高市早苗氏の公式Xより

写真拡大

17日、衆院内閣委員会で政府のインテリジェンス(情報収集・分析)能力を強化する「国家情報会議」設置法案の質疑が行われた。国家情報会議設置法案は衆院本会議で審議入り。法案を足掛かりに「スパイ防止法」制定や、外国での諜報(ちょうほう)活動を行う機関の設置を目指す。

現在の政府の情報組織は内閣官房の内閣情報調査室のほか、警察庁の公安部門や公安調査庁、外務省、防衛省にある。どこが対応すべきか、管轄の問題などがあった。新しい機関を作ることで、情報を一元的に集約し、官邸の政策判断に役立てることができる。高市早苗政権は、情報会議と情報局の次に、外国勢力を防ぐ防諜と、海外で行う対外諜報の強化を目的としている。

法案は、首相が議長を務める閣僚級の「国家情報局」を設置し、内閣情報調査室を格上げする機関に事務局を担わせるというもの。また、各省庁の持つ情報を効果的に集約するための「総合調整権」が与えられる。

中道改革連合など野党はプライバシーの侵害や政治利用への懸念から規定が不十分と反対している。

中道の長妻昭氏は「政府の政策に反対するデモや集会に参加しただけの人に対して、顔写真撮影や本名、職業を調査したりはしませんよね」と質問した。

高市首相は「政府の政策に反対するデモそのものが、情報活動の関心の対象となることは一般的には想定しがたく、政府の政策に反対するデモや集会に参加しているということのみを理由として、普通の市民の方が調査の対象になるということも想定しがたい」と考えを述べた。

また、長妻氏は情報局長の任期や具体的な運用ルールについて質問。高市首相は「期限を切ってのルール化は検討いたしていない」と答えた。

世論調査では、賛成が反対を上回る

国家情報会議については、国民民主党、参政党は「大きな方向性は賛同する」と賛成の立場だ。中道は「情報の政治利用につながる」との懸念から反対、共産党は、国民の監視強化につながることから反対の立場をとっている。また、中道と国民民主から、修正案も出されている。

時事通信が、全国の18歳以上の2000人に実施した世論調査では、賛成が39.1%、反対が19.0%、分からないが41.9%と、反対より賛成が多いという結果となった。

国家情報会議を設置するメリットは、情報戦における戦略的な分析力向上、複雑な国際情勢への対応力向上、迅速な意思決定ができる環境が整備できることなどがある。

デメリットは、国民の監視強化、プライバシー侵害の可能性、情報収集活動が過激化するリスク、政治的なスキャンダル隠しに情報機関が使われる懸念などがある。

混迷する国際情勢を鑑みれば、情報力の強化は重要だ。しかし、権力に近すぎることや、他国のように情報機関をチェック・監視する機関も必要だ。国民の監視強化やプライバシー侵害にならないよう、慎重に議論を進めてもらいたい。

文/並河悟志 内外タイムス編集部