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ID.3にはないちょっとした刺激 クプラ・ボーン(228点)

今回の6台のノミネート車両で、最高得点を得たのがクプラ・ボーン。日本では馴染みの薄い自動車メーカーといえるが、フォルクスワーゲン・グループの廉価ブランドで、このボーンはID.3と多くのコンポーネントを共有する。

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MEBプラットフォームも、駆動用モーターとバッテリーも、基本的には同じものが積まれている。ボディシェル自体も共有する。しかし、ID.3には備わらないものがボーンにはある。ちょっとした刺激だ。


クプラ・ボーン 58KWH V2(英国仕様)

MEBプラットフォームは、シャシー中央のフロア部分に駆動用バッテリーを敷き詰め、前後に駆動用モーターを搭載できる、スケートボード構造を取る。ボディサイズは一般道に適しており、50:50の前後重量配分を取りやすい。能力は決して低くない。

それをベースに、クプラはスプリングとダンパー、アンチロールバーを改良することで、サスペンションを引き締めた。スポーツシートを2脚載せ、スタビリティ・コントロールに手を加え、ステアリングホイールへ伝わるフィードバックを増やした。

プラットフォームとドライブトレインの可能性を、しっかり解き放つことを可能とした。引き締められた足回りは、不快なほど硬くなったわけではない。アバルト500eが跳ね、キア・ニロEVが揺さぶられるような路面を、しなやかにこなす。

本来秘めていた能力が引き出された

制御が緩められたスタビリティ・コントロールのおかげで、パワーオンでの操縦性も高められている。審査員の6名全員が、本来秘めていた能力が引き出されたと評価した。

重心位置は低く、駆動輪はリア。軽いフロントアクスルに長いホイールベースが組み合わされ、機敏でありながら懐の深い特性を創出している。ステアリングは正確に反応し、1736kgある車重を感じさせない。


手前からダークブルーのクプラ・ボーン 58KWH V2と、イエローのアバルト500e ツーリスモ、グリーンのMGモーター MG4 Xパワー

スタイリングにも、僅かな刺激が追加されている。モノフォルムでスポーティな容姿とはいえないが、ゴルフと同等サイズでありながら、車内空間は大型サルーン並みに広いことも強みだろう。

航続距離は421kmあり、家族での週末旅行にも不足はない。急速充電能力は125kWと速く、短時間でエネルギーを回復できる。今回の試乗では高速道路を長時間走り、連続するカーブを積極的に駆け抜けたが、平均の電費は5.8km/kWhと優秀だった。

ただし、300点満点中228点に留まり、完璧だったわけではない。スタビリティ・コントロールは、スポーツ・モードでも過剰に制限をかける。興奮を誘う走りの一歩手前で、パワーが絞られてしまう。シャシーバランスの良さを考えれば、もっと開放的でいい。

現代版GTIといえるフィーリング

とはいえ、審査員からは称賛する意見が集まった。ジェームズ・ページは、「バッテリーEVとしては、という前置きを省けます」。と楽しさを評価した。

リチャード・レーンは、「この6台では最も高い完成度。エキサイティングではないですが、しっかり運転の充足感はあります」。とまとめている。


クプラ・ボーン 58KWH V2(英国仕様)

「幅広い強みを備え、現代版GTIといえるようなフィーリングですね」。としたマット・ソーンダースの意見が、1番的を得ているだろう。

ホットハッチの起源として、今では一目置かれる初代フォルクスワーゲン・ゴルフGTIだが、当初はそこまで絶賛されていたわけではない。それと同様に、ボーンも後に再評価される可能性がある。

電動ホットハッチの雛形として、ボーンは一定の完成度を得ていると思う。バッテリーEVとしての仕上がりにも優れ、後輪駆動の秀でたバランスで、魅力的なドライビング体験を味わわせてくれる。

クプラ・ボーン 58KWH V2(英国仕様)のスペック

英国価格:3万8395ポンド(約694万円)
全長:4322mm
全幅:1809mm
全高:1540mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:7.3秒
航続距離:421km
電費:6.4km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:1736kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:58.0kWh
急速充電能力:125kW(DC)
最高出力:203ps
最大トルク:31.6kg-m
ギアボックス:シングルスピード・リダクション(後輪駆動)

ノミネート車両6台の獲得得点

クプラ・ボーン 58KWH V2:228点
アバルト500e ツーリスモ:208点
MGモーター MG4 Xパワー:196点
ルノー・メガーヌ E-テック・エレクトリック・テクノ:194点
キア・ニロEV 4:188点
ホンダe アドバンス:183点

183点のホンダeへヒトコト

筆者も、ホンダeが優勝すると予想していなかったことは事実。航続距離がカタログ値でも210kmでは、勝ち目がない。


ホンダe アドバンス(英国仕様)

しかし、6名の審査員の配点を確認すると、最下位に据えたのはマット・ソーンダースとリチャード・レーン、スティーブ・クロップリーの3人に過ぎない。残る2人は5位に評価しており、筆者は2位の得点を与えた。

全員の評価が低かったわけではない。むしろ自分にとっては、お気に入りの1台だったといっていい。 (マット・プライヤー)