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いまや国内ホンダのフラッグシップ!?

執筆:Hajime Aida(会田肇)

昨年、米国で先行発表されていた新型アコードが、2024年春より日本でも販売されることが明らかになった。

【画像】脱おじさまセダン! 新型アコード & 純正アクセサリー「ツーリングライン」【先代と比べる】 全82枚

アコードは1976年に初代が登場して以来、このモデルで11代目。


レジェンド/NSXの販売が終わった今、アコードは国内ラインナップのフラッグシップ。セダンが不人気のなか、なぜフルモデルチェンジした新型(写真)を投入するのか探ってみた。    神村聖

初代から一貫して持ち続けてきた「人と時代に調和したクルマ」の思想を踏襲しつつ、新型は2L直噴アトキンソンサイクルエンジンと高出力モーターを組み合わせた新開発2モーター式ハイブリッドシステムを採用する。

その上でDセグメントにふさわしい高品質なインテリアと、最新のコネクティビティ/安全技術を装備した“新世代のミドルサイズセダン”としたのだ。

中でも注目すべきは、国内のホンダ車初となる車載向けコネクテッドサービス「Googleビルトイン」を搭載したことにある。

これによりユーザーは、GoogleアシスタントやGoogleマップ、Google Playなどが車内で使え、最新のアプリやサービスなどが1つのGoogleアカウントの下でシームレスに利用できるようになるのだ。

他にも、開発を進めてきた最先端の安全技術「ホンダセンシング360」を初採用したり、1つのダイヤルで様々な機能にアクセスできる先進化したインターフェースの搭載など、日本で販売されるホンダ車ラインナップのフラッグシップとしてふさわしい最新のスペックとした点も見逃せない。

新型導入 「負け戦」と言えないワケ

こうした機能を新型アコードに導入した背景には、ターゲットとするユーザー層の若返りを図る狙いがあったという。

ホンダによれば、2020年に発売した先代アコードは、デザインや走行性能が評価されて主に60代のホンダユーザーに支持されたが、その一方で40〜50代のユーザー比率は縮小してしまったそうだ。


新型ホンダ・アコードe:HEV(新色イグナイトレッド・メタリック)。日本仕様のスペックは未発表。全長は先代よりも一回り長くしているようだが、キャビンをやや後ろ寄りとすることで、長くすっきりとしたボディラインを生み出した。    神村聖

そこにはコネクト機能、安全機能、ナビのディスプレイサイズといった面で物足りなさを感じる人が多かったという。

今や市場で人気が高いのは、軽自動車をはじめとするコンパクトカー、それにSUV、ミニバンといった“セダンとはほど遠い”カテゴリーが中心だ。

そこにあえてホンダがアコードを投入するのは、正統派セダンを必要とする一定の需要がユーザー側にあると見込んでいるからだろう。

とくに40代前後で所得が高い層は、機能・装備を吟味した上で市場でベストと思ったものを買う傾向が強い。

そうしたユーザーにも受け入れてもらえるよう、新型アコードではセダンとしてのデザイン・走りを進化させると共に、これからの時代に調和する“先進移動体験を提供できる新たなセダン”へと発展させたわけである。

では、そんな新型アコードの魅力はどんなところにあるのだろうか。

体験 ダイヤル式の新インターフェース

外観は、メッシュ調のフロントグリルを軸に、ファストバックスタイルが持つ流麗で洗練された新しいスタイリングとした。

一方のインテリアは、最近のホンダ車に見られる低い水平基調のダッシュボードとプレーンな雰囲気の組み合わせで、これが開放的でノイズの少ない前方視界を実現。ターゲットとする所得が高い若い世代にも十分に受け入れてもらえるレベルにあると言って間違いない。


左上のダイヤルの操作に連動して各種設定ができる「エクスペリエンスセレクションダイヤル」。ダイヤル自体の中央には時計が表示され、アナログ/デジタル式が選択できるほか、その背景に好みの“動く模様”を設定可能。北米仕様にはないアジア専用の機能だ。    神村聖

ダッシュボード中央にはApple CarPlay/Android Autoに対応したホンダ史上最大の12.3インチのタッチスクリーンが用意された。ヘッドアップディスプレイも11.5インチ相当の大型サイズとすることで視認性を一段と高めている。

機能面で見逃せないのが、車内環境のスマートな操作体験を提供する「エクスペリエンスセレクションダイヤル(写真)」の採用だ。

ダイヤルを回すとセンターディスプレイにメニューが現れ、必要なところで回転を止めてダイヤルをプッシュ。

これで使いたい機能があっという間に選択できる。もはや、使いたいスイッチがどこにあったか探す必要なんて一切ないのだ。

そのため、車内には従来なら装備されていたスイッチ類がなく、これによってスッキリとしたインテリアにすることができた。

そして、注目の機能となるのが車載向けコネクテッドサービス「Googleビルトイン」。

OK Google! セダンの新ユーザー像

Googleビルトインの最大の特徴は、インフォテイメントシステムのOSを「Android」としていることにある。同様機能はすでにボルボ車が採用済みだが、ホンダが国産向け車両に導入するのは初めてのこととなる。

そのため、スマホを接続しなくてもGoogle Playで新たなアプリを追加すれば、スマホのようにどんどんその機能を増やしていける。


「OK Google、今日の天気を教えて!」と発したところ。現在地周辺の天気予報を伝えてくれる。OK Googleは、「オッケーグーグル」のような言い方でしっかり反応する。    神村聖

音楽やポッドキャスト、オーディオブックといったコンテンツも必要に応じて増やすことができ、楽しみ方はどんどん広がっていくのもこのサービスの良いところと言えるだろう。

そして、その機能の中核をなすのが、音声入力で様々なコマンドに対応できる「Googleアシスタント」である。

ウェイクアップワードである“OK Google”と発することで(音声コントロールボタンや画面上のアイコンをタップしても可能)直ちにコマンド入力モードが立ち上がり、思いついたことをそのまま声に出せばいい。

その機能は、たとえばエアコンの温度設定やシートヒーターのON/OFFはもちろんだが、何よりも便利さを実感できるのが、今までなら一旦停止して操作していたことでも運転しながら操作できてしまう点だ。

たとえば、Googleマップを使うカーナビゲーションでは、走行中にコンビニへ立ち寄りたくなったら「近くのコンビニを探して」と一言告げれば、自動的に候補を探してリストアップしてくれる。

聴きたい楽曲があったら曲名を告げればいいし、携帯電話に届いたメッセージや電話の着信も常に監視しつつ、素早く返信できる。この便利さは一度体験したら後戻りできないほどだ。

もう1つの本命 最新ADAS日本初採用

先進の全方位安全運転支援システム「ホンダセンシング360」を日本仕様として初搭載したのも大きなトピック。

約100度の有効水平画角を持つフロントセンサーカメラに加え、フロントレーダーと四隅に計5台のミリ波レーダーを装備。車両の全周囲をセンシングできるものとした。


新型ホンダ・アコードe:HEVの前席(内装色:ブラック)。メーター部に表示されるのはホンダセンシング360「前方交差車両警報」の作動状況。メーターはバイザーなしの造りだが、マットな表示で外光下でも見やすい。    神村聖

これにより、今までのホンダセンシングの機能に、前方交差車両警報、車線変更時衝突抑制機能、車線変更支援機能が加わり、より安心・安全な運転環境を提供する。

もちろん、OTAによるアップデートも可能となっており、これはインフォテイメント機能だけでなく、ホンダセンシング360も対象となる。

使いながら機能がどんどん拡張されていくのも、新型の醍醐味と言えるだろう。

今回のモデルチェンジで11代目となるホンダ・アコードは、その洗練されたデザインと上質なインテリア、デジタル時代にふさわしいインフォテイメントシステムを搭載し、第4世代2モーターハイブリッドシステムによる走りのパフォーマンスも期待したいところだ。

なお、日本仕様は全量がタイの現地工場で生産・輸入されることになっている。