留学生なしで日本一「バスケ界も変わるかな」 節分も修学旅行も全力で楽しむ大阪薫英が示した道【ウインターカップ】
SoftBank ウインターカップ2025女子決勝
バスケットボールの第78回全国高校選手権「SoftBank ウインターカップ2025」の女子決勝が28日、東京体育館で行われ、大阪薫英女学院(大阪)が桜花学園(愛知)に66-61で勝利し、悲願の初優勝を果たした。就任11年目の安藤香織監督は公立高校出身。「楽しんで」を合言葉に作り上げた明るいチームが、留学生なしでも日本一になれることを証明してみせた。
悲願の瞬間、安藤監督はホッとした表情で小さくガッツポーズした。歓喜する選手たちに取り囲まれ、思わず目が潤む。優勝後のコートインタビューでは、教え子から感謝の言葉が相次いだ。大会ベスト5に選ばれた松本璃音(りお、2年)が「安藤先生の指導が日本一だと証明したかった」と言えば、主将の幡出麗実(はたいで・うるみ、3年)は「安藤先生大好きです!」と絶叫した。
安藤監督の指導は何が日本一なのか? 幡出は囲み取材で「今は何が悪くてどうなったのか、本当に細かく教えてくださる。全てが理にかなっていて、『そうだよな』と納得できる」と説明する。コート外でも「全員のことを考えていて、誰かを良くして誰かは良くしないということが本当に1つもない。自分だけじゃなく薫英のみんなが先生のことが大好き」と絶大な信頼を寄せている。
大阪府立大塚高出身の安藤監督は、前任の大阪府立豊島高では「打倒・薫英」を掲げてきた。そんなライバルを長年率いてきた故・長渡俊一氏から声をかけられ、その後を継いで11年目。「私は公立の先生をしていたし、自分も公立出身。(上から)ルールを作るのは嫌い。(生徒が)自分たちでルールを作って、楽しんで、というのをやっている」と自主性を重んじる自由なチームを作ってきた。
イベント好きな指揮官「ハロウィンも豆まきも全部の行事をしている」
モットーは「楽しんで」。決勝も第4クォーター途中まで常に桜花学園にリードを許す苦しい展開だったが、安藤監督は「笑おう」「楽しもう」と声をかけた。「うちの子たちは本当に真面目。いつも勝ちたいと思って失速するので、最後は『勝とう』じゃなく、負けてもいいから『楽しもう』という方に持っていった」。ベンチ外のメンバーも含め、全員がどんな状況でも明るい声を張り続けた。
チームで楽しむスタイルは普段から。「ハロウィンも、クリスマスも、(節分の)豆まきも、ポッキーの日もする。お花見もするし、スイカ割りも……。多分全部の行事をしていると思う。学校の行事も修学旅行も遠足もめちゃくちゃ楽しむ。だから最後も楽しもうって」と安藤監督。主導するのは「だいたい私」とお茶目に笑う。そんなイベント好きな指揮官の人柄が「この薫英を作っている」と幡出は感謝する。
多くの強豪校と違い、大阪薫英はこれまでも留学生なしで決勝やベスト4に進んできた。「希望の星」「感動しました」。そんな言葉をかけられることもあった。「日本一になれたことで、(留学生を呼べない)公立高校や留学生がいないチームが言い訳せずに『私たちもやったらできるんだ』と思って、またこういうチームが出てきたら嬉しいし、バスケ界もちょっと変わるかな」と安藤監督は胸を張った。
高さで負けても試合には勝てる。48歳の指揮官は、身長159センチと小柄ながらトヨタ紡織で活躍する卒業生の都野七海を例に出した。「今もWリーグで大きい選手の前でフローターを打ったり、小っちゃい選手の希望になった。そういう意味では私たちにできる貢献の仕方もあるのかな」。留学生に頼らず、楽しんで勝つ。明るい監督とそれを慕う選手たちが、新たな道を示してみせた。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)
