慣らし運転とは、走行距離の少ない新しい車を低速で走らせて、一定の距離に達するまで走り、エンジンを慣らしていくことです。目的は「車を長持ちさせる」こと。

ガソリン車のエンジン内の金属部品がなじむまでにある程度の時間がかかるため、慣らし運転に一定の効果があることは確かです。とはいえ、慣らし運転は不要だという自動車メーカーも存在します。

では、電気自動車の場合、慣らし運転は必要なのでしょうか?

電気自動車の慣らし運転は不要という意見が多数

慣らし運転を行うと、エンジンの金属部品の動きがなめらかになっていき、エンジンのスムーズな吹け上がりが実現します。しかし、近年ではエンジンの部品や組み立ての精度が昔よりも格段に向上しており、慣らし運転は必要ないという見解が多く見られます。

新車の納車直後に、ある程度低回転で街乗りをするくらいであれば、意識して慣らし運転を行わなくても徐々にエンジンが慣れていきます。

また、精油精度の向上により、粘り気の低い低粘度のエンジンオイルでも、エンジンの円滑性にはまったく問題ないと言っていいでしょう。

では、電気自動車はどうなのでしょうか?

電気自動車に使われるモーターは、ガソリンやディーゼルエンジンと比べて駆動する部品の数が少ないうえ、磁力によって車の動力となる回転力を発生させているという特性からみても、慣らし運転は不要に思えます。

そこで、慣らし運転を推奨しているメーカーでもある日産自動車の担当者に話を聞きました。

「電気自動車のエンジンは、日産独自技術のビークルコントロールモジュール(VCM)によって制御されています。技術的な解説は省きますが、エンジンの回転をコントロールしているので、慣らし運転は不要です。電気自動車の慣らし運転を推奨している他の自動車メーカーは少ないと思います。

ただし、ガソリン車、電気自動車問わず、エンジンを高回転させたり、急激なアクセルを踏みこんだりすることは、環境への配慮という観点からもおすすめできません。」

そのほかの自動車メーカーや自動車販売店の担当者など、数カ所で話を聞いてみましたが、電気自動車の慣らし運転は不要、という意見を多く聞きました。

純エンジン車をいたわりたいなら慣らし運転をしよう

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ガソリン車やディーゼル車のような金属で組み上げられた純エンジン車は、乗る人のクセが出ると言われます。

例えば、日頃からアクセルをあまり踏み込まずに乗っている車は、加速しづらい車になってしまいます。事実、アクセルを踏み込む機会が少ない教習車などは、アクセルを全開にしてもあまり加速できません。

一方電気自動車は、駆動する金属部品が少なく、電気やコンピューターで制御されており、どのような乗り方をしてもクセが出ることが少ないため、一定の走行性能を保持できるでしょう。そのため、電気自動車の慣らし運転は不要と言えます。

さらに、かつて自動車メーカーの技術者から、電気自動車で使われているモーターは車体よりも長持ちすると聞いたことがあります。つまり、極端な乗り方でなければ、モーターは長寿命であると言えます。

以上のことから、電気自動車には慣らし運転は不要ですが、純エンジン車は車をいたわるという意味でも、慣らし運転か、あるいはそれに準じた丁寧な運転をおすすめします。エンジンに負荷をかけずに、そのエンジンが持っている動力性能を最大限に引き出してあげましょう。