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200万円台半ばで購入が可能に?

ダイハツから新型軽商用BEV、『e-ハイゼット・カーゴ』と『e-アトレー』が発表された。

【画像】さすがの機能性!ダイハツ新型軽商用BEV『e-ハイゼット・カーゴ』と『e-アトレー』 全33枚

ラインナップは商用車らしくシンプルで、まず、前者には『2シーター』と『4シーター』を用意。後者には『RS』と呼ばれる、さらに上質感を高めることによって乗商兼用としてのニーズにも応えるグレードを用意し、合計3モデルを設定している。


ダイハツの新型軽商用BEV、e-アトレー。取材車のグレードはRSとなる。    平井大介

価格はe-ハイゼット・カーゴが314万6000円、e-アトレーは346万5000円となり、金額だけを聞くと一瞬、驚くかもしれない。

しかし、実際には国からのCEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金)や、地方自治体からの補助金を組み合わせることで、あくまでも予想ではあるが200万円台半ばで購入が可能になる計算だ。

加えてBEVのランニングコストの低さを考えれば、ガソリン車との価格差も、使用頻度(走行距離)が大きくなればなるほどに相殺されていくことになる。

今回試乗したモデルは、『e-アトレーRS』。軽商用BEVをビジネスユースのみならず、レジャーユースにも使おうというユーザーには特に気になる存在だろう。ちなみにe-アトレーとe-ハイゼット・カーゴのメカニズムは両車ともに共通だ。

3社共同開発のBEVシステム採用

まずは、そのBEVとしての成り立ちを簡単に解説しておくことにする。

2011年にフルモデルチェンジされて登場した現行型、すなわち初代から数えて実に11代目となるハイゼットをベースに、ダイハツ、スズキ、そしてトヨタの3社によって共同開発されたBEVシステム、『e-スマート・エレクトリック』を採用するe-アトレー。


フロア下のホイールベース間に薄型リチウムイオンバッテリーを搭載。    平井大介

その大きな特徴は、フロア下のホイールベース間に搭載される薄型リチウムイオンバッテリーが持つ容量の大きさだ。36.6kWhという数字は軽BEVとしてはトップクラスにあるもので、それによって一充電走行距離はWLTCモードで257kmを実現する。

もちろん、実際の走行可能距離は気温やエアコンのオンオフなどによって大きく変化するが、ダイハツではそのモデルケースとして、『春秋の気温が25度でエアコンの使用がない場合』は約300km、『気温が30度でエアコンを使用する夏』は約170km、同様に『5度でエアコンを使用する冬』は約140kmという目安の数字を発表している。

また同社の調べによれば、軽商用車ユーザーの約8割は1日あたりの走行距離が100km未満であるというから、e-アトレーはまずは軽BEVとして十分な実用性を持つと評価していいだろう。

荷室のサイズや最大積載量は変化なし

電力供給ユニットのESUはフロントシート下に、そしてeアクスルと呼ばれるモーターとインバーター、デファレンシャルを一体化したユニットをリアに搭載することで、駆動方式をRWDとしたe-アトレーは、リアサスペンションもガソリン車とは異なるトレーリングリンク式となる。

一方でBEV化に伴って、荷室のサイズや350kgの最大積載量に一切の変化がなかったことは、さすがは長年にわたって軽商用車の機能性を追求し続けてきた、ダイハツの作だけのことはある。


BEVになっても、荷室のサイズや350kgの最大積載量は変わっていない。    平井大介

前後シートはe-アトレーならばもう少しグレードアップしてもよいのではないかと感じたが、メーターパネルは7インチのカラーマルチインフォメーションディスプレイを用いることで、新しさやBEVらしさを十分に感じさせる。

電池温度のゲージが備わっていることも、搭載されるリチウムイオンバッテリーが空冷式であることを考えれば、長時間にわたる高速走行(最高速は100km/hに制限されている)や、急速充電の最適なタイミングを図るにはありがたい配慮といえそうだ。

試乗前は期待していたハンドリングや乗り心地

64psの最高出力、そして126Nmの最大トルクを発揮するエレクトリックモーターによる走りは、BEVらしく常に静かでスムーズな印象を崩さない。アクセルペダルを一気に強く踏み込んでもトルクの出方が穏やかなのは、荷室に積み込んだ荷物の荷崩れを防止するための策。

ブレーキもまた同様で、その回生制御は自然なフィーリングに終始していたのが印象的だった。参考までにダイハツは、このe-アトレー、そしてe-ハイゼット・カーゴではフロントにベンチレーテッドディスクを採用するなどブレーキ性能の強化にも万全の備えを見せている。ガソリン車と比較して車重が300kgほど重くなるだけに、それはドライバーにとっては大きな安心材料となるだろう。


e-アトレーに試乗中の筆者。残念ながらやや不満の残るものだった。    平井大介

だが、低重心でリアサスペンションも一新したこともあり、試乗前には大いに期待していたハンドリングや乗り心地は、個人的にはやや不満の残るものだった。

常に細かいピッチングがドライバーに伝わり、かつ大きな重量物が高い位置で動いているかのようなフィーリングを生むサスペンションの設定は、e-アトレーが最初に触れたとおり乗商兼用として企画されたモデルと考えるのならば、大いに改善の余地がある。

いや、商用車としての長時間使用を想定しても、この乗り心地からは辛さを感じずにはいられない。BEVとしての高い基本性能と機能性を持ったモデルだけに、今後の改善に期待したいところだ。