《時代劇関係者は“失望”と苦言》『侍タイムスリッパー』監督の新作、エキストラから「参加費徴収」で賛否
映画『侍タイムスリッパー』でメガホンを取った安田淳一監督が、4月28日にXで投稿した内容が賛否になっている。
【写真】「江戸時代のモブになれるなら格安」新作映画のエキストラ募集要項
《募集させて頂く江戸庶民のエキストラ出演は「無償」になります。また衣装代・メイク代・カツラ代の実費7000円が必要になります》
時代劇関係者からは苦言も
今回募集が行われたのは、BS-TBSで7月16日スタートの時代劇ドラマ『心配無用ノ介 天下御免』。映画『侍タイムスリッパー外伝』と書かれている通り、映画内の劇中に登場するテレビ時代劇のスピンオフ作品だ。
『侍タイムスリッパー』は自主映画として製作。製作費は2600万円、10名ほどのスタッフという小規模の作品ながら、脚本に感銘を受けた東映京都撮影所が撮影に全面協力。
そのおかげもあり、自主映画とは思えない本格的な時代劇シーンや観客を巻き込むような内容が口コミで話題になり、興行収入は10億円を突破。2025年の『日本アカデミー賞』最優秀作品賞など映画賞を総なめにし、社会現象となった。
もともと低予算の自主映画を撮っていた安田監督のためか、今回も予算はかなり厳しいようでエキストラ募集投稿のあとには、
《製作プロダクションとしてあちこちから「予算大丈夫か?」と言う声を聞くにつれ不安増大。「予算内に収める」との共同プロデューサーとしての自分と「作品の質を上げたい」と言うクリエイターとしての自分との狭間で「無償エキストラ」を選んだのは安易だったかも知れない》
と自問自答する投稿も。
制作費の削減により、日本のドラマや映画ではギャラや交通費が一切出ない「ボランティアエキストラ」が定着しているものの、参加者側がお金を払うエキストラ募集は一般的ではない。一部時代劇ファンなどからは、
《格安だよ!!!!! ギャラ出ないのはそりゃそうだにしろ、7000円でプロのヘアメイクしてもらって江戸時代のモブになれるなんて羨ましすぎる!!!!!!!》
《映画村の時代劇扮装でも6,000円近くかかるのですから、出演体験込みと考えたら格安ですね》
とお金を払ってでも参加したいという声もあったものの、映画関係者から苦言の声が相次ぐことに。
俳優、忍者ショー企画事務所TEAM児雷也代表の夏守陽平は、
《正直、今回ので俺はがっかりしたよ。俺だけでなく役者からは失望されて当たり前。結局はタダで使えるボラエキ(ボランティアエキストラ)を使うのかよ。スターで映画を作るのではなく、映画でスターを作るってのはリップサービスか。蒲田行進曲は何を描いていた? 大部屋俳優は金を払う価値もないのか?》
過去に安田監督がインタビューで答えていた「スターで映画を作るより映画でスターを作るほうが、おもしろい」という言葉を引用して苦言を。
1万3000円のバックヤードツアーも実施
一方で俳優・スタントマンのキノシタケイタは、
《そもそも論として日本アカデミー賞最優秀作品賞を獲った監督が、7000円の金額を取ってエキストラを集めなきゃいけない日本映画界の製作の現状こそ問題なんじゃないの??》
今回の作品はBS-TBSのテレビ時代劇だが、日本の映画業界を取り巻く環境に疑問を呈している。
「海外ではギャラが出るのが当たり前で、そのためエキストラにも演技指導がしっかり行われます。日本でも外資系のNetflixなどの作品に関しては2000〜5000円程度のクオカードが出演料代わりに支給されていて、そういう事情もありモブの観客役にも簡単な演技指導が行われることが一般的です」(芸能事務所関係者)
しかし日本の多くの作品はボランティアエキストラに頼っているため、作品のクオリティが上がらないという事情があるという。
「放送前にネタバレ防止するという目的も大きいのでしょうが、現場に行っても誰が参加するかも知らされず、“試合シーンなのでチーム名を叫んで応援してください!”ぐらいの簡単な指示しか与えられません。最後までどんなシーンなのか、誰がいたのかわからないまま終わることも多いので、それで一体感のある作品が作れるとは思いませんね」(過去に数度ボランティアエキストラに参加した女性)
『心配無用ノ介 天下御免』では参加費1万3000円の『撮影現場見学&バックヤードツアー』も実施。自主映画ならいざ知らず、テレビドラマとして放送する作品でさえ実費を負担してもらうエキストラに頼らないといけないほど、時代劇を取り巻く環境は厳しいようだ。
