前半、最終ラインの裏に抜け出した岡崎がゴールを狙うもシュートは枠を外した。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大 (全2枚)

 楽しかった、という言葉には少なからず違和感を覚えた。
 
 勝点3が最低限のノルマだった試合で、本田と吉田のシンプルな一撃、こぼれ球を押し込んだ香川のゴールで、日本は無事に3-0の勝利を収めた。しかしながら1トップを務めた岡崎は、前後半で3本ずつ、チーム最多の6本のシュートを打っておきながら、無得点に終わっている。

【日本×カンボジア】サッカーダイジェスト記者の採点&寸評

 
 試合前日の練習後には「点を取れなければ、自分はいらない存在」とまで言い切っていた男が、目に見える結果を出せなかったのに、楽しかった、だ。
 
 その真意は、多くのチャンスに絡めたからだろう。人数を割いて守りを固めてくるカンボジアに対し、「隙をあまり見出せなかった」と手を焼いてしまった。だが、「ボックス内で勝負をしたくて、パスの受け所はたくさんあったし、そこでチャレンジできた。ミスも多かったけど、成功した時もあった」からこそ、感触はそこまで悪くなかった。
 
 もちろん、「ボックス内では、単純な技術で勝負していかないといけない。それはまだまだ必要な部分」であり、「決めるところで決めないといけない」と反省する。
 
 楽しかったが、無得点に終わっているだけに、「自分の出来は良くなかった」。それは本人も十分に理解している。もっとも、この日、狙いとしていたことは「これからも続けていって、クオリティを徐々に上げていくのが大事」だと岡崎は確信している。
 
 コンビネーション――理想とするのは、71分のシーンだ。
 
 山口からの縦パスを岡崎が落とし、宇佐美が惜しいシュートを放つ。ゴールにはつながらなかったが、息の合った連動性ある崩しで決定機を演出してみせた。
 
相手が引いた状態で、いかにゴールをこじ開けるかは、アジアを舞台にした戦いでは常につきまとう命題だ。その打開策として、岡崎はコンビネーションの重要性を改めて痛感していた。
 
 ゴール前の密集地帯を切り抜けるには、「味方と良い距離感を保って、自分が上手く落としてワンツーしたり。そういうのが結局は必要になる」と言う。
 
 サイドを深く抉ってそこからクロスを放り込んでも、「このレベルでもひっかかる」ケースはままある。となれば、「あれだけ俺らも押し上げて、リスクはあるかもしれないけど、やっぱりコンビネーション」に活路を見出そうとしていたのだ。
 苦い思い出がある。2014年のブラジル・ワールドカップのグループリーグ第2戦のギリシャ戦。前半のうちに退場者を出してひとり少なくなったことで、守りを固めてきたギリシャに対し、日本は最後まで攻めあぐね、失意のスコアレスドローに終わっている。
 
 主導権を握り、いくら押し込んでも、単純なサイド攻撃では埒が明かない。格下のカンボジア相手にさえそうなのだから、「ギリシャのような国に守りを固められたら、余計無理なわけじゃないですか」と岡崎は考える。
 
 だからこそのコンビネーションであり、その起点となるべく、岡崎が奮闘したのは事実だ。1トップとして、なにが自分のタスクかがクリアになった。小さくない手応えを掴むことができた。
 
 試合前日にはこうも語っていた。
 
「明日は何回もパスを呼び込みたい」
 
 それは実践できていた。最前線にただ構えるだけでなく、ひとつ降りてきて、巧みに相手のギャップに潜り込み、積極的にパスを要求する。その試みが徒労に終わる時もあれば、受けたボールのリターン先を探すのに時間がかかり、スムーズな攻撃にノッキングを起こすこともあった。足もとに収めて強引に前を向こうとして、あっさりとカットされるシーンも目についた。
 
 わすかに枠を捉え切れなかったが、18分の左に持ち出してからの狙いすましたシュートなど、見せ場がなかったわけではない。ただ、ストライカーとして最も求められるゴールがなかった点では、期待を裏切ったと言わざるを得ない。
 
 不完全燃焼に終わったが、光明を見出せたカンボジア戦を無駄にしないためにも、5日後に控えるアフガニスタン戦での爆発に期待したい。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)