混迷が続く中東情勢は私たちの生活の至るところに影響が及んでいます。石油関連製品の品薄が長年続く伝統産業や住宅の再建にも暗い影を落としています。

中東情勢「山中漆器にも影落とす」

およそ450年の歴史を誇る伝統の山中漆器。

昔ながらの漆を塗る木製漆器は2割にとどまり、今は時代のニーズを取り入れ、合成樹脂に塗料を塗り重ねる「近代漆器」が8割を占めています。

◇カノー・鹿野和宏社長…「弊社は商品の9割以上がプラスチックを主にPET・ABS樹脂ですが、それを使った素材でウレタン塗装して仕上げている」

加賀市で山中漆器を販売している「カノー」の鹿野和宏社長は、このように話した上で、今、ある問題が起きていると話します。

◇カノー・鹿野和宏社長…「通常欲しいと思って発注する分の半分ぐらいしか、シンナーが入ってきていないのが現状」

シンナーが欠かせない

山中漆器の中でも近代漆器に分類される商品の塗装に欠かせないのがシンナー。

塗料の濃さを調整し、吹き付け作業をしやすくするなど欠かせない材料です。

シンナーは、原油から精製されるナフサ由来の製品のため、中東情勢の緊張による不安定な原油供給の影響を直接、受けることになります。

◇カノー・鹿野和宏社長…「シンナー不足で塗れなくなると、そこがボトルネックになって、あらゆる段階でものづくりがストップしてしまうリスクがある」

漆器組合の理事長も務めている鹿野さんは、16日、組合のメンバーと共に、今年で30回目を迎える「山中漆器祭」をPRするため、石川県の山野之義知事を表敬訪問しました。

生産ストップで職人の収入途絶える懸念

◇山中漆器連合協同組合・鹿野和宏理事長…「シンナーがないと値上がりしたら価格転嫁すればなんとかなるが、ないということは、生産がストップするということですから、職人が収入が途絶えてしまう。その先で仕入れている我々も売るものがなくなる。国の備蓄の放出がスムーズに早く行っていただきたい」

◇山中漆器連合協同組合・鹿野和宏理事長…「陳情も含めて一体どこにすればいいかも分からない感じ。産地としては山中漆器の業界にシンナーが入るように、どう動けばいいんだろうか、動き方も含めて試行錯誤状況かなと思う」

シンナーが、いつどれくらい入ってくるのか「わからない」ということが全ての問題の根源だと訴える鹿野さん。

漆器産地はただただ、中東情勢の早期沈静化を願うばかりです。

被災地・輪島市の住宅補修にも影響

一方、2024年、能登半島地震の被害を受けた石川県輪島市では、住宅の補修工事が進む中で中東情勢の影響が及んでいます。

外壁工事を請け負う男性からは、こんな声が聞かれます。

「コーキング剤がない…」

◇外壁工事請負業者…「雨どいも無いと言う話が昨日きましたけど…」

外壁工事を請け負う男性は、塗装を行うこともあるといいいますが、塗料をはじめ、様々な資材が入ってこないと嘆きます。

「あれも、これも、手に入らない」

◇外壁工事請負業者…(今、外壁塗装の依頼があったら?)「ちょっと材料屋さんに問い合わせしてから、お客様に言う感じですね」(もしかしたら延期も?)「延期ですね」「やっぱりシンナー、マスキングテープと養生テープと防水テープと防水シートも手に入らない・色々入らないですね」(復旧にも影響ある?)「そうですね・これも2年ここにやっと来れたので」

中東情勢に翻弄される私たちの暮らしやなりわい。

平穏な日常への光はいつ差すのでしょうか。