世界が注目する「マルタイの棒ラーメン」のポテンシャル…即席棒状麺のパイオニアが見据える”次の一手”

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昭和34年(1959年)に発売された、即席棒状麺のパイオニア「マルタイラーメン」(株式会社マルタイ 福岡県福岡市)。生麺のような口当たりと、飽きのこないあっさりしたしょうゆ味のスープが特徴のロングセラーだ。

定番の「マルタイラーメン」を筆頭に、数十種類ある商品は「棒ラーメン」の通称で、特に九州では家で作るラーメンとして馴染みが深いソウルフードとも言える存在だが、定番としての安定ではなく、工場の拡大を計画するなど、リアルタイムで成長中でもある。

前編記事『料理研究家・リュウジ絶賛でHPアクセス8倍…「マルタイの棒ラーメン」が全国区になったワケ』では、料理研究家のリュウジ氏が同商品を紹介してバズった影響、そして地元福岡での「マルタイラーメン」立ち位置を探った。

本記事では、定番の「マルタイラーメン」を軸に、ここ数年でさらに拡大をみせる「棒ラーメン」の展開について、株式会社マルタイ・大山氏に話を聞く。

工場拡大で急成長のフェーズに

2025年末、料理研究家のリュウジ氏が自身のYouTubeチャンネルで「2025年に買って良かったもの10選」のひとつとして、「棒ラーメン(業務用1kg)」を紹介し、反響を呼んだ。動画の中でリュウジ氏が魅力として語るのは、麺の美味しさについてだ。

株式会社マルタイの大山氏は、麺へのこだわりをこう語る。

「即席麺ではフライ麺というものが多いのですが、弊社の『棒ラーメン』は『ノンフライ』が特徴です。麺を揚げずに、そうめんのように乾燥させて作っています。そのため、茹でた時には生麺のような食感を味わっていただけます」(株式会社マルタイ 大山氏、以下「」も)

料理研究家をも唸らせるこだわりのノンフライ麺が、長年にわたって人気を保ち続ける肝のひとつであることは間違いないだろう。

一方で、ロングセラーは通常「変えない」に重きを置くイメージが強い。そのため、売上の波が小さく安定はするものの、大きな拡大は望めないのではないかと思ってしまう。

しかし、マルタイ社の「棒ラーメン」は現在進行形で成長を続けている。

「コロナウイルスが広がった時期は、売上が一気に伸びましたね。ただ、コロナ収束後の現在でも、棒ラーメンの売上が伸び続けているのは事実です。最近では、お米の値段が高騰している影響もあって好調な印象を受けます」

大山氏は、「九州外での認知度アップをめざした活動も影響しているのではないか」と続ける。

「これまで、棒ラーメンの展開は地場の九州中心でしたが、関東などにもサンプリングや試食会を増やしました。これにより、九州以外でも手に取っていただける方が増えました。とても大きな変化だと感じています」

現在、同社では佐賀県にあるふたつの工場で商品の製造をしている。棒ラーメンの拡売を見据え、工場の製造ラインを増設することを2024年5月に発表した。

「現在は1日約13万食を作れるのですが、増設予定の部分でも同じ量を作れる計画となっています」

この増設は、「棒ラーメン」が安定商品ではなく急成長のフェーズにあると言えるだろう。増設ラインは2027年7月に運用開始の予定だ。

福岡から全国、そして世界へ

九州中心から全国への進出とはいえ、製造力を倍に増強するのは強気にも思える。しかし、マルタイ社の「棒ラーメン」は随分と前から次のステージに向かっていた。

「2013年に香港で売り出したのを皮切りに、台湾や中国、シンガポールやフィリピンなどのアジア圏にも販売するようになりました。この辺りの地域は、もともと即席麺を食べる文化があったので、自然に受け入れてもらえましたね」

少子化が進み、人口が減少している日本にあって、市場を海外に目を向けるのは真っ当な流れだ。しかし、海外への販路拡大の原点は別にあるという。

「観光で日本を訪れて、ラーメンを美味しいと感じてくれた外国の方に、帰国後も楽しんでほしいという思いがありました。こうした原点を大切に、アジア圏で販路を拡大していき、2024年には北米にも販路を広げることが出来ました。今では、商品の売り上げの約1割を海外が占めています」

「博多とんこつラーメン」「熊本黒マー油とんこつラーメン」といった、外国人ウケする味も揃える「棒ラーメン」。日本のラーメンを自宅で簡単に作れる点が海外に刺さったのは当然と言えば当然なのかもしれない。

とはいえ、海外への販路拡大は簡単なことではない。

「日本国内と同じものが販売できないんです。日本では使えても、国によっては使えない原料もあります。特に北米はそれが厳しい国や地域が多いので、都度、研究と商品開発が必要になっています」

マルタイ社員のオススメアレンジレシピ

発売から60年以上が過ぎてなお成長し、日本はもとより全世界へ拡大している「棒ラーメン」の魅力のひとつは、アレンジしやすい裾野の広さだろう。2023年4月、YouTube「かまいたちチャンネル」で、お笑いコンビ・かまいたちの濱家隆一が「マルタイ棒ラーメンのアレンジレシピ」を紹介する動画が公開されており、302万回(2026年3月時点)もの再生回数を記録している。

「定番の『マルタイラーメン』をアレンジした冷やし中華や焼きそばは、多くの方がやってくださっています。私が個人的に好きなのは、棒ラーメンの上にかきたまを乗せて、酢とラー油をかけるアレンジです。すごく美味しいので、ぜひやってみてください」

また、SNSなどではキャンプ飯としても重宝されている様子が多くみられる。そうした需要も含めて、山で食べられるアレンジレシピのコンテストが開催されたこともあるという。

「麺を細かく折ってパエリア風にしたり、豚バラやニラと一緒にしてとんぺい焼風にしたりするレシピも出てきました。ラーメンとしてだけでなく、『こんな風にも使えるんだな』と我々も驚きました。棒ラーメンの可能性はまだまだあると感じております」

あらゆるアレンジを受け止める懐の広さを持つマルタイの「棒ラーメン」。60年以上続く「即席棒状麺のパイオニア」のさらなる発展に期待したい。

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