「中国人農家が今以上に台頭するかも」 栽培や農薬に関して“手抜き”が… 近隣農家は「虫が大量発生する事態などを心配している」
【前後編の後編/前編からの続き】
茨城県は今年度から、外国人の不法就労対策として通報報奨金制度を導入する。2月の発表以降、「差別を助長する」と反発する人もいるが、現地に足を運ぶと、意外な本音を地元住民は口にする。その裏には、背に腹を代えられない事情もあるようで……。
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【写真を見る】最新の人口データを元に作成した地図 濃い赤で示されるのが特に「外国人比率の高い」エリアである
前編では、茨城県で外国人による不法就労がまん延している理由について、農家の本音を交えて報じた。また、近年は日本国籍を取得した中国人が農業経営に乗り出すケースが増えているという。
鉾田市でトマト農園を営む男性が言う。

「市内の農地を中国人が買い取り、日本人の名義を借りて野菜などを出荷しているケースを知っています。おそらく中国人が作ったと分かれば、市場では売れないからでしょう。ただ栽培や農薬に関して、われわれの感覚からすると“手抜きだ”と映る部分も多く、今後、虫が大量発生する事態などを近隣農家は心配しています」
この男性は通報報奨金制度については「不法外国人の一掃に寄与する」として賛成の立場だ。
同じように考える市民は年々増えているという。それは多発する外国人犯罪が影響しているためだ。
「大麻の“栽培工場”が」
「5年前に市内の農家で働くベトナム人実習生が同国籍の実習生を芽切りバサミで刺殺した事件がありました。以来、彼らの存在を不安視する住民が出始めた。先月12日には、茨城県警などが市内の戸建て5棟に住んでいた不法滞在のインドネシア人とタイ人ら計19人を一斉摘発しました。鉾田では“フホー(不法滞在の外国人)”を取り締まるべきという声も多い」(地元紙記者)
さらに続けて、
「昨秋、茨城県警は大麻草の営利目的栽培容疑でベトナム国籍の男3人を逮捕しました(うち1人は後に不起訴)。容疑者の自宅の一室は、天井一面にLEDライトが設置され、温度や湿度測定機も完備。大量に大麻草の鉢が並べられ、“栽培工場”と化していたといいます。近年、県内では大麻など違法植物の栽培に絡み、不法滞在の外国人が摘発される事例が後を絶ちません」
警察庁の犯罪統計によれば、2001〜05年までの5年間と、25年までの直近5年間を比べると、摘発された外国人は全国で4割減少。しかし茨城では逆に4割増加した。
「中国人農家が今以上に台頭するかもしれない」
鉾田市議が本音をこう明かす。
「新制度が機能しないと考えるのは、報奨金の額がどうのこうのという理由だけではありません。不法滞在の外国人も実習生も見た目に大きな違いはなく、一般市民が“フホー”かどうかを見分けるのはまず不可能です」
通報できるのは内情を知る同じコミュニティー内の農家とならざるを得ないわけだが、
「知り合いの農家を刺すような行為をできるわけがない、と皆が躊躇(ためら)いを覚えています。こっちの事情を知らない人は“差別を助長する”と批判するばかりですが、私たちの心情はもっと複雑なのです。不良外国人は追放してほしいものの、もし制度が機能すれば日本人農家の衰退が進み、代わって中国人農家が今以上に台頭するかもしれないのですから」(同)
前編では、茨城県で外国人による不法就労がまん延している理由について、農家の本音を交えて報じている。
「週刊新潮」2026年4月16日号 掲載
