1ヵ月で株価約3万円上昇 キオクシアホールディングスの止まらぬ勢いはどこまで続くか
日本を代表する半導体メーカーであるキオクシアホールディングスの株価が、連日上昇を続けている。5月の最終営業日である29日の終値は65850円を記録し、36410円だった1日と比較すると約1.8倍上昇した。
同社は2024年12月の大型IPOとして注目を浴びながら上場を果たしたが、初値は公開価格を下回る1440円だった。だが、AI向けフラッシュメモリーの需要が急激に高まったことで、キオクシアHDの業績と株価は日を追うごとに上昇を続けていく。
上場以来最大の上げ幅を記録した2026年5月は、キオクシアHDの四半期決算・通期決算が発表されている。決算発表会にて、太田裕雄社長自ら「記録的な増収増益」と口にした業績は、四半期ベースの純利益が4099億円となっており、売上高も1兆円の大台を突破した。
個人投資家が上場初日に100株購入していた場合、約1年半で14.4万円が658.5万円に化けたことになるのだが、上場による恩恵を最も受けているのは、キオクシアにとって生みの親である東芝、そして米の投資会社であるベインキャピタル系列だろう。
投資会社の目的は高値で株を売ることであり、同社は部分的かつ散発的にキオクシアHD株の売却を行っているが、5月下旬には株の保有目的を「重要提案行為等を行うことがある」と改めた。キオクシアHDの経営に介入することを示唆したことから、さらなる株価の上昇を期待させる動きだ。
国内外の証券会社も目標株価を相次いで引き上げるなど、株主たちにとっては毎日のようにポジティブサプライズな情報が出てきているのだが、日本市場全体で見ると、必ずしも健全とは言えない現象も発生している。キオクシアHDは日経平均株価に採用されている銘柄であり、日本を代表する指標の上昇率にも貢献しているのだ。
「AI相場」の過熱感に注意
一見すると良い影響を与えているようにも見えるが、年収の平均値と中央値にかい離が起きているのと同じように、「平均」の役割を果たせなくなってしまう恐れがある。特に今年に入ってからは、東証株価指数(TOPIX)との違いが明らかに出ている。
2026年4月に日経平均の構成銘柄として採用されて以降、キオクシアHDは日経平均の上昇に大きな影響を与えており、AIに対する投資を強めるソフトバンクグループと共に、日経平均寄与度で連日上位に食い込み続けている。また、AI関連企業がけん引する現在の相場が、ITバブル期に似てきたという指摘も増えている。
実際、キオクシアHDとほぼ同時期に決算を発表し、AI銘柄の1つとして名を連ねているフジクラは、26年3月期の純利益が1000億円を超えたにも関わらず、投資家の期待に応えられなかったためかストップ安に。株価が上昇しているから、今後も需要のある業界だからと安直に判断せず、相場の過熱感にも警戒しなければいけない。
国内外の動向を見た限りでは、AIに対する投資は今後も活発かつどん欲に行われていく可能性が高い。だが、それがキオクシアHDの株価と業績に連動するかはまた別の問題だ。投資は自己責任だという言葉を肝に銘じ、今が買い時か、売り時か、しっかり見極める必要がある。
