大谷翔平(C)共同通信社

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「インコースを厳しく攻められたり、変化球を投げられたりで焦ることもあるが、センター中心に打てているときは彼が最高の状態にあるということだ」

巨人・戸郷翔征は二軍でもボロボロ…エースの歯車を狂わせた2025年大谷ドジャースとのドリームマッチ

 試合後のロバーツ監督が絶賛した。

「彼」とは日本時間7日のブルージェイズ戦の六回、内角低めのシンカーをすくい上げてバックスクリーンに放り込む3号ソロを放った大谷翔平(31=ドジャース)のことだ。

 これで4日のナショナルズ戦から4試合で3本塁打。7日時点で41試合連続出塁となり、「ボールを見極めて四球も選べている」とロバーツ監督は話している。

■「両方できると思っている」

 その大谷はあす9日のブルージェイズ戦に先発する。今季初戦だった1日のガーディアンズ戦は6回1安打無失点。これで昨季から22回3分の2連続無失点。この記録は7日時点で続いているメジャー全体の投手で最長とはいえ、メジャーの無失点記録はドジャースOBのハーシュハイザーの59回だ。

 大谷は昨季、米メディアに二刀流を続けている理由を聞かれ、「(投手と打者)両方できると思っているから」と答えた。ワールドシリーズ3連覇がかかっているドジャースの先発ローテーションに入っているのだから、「両方できる」のは間違いない。

 とはいえ、本塁打王2回に打点王1回、すでに頂点に立っている打者に比べ、投手としてのメジャー実績はさほどではない。これまで2ケタ勝利は2022、23年の2回。22年に15勝9敗、防御率2.33でサイ・ヤング賞投票4位に入ったのが最高で、シーズンを通して先発ローテを守ったのも、規定投球回数に達したのもこの年だけだ。

「大谷が二刀流を続けているのは、投手としてうまくいっていないからですよ」

 こう言うのは大谷をよく知る日本ハムOB。本人に理想とする投球ができていないという自覚があるからこそ、やっていて面白い。すでにメジャーの頂点を極めている打撃とは異なり、まだまだチャレンジすべきことも伸びしろもあるから楽しいということだ。

 特派員のひとりがこう言った。

「うまくもなれないし、自分が納得しない」

「大谷は100マイル(約161キロ)の速球を投げるけど、制球があまり良くない。本来は二律背反といわれる球速と制球を、表裏一体と考えている。正しい体の使い方をすれば球速も上がるし、制球も良くなると。そうやって毎年、理想的なフォームを追求しているうえ、ピッチングをデザインするのが楽しくて仕方がない。浮力を上げて曲がり幅を減らすとか、曲がり幅を増やして浮力を下げるとか……そういった作業をメジャーではデザインするという言い方をするのですが、日頃のキャッチボールからあれこれ試している。とにかく投手としてのレベルアップが楽しみであると同時に、やり甲斐にもなっているのでしょう」

■打者初タイトルと同時に右肘を手術

 大谷は21年に46本塁打でタイトルを争い、23年には44本塁打で初のタイトルを獲得した。打者として頂点に立ちながら、23年9月には自身2度目の右肘靱帯修復手術を受けている。その理由について本人はNHKスペシャルでこう言っている。

「手術をしなくても93〜94マイル(約150キロ)くらいだったら投げられる感覚だったが、100マイル(約161キロ)とか、それ以上の球速に耐えられるかといったら、たぶん耐えられなかったと思うので、手術の決断をした。自分が思い切りパフォーマンスを出せる感覚がないと、単純にうまくもなれないし、自分が納得しないので。ごまかしながら投げていても、恐らく面白くないだろうなと」

 手術をして1年間、投げられないハンディを背負っても、投手としてより「うまくなりたい」と強く思った。2度目の手術を乗り越えてまで投手にこだわったのは、まだ発展途上だし、現状に満足していないから。「思い切りパフォーマンスを出せる感覚」の中で、投手としてより高みを目指したいし、それでなければ「面白くない」と感じたのだ。

 昨年6月に投手として復帰したものの、昨シーズンはまだリハビリの位置付け。オフにトレーニングの制約がなく、思い切り腕が振れるようになった今季は投手としての成長が期待できそうだ。