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ビッグモーターの苦情相談急増!

消費者庁は2023年9月5日に「ビッグモーターに関する消費生活相談の状況等について」というデータを公表した。

【画像】ビッグモーター、行ってみた 騒動後の店舗の現状は?【現地より】 全14枚

消費生活相談とはトラブル相談のことで、これはビッグモーターでトラブルに巻き込まれた人たちの苦情相談件数とその内訳などの数字である。


会見で辞任を発表した兼重宏行前社長(2023年7月25日)

消費者庁では7月28日にも「ビッグモーターに関する消費生活相談件数について」というデータを公開しており、2013年度から2022年度まで毎年の相談件数は凄まじい勢いで増えている。

2013年度には260件だった相談件数は2017年度には780件、2019年には1048件、そして2022年度には1491件だ。

そして重要なことは中古車売買全体のビッグモーターの割合である。

2018年度

911/7228件 12.6%

2019年度

1048/7214件 14.5%

2020年度

1271/7104件 17.9%

2021年度

1431/7248件 19.7%

2022年度

1491/7202件 20.7%

全体の相談件数は7200件前後で大きな変化はないが、ビッグモーターの件数は年々増えており、2018年度は12.6%だったのが、2022年度にはなんと20.7%にまで急増している。

では、その相談とはどのような内容だったのだろうか? 2022年度の数字を記しておく。

四輪自動車の購入・売却等

1313件

四輪自動車の修理サービス

46件

四輪自動車の車検サービス

31件

その他

101件

として数字が公表されているが、2018年度〜2022年度までいずれも「四輪自動車の購入・売却等」が約9割となっている。

ビッグモーターが認めている不正行為はまだ3つ

ここで、思い出して欲しいことがある。

そもそも昨今、明らかになっている数々の不正行為は「保険金水増し不正請求」が発覚したことに端を発している。


年度別相談件数

テレビや新聞、FRIDAYなどの週刊誌を除く一般メディアが盛んに報道するようになったのは今年7月半ば以降であるが、実際には2021年11月にビッグモーター社内において内部告発があり、それを受けて損保各社、ビッグモーター内部でも保険金不正請求に関する調査が始まっていた。

以降、保険会社がビッグモーターを紹介する「紹介制度(入庫誘導)」も止まったままである。(損保ジャパンだけが2022年7月に取引再開して非難をあび同9月には再び取引停止)

紹介制度(入庫誘導)

保険契約者が事故を起こして損保の事故受け付けセンターに電話。入庫する工場が決まってない契約者に対して積極的にビッグモーターの板金工場を紹介すること。ビッグモーターの工場を紹介する見返りに自賠責をその保険会社で切る(入庫誘導1件につき自賠責5件など)密約もあった。

2022年9月頃から東洋経済などの経済メディアやマガジンX、筆者が寄稿している自動車メディアで保険金不正請求について記事化が始まっており、2023年1月にはビッグモーターが外部の弁護士数名による特別調査委員会を設置して保険金不正請求についてしっかり調査をすると公式サイトにて約束。

その結果が今年6月末に兼重前社長に渡され、7月半ばにビッグモーター側は不正があったことを認めた。そこから一気に、それまでスポンサー忖度でだんまりを決めていたメディアが一気に取材合戦を始めたのである。

相談事例の9割を占める中古車売買時のトラブル

一方、車検不正の方はというと今年2月には佐賀唐津店、3月に熊本浜線店、そして6月には宇都宮南店でも不正が明らかになる。

熊本と宇都宮では指定工場の指定取り消しという最も重い行政処分を国交省・地方運輸局から下されている。


ビッグモーター和泉伸二社長が8月末に全社員に向けて送ったメール。

そして7月末からは全国各地で街路樹問題が発覚し、こちらもビッグモーター側は「本部の指示でおこなった」と街路樹を許可なく伐採したり除草剤を使用して枯らしたりしたことを認めている。

つまり、ビッグモーター自らが不正行為を認めているのは、
・保険金不正請求
・車検の不正
・街路樹問題
この3点となる。

しかし、これら以外にビッグモーターに関しては膨大な数の「不正行為」が次々と全国で明らかになってきている。

その代表的なことが相談事例の9割を占める中古車売買時のトラブルだ。「売買時」に含まれるものもあると思うが、ローン契約時の不正、ボディコーティング不正、買取後の不正な減額交渉、冠水車の販売を認めず返金にも対応しない、ビッグモーター側のミスでグレード違いで販売したのに高額なキャンセル料を請求する、無料で付けるという約束の22万円のオプション品が納車時の契約書ではなんと「有料」で計上されていたこともあった。

しかしこれらに関してメディアがビッグモーター広報部に確認しても「そのような事実は認められていません」などの回答でまともに関わろうともしない。

つまり、一般ユーザーに対する詐欺的な行為はまだ何1つ認めていないし解決もしていないことになる。

ビッグモーター和泉伸二社長が8月末に全社員に向けて送ったメールを読んでみるとよくわかる。

「現在、ご被害に遭われたお客様救済に向けて各損害保険会社様と協議を重ねている段階です。1日も早い救済解決に向けて引き続き本部では外部専門家の方々と取り組みを進めて参ります」

これを読めば、一般の客に関しての被害は保険金不正請求の部分だけを被害として認めていると解釈できる。

実際には一般の客に直接かかわる詐欺的な行為ではなく、保険会社を騙していたことになるため等級の復活や保険料値上がり分の返金などは保険会社から契約者に対しておこなわれることになる。

車検や修理の部分ではどんなトラブルがあるのか

車検や修理の分野でトラブル相談がわずか数パーセントであることは、車検や修理の分野では客にあまり気づかれることなく不正行為がおこなわれていたと考えてよいだろう。

筆者が取材を進める中で車検や修理の分野では具体的に以下のようなトラブルが発生していることがわかっている。


ビッグモーターに関する消費者生活相談の状況等について。

・最初に見積もりした価格より実際に車検整備をおこなった後では13万円も高くなっていた
・車検を受けた直後にクルマの調子が悪くなった
・車検に出したら、身に覚えがない故障個所を指摘された
・ブーツを損傷した覚えがないのに鋭利な刃物で切られたあとがあった
・事故で板金修理に出したが、出したときにはなかったはずの傷の指摘を受け修理代が上乗せされた
・修理の際の工賃が異常に高い。ディーラーと比べても15分程度の作業の工賃が2万円以上

ところで、今回、消費者庁が発表した苦情相談の件数と内訳、推移であるが、実はこれらは消費者庁が自発的に公表したものではない。1人の国会議員の尽力によるものであるとお伝えしておきたい。

日本維新の会衆議院議員浅川義治氏がその人で実は浅川氏は昨年11月の臨時国会において、早くもビッグモーターの不正行為について国会質問を行っている。

また、国会質問の前日には六本木にあるビッグモーターの本社にも出向き、現副社長の石橋光国氏と面談もしている。

浅川氏は7月中旬に消費者庁に資料請求を行っており、およそ2週間経って消費者庁から回答があり、ビッグモーター関係相談の国民生活センターと全国の消費者生活センターへ寄せられた件数が公表されている。

さらに、その後に資料請求していた内訳については9月5日に記者会見が開かれ、公開されている。

浅川氏は消費者庁の対応について
「2013年の時点ですでにビッグモーターに関する相談事例は260件もありました。どうしてもっと早く公表できないのか、今後公表制度も検討しなければならないと思います」と憤る。

実際、消費者庁の動きは非常に遅く、ビッグモーターで困って消費生活センターや国民生活センターに相談した消費者たちからは不満の声も多数あがっている。

消費者相手だと個々の事例が異なるため、動きが鈍いのは仕方ないだろうが、実際数万円〜数百万円の被害を受けている被害者はおそらく数千人かそれ以上かで存在している。

ビッグモーターが信頼を取り戻して、まっとうな商売を続けたいのなら、まずはビッグモーターを信じてクルマを購入したり売却したりして騙されてきた被害者の方々への救済が最初だと思う。