189センチの長身CB、早生まれのテクニシャン、世代別代表の常連。U-19代表の“最後の仕上げ”で可能性を示した逸材たち
また指揮官がもうひとつ試みていたのが、複数ポジションをこなせるかどうかだった。「サイドバックのところなど、想定されるとしたら現地に行ってコロナの影響で選手が1人減るとかは多分にあり得る」とは冨樫監督の言葉。現地に赴けば、選手の入れ替えはできないし、どんなアクシデントがあるか分からない。
今はコロナ禍の真っ只中。中1日で4試合を戦うことを考えれば、感染者が出れば大会期間中に復帰できる見込みは小さい。実際に6月の U-23アジアカップでは複数の選手が離脱しており、U-19代表も5月下旬から参戦したモーリスレベロトーナメント(旧トゥーロン国際大会)では冨樫監督が初戦の前に離脱し、最終戦しか指揮が執れなかった。
不測の事態は起こり得るし、予定していた選手がメンバー発表直前で離脱することも想定される。そうした意味で今合宿では選手層を拡充するためにも、個々でさらなるアピールが求められていた。
その観点から見て、今回のトレーニングマッチで可能性を大きく示した選手が3人いる。1人目がCBの東廉太(FC東京U-18)だ。189センチの高さを生かした守りに定評があり、アルベル監督からの薫陶を受けて2種登録ながらすでにルヴァンカップに4試合出場。J1の舞台も1試合経験している。
東の才能は折り紙付きで、将来性は十分。先月のU-18代表候補合宿でアピールに成功し、ひとつ上の世代の代表に合流を果たすと、今回のベトナム戦でも安定感のあるパフォーマンスを披露している。空中戦の強さはもちろん、ビルドアップでも強みを発揮。正確な縦パスを通すシーンも多々あり、攻撃の出発点としても機能した。
思い返せば、鳴り物入りで高川学園中からやってきたが、高校1年次は怪我の影響で満足のいくプレーができなかった。だが、高校2年次からU-18で試合に絡み、今季はトップチームでプレーする機会を確保。日本代表の長友佑都からプロ意識などを学び、ひとつずつプロサッカー選手の階段を登ってきた。
「アルベル監督になって、キャンプに呼んでもらい、自分の力だけではなく周りの方々のサポートで代表のチャンスを得られた。怪我に気をつけながら、もっとパフォーマンスを上げて、上の代表を目ざしていきたい」とは東の言葉。メンバー入りを果たせば、さらなる成長の場になるはずで、東にとってまたとないチャンスになるだろう。
2人目は明治大のMF熊取谷一星だ。大学2年生ながら早生まれのためメンバー入りの資格を持っているアタッカーは、技術力の高さを生かしたドリブル突破でチャンスを作り出した。
世代別代表は高校2年次以来だが、テクニックはこの世代でも随一のレベル。ベトナム戦では2本目から左サイドハーフに入ると、カットインや縦への突破で存在感を示す。3本目では左足でネットを揺らし、クロスからアシストも決めた。
相手は合宿を行なっていた影響で疲弊していたとはいえ、左サイドで個性を放っていたのは事実。ボールを晒しながら、ここぞというところでスピードを上げて相手を置き去りにする仕掛けは際立っていた。強度や守備面に課題はあるが、ラオスの地で見たいと思わせるプレーヤーのひとりだろう。
