【清水 芽々】夫の死後、3人の愛人が発覚…!本妻が彼女たちの「面倒を見る」と決意した驚きの理由

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夫の葬儀に3人の愛人が現れた

かつて日本では、社会的地位や経済力の高い男性が「妾」や「二号さん」と呼ばれる妻公認の愛人を持っていた時代があった。しかも妻はそんな愛人に対して、盆暮れの付け届けをするなど、丁重に扱っていたとされる。

現代では考えられないと思うかもしれないが、実は「夫の愛人に尽くす」賢夫人は令和の世の中にも存在している。

愛知県在住の鈴木礼子さん(仮名・65歳)の夫、卓司さん(仮名)は建設関係の会社を手広く経営して、かなり羽振りが良かったそうだが、3年前、72歳の時に心筋梗塞で急死する。

「卓司は自宅で発作を起こしました。間の悪いことに私が留守にしていた時だったんです。私が近くにいれば、すぐに救急車を呼ぶなどして助けられたかも知れないと、悔やみました」

卓司さんは一代で財を成し、たたき上げの人生だったという。

「相当な苦労があったと思いますが、それをおくびにも出しませんでした。飲む・打つ・買う、と人生を楽しんでいたように見えたので、まさかこれほど急に亡くなるとは思いませんでした」

傷心にありながらも「喪主」として、気丈に葬儀を取り仕切った礼子さんだったが、社葬に先立ち、近親者だけで葬儀を行った際にとんでもない事態に出くわした。

「卓司の愛人だという女性が3人現れたんです。卓司に愛人がいるだろうと言うことはうすうす気づいていましたけど、対面するのは初めてでした」

愛人たちはそれぞれ辛い境遇にあった

卓司さんの秘書から連絡を受けてやってきたという3人。ひとりは40代の女性(A子さん)で子どもはいなかったが、50代(B子さん)と40代(C子さん)の二人には、それぞれ子どもがいたという。

「ただ、卓司の子どもではありません。卓司は病気が原因で子どもが作れない身体だったんです。彼女たちは皆、夜の仕事をしていて卓司と知り合ったと言っていました」

面食らった礼子さんだったが、すぐに事情を察したという。

「卓司は昔から、困っている女性を放っておけない人だったんです。私自身、複雑な家庭に育ち、居場所がなくて夜の街を彷徨っていたところを卓司に拾われたようなものでした。なので、彼女たちも何らかの事情を抱えていて、それに同情した卓司が手を差し伸べたのだろうと思いました」

礼子さんが話す通り、愛人たちはそれぞれ辛い境遇にあった。

「A子さんは長い間貢いでいた男性に捨てられて自暴自棄になっていたところを卓司に助けられたと言っていました。子連れのB子さん、C子さんに関してもシングルマザーとしての生活に疲れ果て、途方に暮れていた時に卓司と知り合ったそうです」

3人それぞれに話を聞いた礼子さんは、全員が経済的に卓司さんに依存していたことを知る。

「卓司は全員が抱えていた借金を清算し、さらに夜の勤めを辞めてもやって行けるように毎月50万円ほど援助していたそうです。交際期間はA子さんが一番長くて5年、B子さんが4年、C子さんは2年でした」

卓司さんが3人に費やした総額は1億円近かった。

「金額自体にはそれほど驚きませんでした。私の生活に影響が出たこともありませんでしたし、私たち夫婦には財産を残す相手もいなかったので『生きている間に好きなだけカネを使おう』というのが卓司の口癖だったんです」

愛人に「申し訳ない」という気持ちが芽生えた

女遊びに関してもお金に糸目はつけなかったが、子どもっぽいところのある卓司さんは、愛人たちにはかなりわがままを言っていたようだ。

「生活を立て直したA子さんが婚活を始めようとすると、『俺がいるのになんで他の男を探すんだ』と言って妨害を繰り返し、B子さんが高齢の両親を心配して遠方の実家に戻ろうとすると、『そんな遠くに行ったら会えないじゃないか』と両親を無理やりこちらに呼び寄せたようです。C子さんが若い時の写真を見つけたときは、『この頃に知り合いたかった。今からでも遅くないから若い頃に戻ってくれ』と美容整形を受けさせたとか……。世話をする代わりに自分の思い通りにしたい気持ちがあったんでしょうね」

亡き夫に振り回されていた愛人たちに対して、「申し訳ない」という気持ちが芽生えた礼子さん。

「このまま放り出すわけには行かないと思いました。卓司が生きていたら、きっとこれからも彼女たちを支えていただろうと思いますし、会社関係にはノータッチだった私にとって、彼女たちの面倒を見ることが、卓司の遺志を継ぐことになると思ったんです」

決意を固めた礼子さんは愛人たちにその旨を伝え、「私にできることがあったら、何でも言って欲しい」と念を押した。

その後どうなったかというと……。

「まず私は、結婚願望を持ち続けていたA子さんの婚活を手伝いました。一緒に婚活パーティに行ったこともあります。でもなかなか良さそうな人がいなかったので、個人的に縁談を探そうと思ったんです」

大胆にも礼子さんは、卓司さんの会社内でお相手探しを始める。

「うちの会社の人間だったら身元もはっきりしているし、社長夫人である私の紹介した女性を粗末に扱うわけにはいかないじゃないですか。A子さんが故人である社長の元愛人だということは隠しきれませんでしたけど、彼女の年齢を考えれば男性遍歴があって当然で、それがたまたま社長だったというだけの話。候補にあがった男性も40代〜50代と人生経験を積んでいる世代でしたから、そのへんは暗黙の了解という感じでした」

愛人の両親の介護施設探し

かくしてA子さんは50代の役職男性とマッチングする。

「生前、卓司が目をかけていた男性でした。仕事にかまけていたために女性とのご縁がなかったそうで、初婚です。彼だったら、天国の卓司もやきもちを焼くこともないだろうと思いましたし、真面目で優しく、懐の大きな人だったので、安心してA子さんを託すことができると思いました」

晴れてゴールインしたA子さんに、礼子さんはご祝儀として1000万円を渡している。

「手切れ金みたいな意味もありました。きっと天国で卓司も喜んでいると思います」

そしてB子さん。故郷から呼び寄せたものの、認知症を発症した両親の介護に明け暮れるようになった彼女のために、礼子さんは介護施設探しに奔走する。

「もとはと言えば卓司のわがままが招いたことですからね。パンフレットを見て良さそうな施設をいくつか見繕って、実際に見学に行っただけでなく、興信所も使って内情を調べてもらいました」

二重三重のリサーチを重ねた甲斐あって、B子さんの両親は場所・設備・人材、すべてに満足の行ける施設に入所することができたそうだ。

「入所金の500万円は出しましたが、毎月の費用に関しては、B子さんの収入で賄っています」

とはいえ、B子さんは卓司さんの会社で働いており、給料はB子さんのキャリアから考えれば破格とも言える、手取り40万円。

「その代わりとして、卓司の生前に受け取っていた愛人手当は無くなりましたけどね(笑)。でもB子さんも納得の上で決めたことです」

B子さんには中学生と高校生の子どもが3人いるそうだが、「その子たちが全員大学を卒業するまでの学費は出します」と礼子さんは胸を張った。

愛人の子どもを一緒に育てることに…

続いて、C子さん。3人の愛人の中では一番若い彼女には、小学校低学年の子どもがいる。

美容師として働いていたこともあるC子さん。これまでは子育てのために愛人として生活していたが、「社会復帰したい」と復職を希望していたため、礼子さんはC子さん親子を自宅に住まわせることにした。

「C子さんが安心して働きに行くためには、そのほうが良いと思ったんです。私にとっては孫のような子どもとの生活は新鮮で刺激的で、毎日が楽しいです」

還暦過ぎてからの子育てだが、礼子さんはこう笑う。

「周りからは『大変でしょう?』とよく言われますけど、初めてのことで比べようがないから、大変かどうかなんてわからないです(笑)」

そのC子さんに最近、男性の影が浮上しているという。

「仕事関係で知り合った方で、離婚歴があると聞きました。子どもを連れてデートしたこともあるみたいです。『もし、再婚を考えているなら慎重にね』と口を酸っぱくして言っています。というか、本音を言うと、私が子どもと離れたくないんです」

この先、C子さんがどのような選択をしたとしても、礼子さんは「必要であれば」支援を惜しまないそうである。

亡き夫、卓司さんの愛人たちに手を差し伸べ続ける礼子さん。にわかには信じがたい行動の裏には、礼子さんの夫に対する感謝の気持ちが隠されていた。

「実は私、両親に虐待されて育ったんです。思春期の頃からこの世の不幸をすべて背負いこんだような気持ちで生きて来ました。そんな人生に絶望した私を助けてくれて、人並み以上の幸せをくれたのが卓司だったんです。卓司と知り合った時、私は22歳で、まともな生活をしていませんでした。そんな私に卓司は2年遅れの成人式だと言って、振袖を買ってくれたし、高校を中退している私を夜学に通わせてくれて、高校卒業の資格を取ることもできました」

10歳という年齢差のせいか、卓司さんは「夫と言うより、時に父のような、兄のような存在だった」という。

「何も持っていなかったどころか、マイナスの人生を送っていた私に卓司は抱えきれないほどの幸せをくれました。烏滸がましいかも知れませんが、愛人さんたちの力になりたいと思うのは、そのおすそわけみたいなものなんです」

卓司さんを介して巡り合った4人の女性たちは、卓司さんの死後、それぞれ前を向いて歩き出している。

型破りとも言える人生を送っていた卓司さんだが、これも彼の人徳のなせる業なのかもしれない。

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