山田将矢さん

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 人生いろいろ、家族もいろいろ、幸福の形もいろいろ。近年、「結婚がゴールではない」という声も大きくなりつつあるとはいえ、ゴールインした二人には幸せになってほしいと思うのが人情というものだろう。

 そして、そのゴールに到達するまでには、十人十色のドラマがあるのは言うまでもない。目下、幸せに包まれているカップルにエールを送りつつ、出会いから現在までを根掘り葉掘り聞いてみる「令和の結婚事情レポート」。

 今回登場していただくのは、元スピードスケート選手の山田将矢さん(29)と小野寺優奈(ゆな)さん(28)だ。入籍は彼女の誕生日の3月2日である。

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【写真を見る】柔和な雰囲気がソックリ 「美男美女」な将矢さん&優奈さん

「付き合おっか」

 中学生当時、地元のスケートの大会成績で「よく見る名前」と互いに思っていたものの、顔とは一致していなかった。

山田将矢さん

 2013年3月、日本スケート連盟がカナダ・カルガリーに派遣する当該年度の成績優秀者の中に、高1だった将矢さんと中3の優奈さんの名があった。このとき初めてあいさつで言葉を交わし、その後、高校や大学でも強化選手に選ばれ、友人として話すようになる。

 22年の北京冬季五輪終了後もナショナルチームで一緒に。そこで初めて練習を共にし、23年からは食事に行く機会も増えた。

 二人の仲は非常に良かったが、さりとて「交際する、しない」という話が出たことはなかったという。

 転機は優奈さんの引っ越しだった。25年のシーズンでナショナルチームを離れ、所属の富士急行でスケートを続けることになった彼女はその年の4月、会社のある山梨県富士吉田市への転居が決まる。将矢さんが作業を手伝うことになり、まだこの時点では付き合っていないとはいえ、二人の波長が合っていたことは推察できよう。一仕事を終え、帰路に就こうとする将矢さんが放った一言は、

「付き合おっか」

 4月16日だった。優奈さんもまた、仲の良い彼との間に「はっきりした形が欲しい」と思っており、「はい、お願いします!」。

 共に「年齢的にも結婚を前提にしないときちんと交際できない」と考えていたといい、二人の間に確固たる形が出来上がった。

遠距離恋愛

 当然、遠距離恋愛ではあるが、大会で彼女が地元に戻ったり、彼が休みを利用して山梨を訪ねたりするなど、月に1度は会っていた。

 富士吉田市の名物でもあるうどんの「硬さが癖になった」と彼は気に入り、うどん店巡りもした。8月には甲府の上り坂で優奈さんの軽自動車のアクセルを彼が踏み続けていたところ、突然〈残りの走行可能距離ゼロ〉の表示が。実際にはまだガソリンは残っていたが「このまま上ろう」「いや下ろう」と言い合いに。下ってコトなきを得たが、真夏の甲府盆地の酷暑の中、クーラーを切って二人で汗だくになった思い出も。

バラの花束

 25年12月の五輪選考会を経て二人は引退。年明け1月8日、ホテルの鉄板焼き店で食事をすることになった。

 これを好機と捉えた将矢さんは「いいお店だからいい洋服で行こう」と優奈さんに提案。食事後に泊まる部屋が2階から入るメゾネットタイプだったため、1階にバラの花束を事前に隠しておいたのだった。

 彼女は食事に誘われた際に「もしかしたら」と思ったが、「引退後そんなすぐではないかな」と考えた。ところが1階から彼の呼ぶ声がしたその時。「ピロン」。動画撮影開始の音が聞こえてピンときた。下りると花束を抱えた彼が「結婚してください」。舞い上がった彼女はずっと笑顔が続いた。

 優奈さんが山梨の家を引き払い、4月から同居を始めた。彼女は彼の「15分でできておいしい」をモットーとした“男飯”に舌鼓を打っているという。

 家族が増える将来を視野に入れながら、将矢さんは「子供に食事も勉強も運動も何でも教えられる人間でいられるよう、成長を続けていきたい」と言う。そんな姿に優奈さんは「やわらかくいつも楽しそうな彼が好きなので、ずっとそうでいてもらえるようにサポートしたい」と柔和な顔。

 北の国の氷上で知り合った二人は、温かな愛を育みつつ、スイスイと前に進んでいくことだろう。

「週刊新潮」2026年4月23日号 掲載