増えてきます。
介護する方もされる方もお口のトラブルというのは気になっているという声が多く、気軽に口内の環境を整えていただく対策品が便利だということで、口腔ケア商品を2品、用意させていただいています。

介護する人にとって口腔ケアは大きな悩みの一つで、嫌がらずにお口を開けていただくとケアする方も大変な想いをせずに済みます。
またお菓子のような感覚で口腔ケアができるのは、介護される方のひとつの楽しい時間になるのかなと考えております。そういう想いもあって、美味しい味付けにしているというのもあります。」

寺田大延氏
「今の介護の商品は通常の商品と比べて価格が高い傾向にあります。
通常品の4倍くらいの値段のものもあります。
モンダミンのブランド、弊社のシーズ、生産力があれば、販売価格が抑えられます。
費用の面で今まで使う回数を減らしているなら、普通に使っていただけます。」

「ヘルパータスケ」ブランドの口腔ケア商品は、介護の現場に合わせてアレンジされており
・レモンミントの香味、ジューシーライチの香味
・価格が通常商品に近い
こうした特徴は使う人にとって、なにより嬉しいポイントだろう。


■ヘルパータスケの「消臭ノーマット」は低コストで効果あり! 排泄臭の対策に自信


良い香りに変える 消臭ノーマットと消臭スプレー

部屋で介護をする場合、排泄臭に悩まされる。
一般的な消臭対策をしても、なかなか解消されない。

この問題を解決する商品が、排泄臭対策商品だ。

ヘルパータスケの排泄臭対策商品は、この2商品。
・ヘルパータスケ 良い香りに変える 消臭ノーマット 快適フローラルの香り
スイッチひとつで部屋のすみずみまで広がって、快適な香りになる。

・ヘルパータスケ 良い香りに変える 消臭スプレー 快適フローラルの香り
スプレータイプなので、気になるところをピンポイントに排泄臭対策ができる。

良い香りに変える 消臭ノーマット 快適フローラルの香りは、ニオイの発生源がわからなくても、部屋全体に漂う排泄臭を良い香りに変えることができる。
一方、良い香りに変える 消臭スプレー 快適フローラルの香りは、オムツのように発生源がわかる場所で使用する商品だ。

三好里奈氏
「シキボウさんが開発した『デオマジック』という臭気対策成分を採用しています。
世の中にある消臭剤って、悪臭に対して強いニオイで消臭するような製品が比較的多いのが現状です。
『デオマジック』は排泄臭自体を利用して良い香りに変えてしまうという仕組みが新しい。
有効成分デオマジックに排泄臭が出会うと、よりいい香りに変わるという消臭の仕組みです。」


消臭していると介護者に気を使わせない! 消臭ノーマットに自信
三好里奈氏
「CareTEXで教えていただいたんですけど、
『消臭対策をしていることを、おじいちゃんにバレなくていいね。』
と言われました。

介護施設の方も排泄臭を消すために消臭スプレーをするとき、本人に見えないようにするとか、わからないようにするというお声がありました。
ノーマットだと、まさか、これで消臭していると思わない。
凄く良いご意見だと思いました。
これから訴求としてどんどん使っていきますと、その日に宣言しました。笑」

寺田大延氏
「介護される側も、介護する側も、両方が幸せになれる商品です。
排泄臭を出していると思われたくない方が、多いのが現状です。
だから、わからないように(消臭を)行っているんですと。

でも、やっぱりまわりの人は見ているのです。
『消臭ノーマット』を全部屋に置いてしまえば、消臭をしているかどうか、わからないじゃないですか。

ニオイの元へスプレーするだけではなかなか消臭しきれないことが多いので、
一気に空間全体を消臭してしまった方が楽です。

『消臭ノーマット』はごまかさないで排泄臭がしなくなるというのが非常によい点です。」

発売前にサンプルを提供した在宅介護のモニター調査では、非常に高い評価を得たことから、手応えを感じている商品なのだそう。


佐藤博之氏

佐藤博之氏
「介護の現場の方にお聞きすると、臭いというのは常にある悩みで、現在でも消臭対策を行っているものの定期交換サービスなどは結構なコストになっているとのことです。

「良い香りに変える消臭ノーマット」でしたら、本体付きの価格は1,280円。60日タイプの詰替えは798円。

交換サービスなどは様々なものがあるので一概には言えませんが、そういった既存のものに比べて非常にリーズナブルだというお声を頂きました。
実際に『消臭ノーマット』に変えたいという話もいただいたので在宅介護の現場だけではなく、介護施設などでも潜在的な需要はあるのではないかと思います。」


■ヘルパータスケのトイレなどの除菌対策


クレベリン トイレの消臭除菌剤トとらくハピ アルコール除菌EXワイド

ヘルパータスケの除菌対策商品は、2商品。
・ヘルパータスケ クレベリン トイレの消臭除菌剤 ミントの香り
クレベリンの技術を使ったトイレ空間の消臭除菌剤で。清潔空間を実現する。

・ヘルパータスケ らくハピ アルコール除菌EXワイド
ワイド噴射トリガーの採用で、広範囲に一気にスプレーができる。

三好里奈氏
「ヘルパータスケ らくハピ アルコール除菌EXワイドは、アルコールによる除菌消臭で、99.99%の十分な除菌効果があります。また、98%の医師の推奨意向も頂いております(2016年10年AskDoctors調べ(内科医100名))*医師の印象であり、効果・効能を保証するものではありません。
また、ウイルスについても効果があり、第3者機関で試験を実施し、効果があることを確認しています。」


三好里奈氏
「ヘルパータスケ クレベリン トイレの消臭除菌剤 ミントの香りは、大幸薬品さんのクレベリンの技術を使って共同開発した商品なんです。
トイレに置いておくだけで、そもそもニオイを発生させる浮遊菌や付着菌を除菌するという効果があります。
この商品はさらに香りカプセルを入れていて、発生した排泄臭も消臭します。」

寺田大延氏
「同じ消臭でもデオマジックとは違って二酸化塩素を使っています。
トイレは閉鎖空間ですので、菌がこもってしまうこともあります。
置くだけでしっかり菌への対策ができます。」


■ヘルパータスケというブランドを世の中に浸透させたい
佐藤博之氏
「今後、ヘルパータスケというブランドが世の中に浸透していく事によって、タスケくんのマークを見ただけで介護専用品だという事がわかっていただける様に、適切なコミュニケーションを行ってかなければいけないと考えています。
タスケくんは、大人の方にも喜んでいただいているので、キャラクターの持つ力を活かして介護の現場に浸透できればと思います。また今後もアースの強みを活かした商品を出していきたいと考えています。」

三好里奈氏
「長く続く介護を少しずつでも楽にできるお手伝いができないかと次の商品の準備をしています。しっかりお客様の声を聞きながら勉強して、私たちが準備できるもの、なおかつ介護が一瞬でも気が楽になるものを地道にやっていこうかなと思っています。

皆様の生活に寄り添えるような「ヘルパータスケ」ブランドに頑張って育てて行きたいと思っています。

介護は自分で選択できないけれど、必要になれば生活の大きな部分を占めます。自分や人とどう向き合うか、生き方となります。自分が介護する・介護される側になったときに、作っておいて良かったなというものにしたいです。」


ヘルパータスケをUFOキャッチャーの商品にしたいという話も出たが、ヘルパータスケの商品のラインナップが増え、今後ヘルパータスケだけで、介護商品が一通り揃うくらいにブランドを育てたいという。

「介護を助ける」
「人を助けるあなたを助ける」


「介護のアース製薬」というイメージは、
介護する人を助け、介護を受ける人と介護をする人、両方の気持ちが明るくできる商品を提供していくことで着実に定着していきそうだ。
執筆:ITライフハック 関口哲司
撮影:2106bpm