日本南西部の安全保障環境は激変!?島をまるごと基地とする「航空自衛隊」の馬毛島基地をスクープ撮

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「一島まるごと」日米の訓練施設

鹿児島県大隅諸島に属する馬毛(まげ)島。

南北に約4.5km、東西に約2.7kmというこの小さな島では、’23年から昼夜を分かたず急ピッチで工事が進められている。

石垣島や宮古島など、島内に自衛隊の基地や駐屯地が建設された例はあるが、馬毛島がそれらと大きく異なるのは「島がまるごと自衛隊の基地となる」点だ。

上の写真は今年3月中旬に撮影した馬毛島だ。最大の特徴である2450mの主滑走路と、1830mの横風用滑走路が上空からはっきり見えた。方向の違う滑走路があることで、天候や風向きに左右されず離着陸が可能となる。

ここでは航空自衛隊の最新ステルス戦闘機であるF-35Bの離着陸訓練と、現在、硫黄島が舞台となっている米海軍の空母艦載機の模擬発着艦訓練が行われる予定だ。米海軍航空部隊が配置されている岩国基地(山口県)から硫黄島まで約1400km離れており、馬毛島が使えるとなれば、岩国基地からの移動距離は約400kmと大幅に短縮される。

上空からは大小さまざまな桟橋も見て取れた。ここには海上自衛隊の護衛艦などが接岸可能。また揚陸用エリアも作られ、陸上自衛隊の訓練施設も整備される。まさに自衛隊の複合施設となるのだが、それらの建設もかなり進んでいるようだ。

この島で勤務する自衛隊員は150名から200名になる見込みだ。島の中には生活スペースである隊舎、食堂、浴場、厚生施設、体育館等が置かれるが、隊員及びその家族は馬毛島から東に約10kmの距離にある種子島で暮らすことになる。

同島の西之表(にしのおもて)市、中種子(なかたね)町、南種子(みなみたね)町に官舎が建設され、中種子町にある浜津脇港を通勤港として、隊員は船で馬毛島へと通うことになる。通勤船を運航するのは、国から委託された民間業者だ。

馬毛島工事の拠点も種子島にある。

「給料などの条件が良くて、すぐに応募した。文字通り日本全国から集まってきているよ。種子島に遊べる場所がないのが玉に瑕(きず)だけどね」

関東から来たという作業員はそう言って頭を掻いたが、夜の街は賑わっていた。東京や大阪、北海道出身の作業員たちで満員だった飲食店の店員は「ちょっとしたバブルだよ」と微笑んだ。

新たな雇用も生まれるなど、種子島も潤っているように見えた。

馬毛島にはもう一つの重要な顔がある。それが洋上に浮かぶ″不沈空母″たる要塞島としての役目だ。有事となれば真っ先に航空基地が攻撃される。戦闘機は離陸したら、燃料や弾薬の補給のため必ずどこかに着陸しなければならないが、基地の滑走路が破壊されれば、それが出来なくなる。

防衛省は民間空港も活用する方針で、これを機動分散運用と呼ぶ。馬毛島は中国が狙う宮古海峡や奄美群島から適度な距離にあり、有事の際は前線で戦う戦闘機や艦艇の補給基地となる。

完成予定は’30年。日本南西部の安全保障環境はこれから大きく変わる。

『FRIDAY』2026年4月17・24日合併号より

文・PHOTO:菊池 雅之