国民の老後資金が「ハイリスク・ハイリターン」の性格を持つ株式投資を大幅に増やすことになった。政府が先月28日、国民年金基金運用委員会(基金委)で議決した事項だ。この日、基金委は国民年金基金の国内株式投資の目標比率を20.8%に引き上げることを決定した。昨年までの国内株式投資の目標値が14.4%であったことを考慮すると破格的な方針転換だ。

ひとまず、ここまではある程度予想されていた。ところが基金委はさらに踏み込んだ。短期的には目標値(20.8%)に縛られず、国内株式をより多く購入できる道を大きく開いたのだ。いわゆる「戦略的資産配分」の許容範囲を大幅に拡大するという基金委の決定だ。

従来、この範囲は5ポイントだった。しかし今回の会議では具体的な数値を「徹底的非公開」とした。基金委は「基金運用業務の公正な遂行と、金融市場の安定に影響を及ぼす懸念」を非公開の理由に挙げた。なら、従来はどのような理由でこの数値を公開していたのかと問いたい。一言でいうと「当時は正しく、今は間違い」という態度だ。

市場はこの範囲を10ポイント程度と見ている。これが事実であれば、国民年金の国内株式投資比率が30%を少し超えても問題にしないということだ。国民年金基金は今年3月末時点で320兆ウォン(約33兆円)を超える国内株式を保有している。ここから追加で100兆ウォン以上、国内株式の保有額を増やせるようになった。

株式投資家は国民年金の投資拡大に拍手を送るだろうが、国民全体の老後を考えると、どこか不安な気持ちを隠せない。基金委員長の鄭銀敬(チョン・ウンギョン)保健福祉部長官は「国民年金基金の収益性と安定性を高めながらも、金融市場に及ぼす影響を共に考慮した決定」と述べたが、言葉通りには受け止めにくい。国民年金を株式市場浮揚の手段として動員しようという意図ではないかと疑う視線も少なくないからだ。

何よりも今回の決定が中長期的に国民の老後資金である国民年金にプラスになるのかマイナスになるのか断定するのは難しい。今後、国内の株式市場がさらに上昇するか下落するかは、誰も確実に保証できないのと同じだ。株価が上がり続ければ幸いだが、いつか株価が下落に転じて国民年金が損失を出せば、国民全体がその負担を背負わなければならない。

昨年と今年の1−3月期の成績表だけを見れば、国民年金が国内株式投資で「大成功」したのは事実だ。当然のことながら株式投資の収益率は常に高いわけではない。ハイリスクとハイリターンは「コインの表裏」のように切り離せない関係にある。

2011年から昨年までの国民年金の国内株式投資収益率を調べてみた。毎年、安定して収益を出しているだろうか。そうではない。実際、3年に1回の割合で損失を出している。2けたのマイナス収益率も3回ある。2011年(−10.34%)、2018年(−16.77%)、2022年(−22.76%)だ。野球に例えると、いかに強力なバッターであっても時には三振や内野ゴロでアウトになるのと同じ理屈だ。

一つ、明確に指摘しておくべき部分がある。先月28日の会議で、基金委が一体どのような根拠で株式投資の拡大を決定したのか、委員の間でどのような言葉が交わされたのかがまったく公開されていないという点だ。年金専門家からなる「年金研究会」は緊急声明で「国内株式比率の引き上げが財政推計と長期的な収益・リスク分析に基づいた戦略的選択なのか、それとも目先の売り圧力を避けるための臨機応変な対応なのか不透明だ」と批判した。

今回の基金委の議事録は4年後の2030年5月末になって初めて公開される。現政権の任期がほぼ終わる時期であり、事実上、次の政権にならなければ議事録を開くこともできないということだ。金融市場に及ぼす影響を考慮したという保健福祉部の説明だが、同意しがたい。

韓国銀行(中央銀行)の金融通貨委員会(金通委)と比較してみよう。福祉部の論理に従えば、政策金利を決定する金通委の議事録も長期間公開してはならないということだ。しかし実際はそうではない。金通委は通常、20日以内にインターネットのホームページに議事録を掲載し、誰でも閲覧できるようにしている。会議当日には韓銀総裁が記者会見を開き、詳細な背景を説明する。議事録も公開せず記者会見もしない基金委とは全く違う。

今回の基金委の会議について、年金研究会は「国民年金が国内株式市場の変動性緩和や株価管理、為替防衛のための便宜的な手段として利用されているのではないかという疑惑を避けるのは難しい」と指摘した。どうか、このような疑惑が事実でないことを望むばかりだ。もし事実であれば、青年世代や未来世代に対して大きな罪を犯すことになるからだ。

チュ・ジョンワン/論説委員