「糖尿病網膜症」を発症するとどんな見え方になるかご存知ですか?【医師監修】

糖尿病網膜症は、一般的に糖尿病に罹患してから約5~10年ほどで発症しやすいとされています。
しかし、血糖値の高い状態が続くと、もっと早い段階で発症することや、安定していた糖尿病網膜症が急に増悪してくることも珍しくありません。
また、初期にはほとんど自覚症状がないため、適切なタイミングで眼科を受診できるかどうかが、視力を守れるかどうかの分かれ道です。

この記事では、糖尿病網膜症の見え方の特徴を解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「糖尿病網膜症」を発症するとどんな見え方になるかご存知ですか?【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
栗原 大智(医師)

2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。

進行の程度別|糖尿病網膜症の見え方の特徴

単純糖尿病網膜症は見え方に変化はありますか?

単純糖尿病網膜症は初期段階で、ほとんど自覚症状がありません。見え方が普段と変わらなくても、網膜では、すでに細い血管のふくらみや小さな出血など、血管障害の変化が始まっています。そのため、症状がなくても定期的な眼底検査が重要です。また、どの時期でも内科通院も継続的に行ってください。

前増殖糖尿病網膜症の見え方の特徴を教えてください

中期の段階では、かすみ眼などの見えにくさを自覚することがあります。一方で、まったく症状が出ないケースもあり、症状だけで判断することは困難です。

この時期の網膜では、細い血管が詰まり始め、部分的に酸素不足(虚血)が生じています。進行を防ぐためには、この段階での発見と治療がとても大切です。

増殖糖尿病網膜症ではどのような見え方になりますか?

進行した段階では、次のような症状がみられることが多いです。

視力の低下

物がかすんで見える(かすみ目)

視野の一部が暗くなる・欠ける

黒い点や虫のような影が見える(飛蚊症)

突然視界が見えにくくなる、または見えなくなる

これらは、新しく生えた異常な血管(新生血管)が破れ、出血が起きたり、網膜がむくんだり、網膜剥離が進んだりすることで生じます。症状を放置すると失明に至ることもあるため、早急な治療が必要です。

編集部まとめ


糖尿病網膜症は、重症になるまで見え方の変化がほとんど現れないことが多い病気です。
進行するまで自覚症状に欠けるため、「見えているから大丈夫」と自己判断することは大変危険です。

糖尿病と診断されたら、内科での治療と並行して、必ず定期的に眼科を受診してください。
早期発見・早期治療が、視力を守るための方法です。目の健康を守るためにも、ぜひ継続した受診を心がけましょう。

参考文献

『糖尿病網膜症|日本眼科学会による病気の解説』(日本眼科学会)

『Incidence and progression of diabetic retinopathy in Japanese adults with type 2 diabetes: 8 year follow-up study of the Japan Diabetes Complications Study (JDCS)』(Diabetologia)