75歳のおじいちゃんが運営している「企業ツイッター」が話題だ。


中村印刷所(@nakapribin)さんのツイートから

東京・北区にある「中村印刷所」のアカウントは、1943年生まれ、75歳の中村輝雄社長がツイッター更新を担当。自社製品の「水平開きノート」の紹介動画は2019年2月20日昼時点で11万回以上再生されている。

優しく丁寧に商品を説明する姿に「おじいちゃん可愛い」などのコメントが寄せられている。

「すごいことになって嬉しい」

この動画は中村印刷所が開発した「水平開きノート」を宣伝したもの。1分48秒の長さでノートを実際に使って特徴を紹介している。端的でスムーズに商品の紹介に徹した動画は再生回数11万回を超えるなど反響を呼んでいる。

宣伝効果は抜群なようで、リプライ(返信)欄には「見つけたら是非購入してみたいと思いました!」などの反応が。こうして寄せられるリプライにも、社長は逐一「有難うございます」と丁寧に返信している。

そのほか、顕彰式や小学校の同級生が経営する車販売店を訪れた際の写真もアップロードしている。どのつぶやきを見ても、社長の顔が浮かぶようでなんだかかわいらしい。

ツイッターを始めたきっかけ


中村印刷所(@nakapribin)さんのツイートから

Jタウンネット編集部は2019年2月20日、中村輝雄さんに対して電話を通じて取材を行った。ツイッターの件で取材をさせてほしいと話すと、

「凄いことになってますね」

と、電話越しでもわかるほど反響に興奮していた。

「ノートの良さを1人でも多くの人に知っていただきたい。それが一番の希望です」

ツイッターをしている理由についてこう話した。以前からテレビなどでも紹介されているそうだが「実際にノートを広げてもわかりにくい」として自身で動画を作成した。

「すごいことになって嬉しい」

と改めて動画の評判について話した。自分の思う通りに商品が紹介できる――その上で得た反響だけに喜びはひとしおだったのだろう。

19年1月23日からツイッターを開始した中村印刷所。そもそもなぜ始めることになったのか。現在は元の投稿がなくなってしまったが、従業員の孫娘が16年1月に、

「【拡散希望】うちのおじいちゃんノートの特許とってた...宣伝費用がないから宣伝できないみたい。Twitterの力を借りる!どのページ開いても見開き1ページになる方眼ノートです。欲しい方あげるので言ってください!」

とツイート。これが約3万リツイートを記録して一躍話題になり、テレビの取材などが入った。

「2016年にもツイッターで大きな反響があったのですが、なにも出来なかったことがありまして」

ツイートに寄せられた賞賛のコメントに反応できなかったことを悔やんでいるようだった。

その後、ツイッターに再び接近するきっかけになったのは電子決算の導入だった。

「外国の観光客の方がいらっしゃるのですが、彼ら現金を持っていないんです。そこで色々なところに相談しましたら電子決算はiPadでもできると聞きまして息子に購入してもらいました」

しかし、外国人の観光客が毎日くるわけでない。せっかく購入したタブレット端末を有効活用出来ないかと考えて始めたのがツイッターだった。使い方を2人の子どもから教わりながら習得し、スタートにこぎつけた。


中村印刷所(@nakapribin)さんのツイートから。この投稿も20日13時ごろまでに2600リツイートを記録している。

「子どもが2人いるので相談しながら内容を決めています」

まだまだツイッター開始から1か月足らず。これからどのように商品が紹介されるのか期待が膨らむ。

取材の最後に中村さんからノートの存在を知っていたかと質問され、筆者は今回の動画で初めて知ったと答えた。嬉しそうにこう話した。

「それなら良かったです。1人でも多くの人に知っていただけたのですから」