“カロリー”が低いのは「生卵」と「ゆで卵」どっち?注意点も管理栄養士が解説!

卵かけご飯や卵焼きなど、食べやすい卵ですが、カロリーはどのくらいなのでしょうか。本記事では、卵の一日の目安量や健康効果、効率的な摂取方法について、メディカルドック監修の管理栄養士が詳しく解説します。

監修管理栄養士:
都々地尾 ゆき(管理栄養士)

介護老人保健施設で給食管理や栄養管理業務等、約10年間従事しました。その後、管理栄養士の資格を取得し、現在は同施設で栄養ケアマネジメント業務やおやつレクを担当しています。日々の食事を楽しんでいただけるよう、心を込めてサポートしています。

卵とは?

生物学的に卵とは、鳥類や魚類、昆虫などの雌が産み、殻や膜に包まれた状態で発生し、やがて個体へと成長するものを指します。日常的に食用として流通しているのは主に鶏の卵(鶏卵)です。鶏卵は、たんぱく質をはじめ、ビタミンやミネラルなど多くの栄養素を含む栄養価の高い食品です。特に、人の体内で合成できない必須アミノ酸をバランスよく含み、アミノ酸スコアは100とされています。ただし、ビタミンCや食物繊維は含まれていないため、これらは他の食品と組み合わせて補うことが大切です。

卵1個のカロリー量は?

卵のカロリーは、サイズや調理方法によって変動します。ここでは一般的に使用されている鶏卵の、Mサイズ(殻付き約60g、正味約50g)とLサイズ(殻付き約70g、正味約60g)を、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年を基に解説します。

生卵1個のカロリー量

鶏卵(全卵・生)の100g当たりのカロリー量は142kcalです。
生卵1個(正味)あたりのカロリーは、Mサイズで約71kcal、Lサイズで約85kcalです。

ゆで卵など、ゆでた時のカロリー量

日本食品標準成分表によると、ゆで卵のカロリーは、100gあたり134kcalで、Mサイズで約67kcal、Lサイズで80kcalとなります。生卵と比べ、ゆでる工程での重量変化により約8~10kcal程度の違いがあるとされています。
温泉卵のカロリーは、日本食品標準成分表には掲載されていませんが、低温でゆっくり加熱するため、重量変化は少ないと考えられており、生卵と同程度と考えられます。

卵焼きなど、焼いた時のカロリー量

卵焼きや目玉焼きなど、焼く調理法では、使用する油や調味料によりカロリーが変動します。
卵焼き(厚焼き玉子)Mサイズで73kcal、Lサイズで88kcal、卵焼き(だし巻き卵)Mサイズで62kcal、Lサイズで74kcal、目玉焼きMサイズで103kcal、Lサイズで123kcalです。

卵かけごはんのカロリー量は?

ごはん茶碗1杯(150g)234kcalと一緒に食べるカロリーは、Mサイズの卵1個で305kcal、Lサイズで319kcalです。

調理法・メニュー Mサイズ(正味50g) Lサイズ(正味60g)

生卵 約 71kcal 約 85kcal

ゆで卵 約 67kcal 約 80kcal

目玉焼き(油使用) 約 103kcal 約 123kcal

厚焼き玉子 約 73kcal 約 88kcal

卵かけごはん※ 約 305kcal 約 319kcal

※ごはん茶碗1杯(150g=234kcal)と合わせた場合の合計値

卵に含まれる栄養素

たんぱく質

たんぱく質は、筋肉や血液、骨、皮膚、髪など、体をつくるために欠かせない栄養素です。卵は、たんぱく質の質を評価する、アミノ酸スコアが100を示しています。体内では作れない必須アミノ酸をバランスよく含んでおり、効率良く筋肉や細胞の材料に利用されます。

脂質

脂質は細胞膜の構成成分であり、エネルギー源としても重要な栄養素です。また、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)やカロテノイドの吸収を助ける働きがあります。卵にはコレステロールも含まれており、細胞膜やホルモンの材料として利用されます。卵黄の脂質は、たんぱく質と結合したリポタンパク複合体として存在し、神経伝達や細胞膜の構成に関わるレシチンやコリンを含んでいます。さらに、卵の脂質は不飽和脂肪酸を多く含みつつ、飽和脂肪酸も含まれるため、摂取量や食事全体のバランスに配慮することが大切です。

脂溶性ビタミン

脂溶性ビタミンは脂質と一緒に摂ることで吸収が高まります。鶏卵はビタミンDやビタミンA、ビタミンEが含まれています。
ビタミンDは血中カルシウム濃度の調節に関わる栄養素で、小腸でのカルシウムの吸収を助ける働きがあり骨の形成に関与しています。ビタミンAは抗酸化作用を持ち、成長や視覚機能の維持、免疫系の正常な機能に関与しています。ただし、脂溶性ビタミンは体内に蓄積されるため、摂り過ぎには注意が必要です。

水溶性ビタミン

水溶性ビタミンは水に溶けやすい性質のため、過剰に摂取しても体内には蓄積されず、尿と一緒に排泄されます。そのため、こまめに摂る必要があります。卵には脂質の代謝を促して効率よくエネルギーへ変換するビタミンB2や、皮膚や粘膜の健康を保つビオチンを含みます。

ミネラル

不足しがちな鉄分や亜鉛を含んでいます。特に鉄分は、赤血球のヘモグロビンを作る材料として重要な働きがあります。

卵の健康効果

筋力維持や免疫系に関与

たんぱく質は筋肉量を維持するのに役立ちます。筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、太りにくい体づくりに繋がります。高齢者のフレイル(虚弱)予防にも効果的です。

骨の健康の維持促進

ビタミンDが小腸でのカルシウム吸収率を助ける働きがあるため、骨の健康維持に役立ちます。また、骨粗鬆症の予防に効果があると期待されています。

皮膚や粘膜の健康維持

たんぱく質は、肌のコラーゲンや髪の主成分であるケラチンの材料となります。また、抗酸化作用のあるビタミンEや、皮膚・粘膜の健康維持を助けるビタミンB2、ビオチンも含まれています。

卵を食べる時の注意点

食物アレルギー

卵は、特に乳幼児において症例数の多い食物アレルギーの原因の一つです。主に卵白に含まれるたんぱく質が原因となり、摂取後にじんましんや腹痛、重症の場合にはアナフィラキシーなどの症状を引き起こすことがあります。一部のアレルゲンは加熱によって影響が弱まる場合もありますが、卵白に含まれるオボムコイドのように加熱に強い成分もあるため、「加熱すれば必ず安全」とは限りません。初めて摂取する場合や体調に異変を感じた場合は、自己判断せず医療機関を受診し、医師の指導のもとで対応することが大切です。

コレステロールの摂り過ぎ

現在、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、健常者に対するコレステロールの摂取目標量は設定されていません。コレステロールは体内でも合成される重要な成分であり、細胞膜やホルモンの材料として働きます。食事からのコレステロール摂取が血中コレステロール値に与える影響には個人差があり、健常者では体内で調整されることが知られています。一方で、脂質異常症のある方や糖尿病などのリスクがある方は、食事の影響を受けやすいため、医師や専門家の指導のもとで摂取量に配慮することが大切です。

サルモネラ菌による食中毒

日本で市販されている卵は、生食を前提に洗浄・殺菌されています。しかし、賞味期限を過ぎた卵や、殻が割れている卵を加熱せずに食べるのは「サルモネラ菌」による食中毒のリスクが高まるため注意が必要です。また、調理前の割卵を常温で放置することも食中毒の可能性に繋がるため、冷蔵庫から出した卵はできるだけ早めに調理することをおすすめします。

卵の栄養素を効率的に摂取する方法

吸収率を高める食べ合わせ

卵に含まれるビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける働きがあるため、牛乳やチーズ、しらすなどカルシウムを多く含む食品と組み合わせることで、栄養バランスの向上が期待できます。また、卵に含まれる脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)は脂質と一緒に摂ることで吸収率が高まるため、適量の油を使った調理も有効です。ただし、卵自体にも脂質が含まれているため、油の使い過ぎには注意し、全体の食事バランスを意識して取り入れことが大切です。

野菜と一緒に摂取する

卵にはビタミンCと食物繊維が含まれていません。ブロッコリー、ほうれん草、トマトなどの、ビタミンCや食物繊維が含まれる野菜と一緒に調理することで、バランスの良い食事になります。

加熱時間を変える

卵は加熱の程度によって消化のしやすさが変わります。一般的に、生卵よりも加熱した卵の方がたんぱく質の消化吸収率は高まるとされています。半熟卵(温泉卵など)はやわらかく消化しやすい状態で、胃腸への負担を抑えながら取り入れやすい調理法の一つです。ただし、体調や体質によって適した加熱状態は異なるため、自分に合った形で取り入れることが大切です。

卵の保存方法や期間

保存温度と卵の向き

卵は10℃以下での冷蔵保存が基本です。未割卵であれば短時間の常温保存でもすぐに腐敗するわけではありませんが、特に夏場は温度上昇により品質が低下しやすく、食中毒のリスクが高まるため注意が必要です。また、殻の表面に水滴が付くと、そこから微生物が内部へ侵入する可能性があるため、結露を防ぐことも大切です。冷蔵庫で保存する際は、丸みのある側(気室側)を上、尖ったほうを下にして置くことで、卵黄が安定し鮮度を保ちやすくなります。

ドアポケットより棚の中へ

冷蔵庫のドアポケットは開閉による温度変化が激しく、振動も多いため、卵の劣化を早める可能性があります。できれば冷蔵庫の棚で、買ってきたパック(尖ったほうが下の状態)のまま保存するのが理想です。

項目 適切な保存方法

保存温度 10℃以下の冷蔵保存

卵の向き 丸い方を上、尖った方を下にする

保存場所 ドアポケットではなく冷蔵庫の棚

「卵のカロリー」についてよくある質問

ここまで卵について紹介しました。ここでは「卵のカロリー」についてよくある質問に、メディカルドック監修管理栄養士がお答えします。

卵1個のカロリーやたんぱく質量はどのくらいですか?

都々地尾 ゆき

日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によると、卵1個(Mサイズ・50g)のカロリーは約71kcal、たんぱく質量は約6.2gです。

ダイエット中の場合、卵を毎日何個食べて良いでしょうか?

都々地尾 ゆき

ダイエット中に卵を何個食べても良いかという、明確な指標はありません。健康な方であれば、ダイエット中でも1日1~2個を目安に摂取しても問題はないと考えられています。卵は満足感が高く、甘い間食を防ぐ効果も期待できます。調理法は油を使わない「ゆで卵」や「ポーチドエッグ」にすると良いでしょう。ただし、卵だけで栄養を補うのではなく、他の食材と合わせ、バランスの良い食事を心掛けると良いですね。

まとめ

卵は良質なたんぱく質をはじめ、ビタミンやミネラルをバランスよく含む栄養価の高い食品です。ただし、ビタミンCや食物繊維は含まれていないため、野菜などと組み合わせて摂ることが大切です。1日1~2個を目安に、調理方法や加熱状態を工夫することで、無理なく栄養を取り入れることができます。また、脂質の摂り過ぎや食物アレルギー、衛生管理には注意しながら、日々の食事にバランスよく取り入れましょう。

「卵」と関連する病気

「卵」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の詳細などはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

脂質異常症動脈硬化

免疫系の病気

食物アレルギー

消化器系(感染症)

サルモネラ食中毒

「卵」と関連する症状

「卵」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状の原因などはリンクから詳細記事をご覧ください。

卵に関連する症状

蕁麻疹

かゆみ

腹痛

下痢

吐き気

血圧低下

意識障害

参考文献

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(厚生労働省)

特集「疑問解消! たまごのヒミツQ&A」(農林水産省)

日本養鶏協会