Image: Raymond Wong / Gizmodo

マジでメモリの価格には「スカイロケット(急騰)」という表現がピッタリ。どこまで上がるんだ?

いま、PC業界は四方八方から打撃を受けています。長引くメモリ不足と、世界的なサプライチェーンの混乱。柔軟なカスタマイズ性と修理のしやすさが売りのノートパソコンのメーカー、Framework(フレームワーク)が、多くのPCユーザーが感じている不安をハッキリと口にしました。

メモリ不足にあえぐFramework

Frameworkの創業者でCEOでもあるNirav Patel(ニラヴ・パテル)は、ブログにこう書いています。

クラウド型のコンピュータは、手元にあるコンピュータよりも、ますます大きな経済的価値を生み出しています。これは、両者を支える供給に制約がある限り、常にクラウドが勝つことを意味します。

そして、ここからが肝心なところで、Patel氏のブログで最もスパイスが効いているポイント。

これらすべてが何を意味するのでしょうか? 業界は、ユーザーに対し、何も所有しないで満足しろと求めているのです。

米ギズモードは以前、Lenovo(レノボ)の幹部たちが、PC価格の高騰に対抗するために、クラウドコンピューティングへの依存度がはるかに高くなる「ハイブリッド」な未来を想定していると伝えました。

Patel氏のようなパーソナルコンピューティングの伝道師たちは、別の未来を恐れています。クラウド中心の世界では、ユーザーがNetflix(ネットフリックス)のような、どんどん高くなり続けるサブスクに依存せざるを得ない状況へと追いやられちゃうんじゃないか、と。

ここ数カ月、Frameworkはメモリやストレージ部品の値上げを繰り返してきました。直近でも4月に入ってからは、容量4TB以上のSSDの値上げを発表。さらに、64GBのDDR5メモリを搭載したFramework Laptop 16の組み立て済みモデルの価格を引き上げ。カスタマイズ可能な部品を売る競合他社と比べても、Frameworkはメモリ危機の影響について、より積極的に発言するスタンスを取っています。

PCメーカー各社が苦境に直面

Image: Raymond Wong / Gizmodo

同レポートによると、2026年第1四半期において、業界は順調に伸びていたといいます。しかし、その成長は四半期の終盤で急ブレーキ。理由は「部品不足と経済状況の悪化」だそう。

HP(ヒューレット・パッカード)を除く多くの企業は前年比で堅調な成長を見せましたが、IDCはこの状況が変わる可能性をほのめかしています。

追い打ちをかけているのが、現在イランで進行中の戦争。IDCのシニアリサーチアナリストのIsaac Ngatia(アイザック・ンガティア)氏によると、世界的な物流への負担が「バリューチェーン全体に波及し、エンドユーザー向けPCの価格圧力を強めている」とのこと。

この影響はリアルタイムで確認できるレベルにまで及んでいます。例えば4月7日には、ASUS(エイスース)がZenbook A16を1,600ドル(25万6000円)で発売しましたが、同じ日の午後には、1,700ドル(27万2000円)に修正されました。同社は、価格変更を説明するメールのなかで、小売業者Best Buy(ベスト・バイ)による手違いだったと述べています。

悲観論を宣伝に変えるFrameworkのしたたかさ

FrameworkのPatel氏が代弁しているのは、いまPC業界で広がりつつある空気感です。

AIデータセンタープロジェクトの急増は、HBM(高帯域幅メモリ)への巨大な需要を生み出しました。そして、メモリを製造する大手半導体企業3社であるSamsung(サムスン)、SK Hynix(エスケイ・ハイニックス)、Micron(マイクロン)は、いずれも消費者向けや業務用電子機器ではなく、AI業界への供給に事業をシフトさせています。つまり、よりお金の流れる方へってわけですね。

過去6カ月間、消費者向けDRAMとNANDフラッシュの価格は、ますます維持困難な水準になっているといいます。RAMからSSD、GPUに至るまで、多くのコンポーネントの価格が数倍に跳ね上がるカオスな状況に。

Patel氏は、コンピュータが自転車のように人間の能力を本来よりもはるかに高い領域まで広げてくれるという意味を込めたスティーブ・ジョブズの有名な一説を引用してこう続けます。

「コンピュータはもはや『知の自転車』ではありません。コンピュータは、目的地へ直接連れて行く自動運転車になりつつあるのです。」

ただ、Patel氏は業界の現状を嘆くためだけに書いたわけではありません。彼は、この暗たんたる雰囲気を利用して、4月21日に予定されている新製品の発表を盛り上げようとしているのです。なかなかしたたかです。

イベントのティザー動画(上のYouTube動画を参照)のなかで、Frameworkはペンギンをあしらったアイコンを繰り返し映し出しています。どうやらLinux(リナックス)との関連性をほのめかしているようです。

Frameworkの現行機種であるFramework Desktop、Framework Laptop 13、Framework Laptop 16は、いずれもユーザーが自分でLinuxをインストールできるように設計されているほか、Windows11のライセンスを購入することも可能です。

Frameworkの次代機は、オープンソースのLinuxを採用することで価格を削減してくるかもしれません。

しかしPatel氏は、本音では熱心なPCユーザーたちが、「所有する喜び」のためにもうちょっとお金を出してくれると期待しているんじゃないでしょうか。

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